「失業保険、もっとたくさんもらえないのかな…」そう考えたことはありませんか?
会社を辞めたあと、失業保険(基本手当)は生活の大きな支えになります。でも、同じように働いてきた人でも、離職理由の違いだけで受給総額に数十万円の差が出ることをご存知でしょうか。
「自己都合退職だから仕方ない」と諦める必要はありません。実は、退職理由の判定基準を正しく理解し、ハローワークで適切に手続きすれば、給付制限をなくしたり、給付日数を大幅に延ばしたりすることが可能です。
さらに、早期に再就職が決まれば「再就職手当」として残りの給付日数の一部をまとめて受け取ることもでき、結果的に受給総額を最大化できます。
一方で、最近は「失業保険を増額します」と謳う民間サービスも増えていますが、中には不正受給につながるリスクの高いものもあります。もし不正と判断されれば、受給額の3倍返しという重いペナルティを科せられることも。
この記事では、怪しい手法に頼らず、公的な制度を正しく理解して活用することで、失業保険の受給額を合法的に最大化する方法を詳しく解説します。
「損をしたくない」「正しい知識を身につけたい」という方は、ぜひ最後までお読みください。
失業保険(基本手当)の金額が決まる仕組み

まず、失業保険の受給額がどのように決まるのか、基本的な仕組みを理解しておきましょう。受給総額は「基本手当日額 × 給付日数」で決まります。
つまり、受給額を増やすには「1日あたりの金額を上げる」か「もらえる日数を延ばす」かのどちらか(または両方)が必要です。
基本手当日額の計算方法と上限額
基本手当日額は、離職前6ヶ月間の「賃金日額」に基づいて計算されます。具体的には以下のステップで決まります。
【計算の流れ】
- 賃金日額を算出: 離職前6ヶ月間の賃金総額 ÷ 180日
- 給付率をかける: 賃金日額の50%〜80%(賃金が低いほど給付率が高い)
- 上限額を確認: 年齢区分ごとに上限額が設定されている
2026年2月現在の上限額(令和6年8月1日時点)は以下の通りです。
- 29歳以下: 日額6,945円(月額約20.8万円)
- 30〜44歳: 日額7,715円(月額約23.1万円)
- 45〜59歳: 日額8,490円(月額約25.5万円)
- 60〜64歳: 日額7,294円(月額約21.9万円)
たとえば、40歳で月給30万円の人が退職した場合、賃金日額は10,000円程度になります。これに給付率をかけると、基本手当日額は5,000円〜6,000円程度になるイメージです。
直近6ヶ月の「残業代」や「手当」が受給額を左右する理由
ここで重要なのは、賃金日額の計算には基本給だけでなく、残業代や各種手当も含まれるという点です。
計算に含まれるもの:
- 基本給
- 残業手当、深夜手当
- 通勤手当(上限あり)
- 住宅手当、家族手当
- 各種役職手当
計算に含まれないもの:
- 賞与(ボーナス)
- 退職金
- 臨時の手当(見舞金など)
つまり、退職前の6ヶ月間に残業が多かった場合や、役職手当がついていた場合は、その分だけ基本手当日額が高くなります。
逆に言えば、退職のタイミングを調整できるなら、繁忙期で残業が多い時期の直後に退職する方が、受給額が高くなる可能性があるということです(もちろん、それだけを理由に退職時期を決めるのは本末転倒ですが、知識として押さえておくと役立つでしょう)。
また、給与明細に「基本給」と「諸手当」が分かれて記載されている場合でも、失業保険の計算では全て合算されて「賃金」として扱われます。この点を理解しておくと、自分の受給額の見込みを正確に把握できます。
受給総額を左右する「離職理由」の判定基準
基本手当日額が同じでも、離職理由によって「給付日数」が大きく変わります。これが受給総額に最も大きな影響を与える要素です。
自己都合と会社都合でこれだけ違う給付日数
離職理由は大きく分けて3つのカテゴリーに分類されます。
- 一般の離職者(自己都合退職)
- 特定受給資格者(会社都合退職、いわゆる「倒産・解雇等」)
- 特定理由離職者(やむを得ない事情による自己都合退職)
【一般の離職者(自己都合退職)の給付日数】
| 被保険者期間 | 全年齢共通の給付日数 |
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
【特定受給資格者(会社都合退職)の給付日数】
| 被保険者期間 | 30歳未満 | 30〜34歳 | 35〜44歳 | 45〜59歳 | 60〜64歳 |
| 1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
| 5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
| 10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
| 20年以上 | 240日 | 270日 | 330日 | 330日 | 240日 |
具体例で比較してみましょう。
【ケース】40歳、雇用保険加入期間12年の人が退職
- 自己都合退職の場合: 120日(約4ヶ月分)
- 会社都合退職の場合: 240日(約8ヶ月分)
仮に基本手当日額が6,000円だとすると:
- 自己都合: 6,000円 × 120日 = 72万円
- 会社都合: 6,000円 × 240日 = 144万円
その差は72万円。さらに、自己都合の場合は原則として2ヶ月の給付制限期間(令和2年10月以降、5年間のうち2回目までは2ヶ月、3回目以降は3ヶ月)があるため、実際に受給が始まるのは申請から3ヶ月後になります。
会社都合であれば、待機期間の7日間が過ぎればすぐに受給が始まります。この違いは、生活再建のスピードにも大きく影響します。
「特定理由離職者」になれば自己都合でもすぐ受給できる
「自己都合退職だから諦めるしかない」と思っている方に朗報です。実は、自己都合退職でも「特定理由離職者」に該当すれば、給付制限がなくなります。
特定理由離職者には2つのタイプがあります。
【タイプ1: 契約期間満了による離職】
- 期間の定めのある労働契約が更新されず、本人が更新を希望したにもかかわらず離職した場合
- このタイプは給付日数も特定受給資格者と同じになります
【タイプ2: 正当な理由のある自己都合退職】
以下のような理由で離職した場合:
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷など
- 妊娠、出産、育児(保育所に入れないなど)
- 家族の介護、看護
- 配偶者の転勤や事業所の移転により通勤困難
- 結婚に伴う住所変更により通勤困難
このタイプは給付制限がなくなりますが、給付日数は一般の離職者と同じです。
つまり、先ほどの例(40歳、加入期間12年)で言えば:
- 給付日数は120日のままですが
- 給付制限2ヶ月がなくなるため、約2ヶ月分の生活費(約36万円相当)の負担が軽減されます
「体調不良で退職した」「家族の介護が必要になった」といった理由がある場合は、必ずハローワークに相談し、特定理由離職者として認定してもらいましょう。診断書や介護の証明書類があれば、認定される可能性が高まります。
【実践】離職理由を「会社都合(特定受給資格者)」へ変更できるケース
では、実際にどのようなケースで「会社都合」として認められるのでしょうか。ここからは、特に見落とされがちな判定基準を詳しく解説します。
残業時間が月45時間を超えていた場合
多くの方が見落としているのが、長時間労働を理由とした会社都合認定です。
以下のいずれかに該当する場合、特定受給資格者として認定されます:
- 離職直前6ヶ月のうち、いずれか連続する3ヶ月で45時間を超える時間外労働があった場合
- 離職直前6ヶ月のうち、いずれか1ヶ月で100時間を超える時間外労働があった場合
- 離職直前6ヶ月のうち、いずれか連続する2ヶ月以上で平均80時間を超える時間外労働があった場合
「自分で辞めたから自己都合」と思っていても、実は長時間労働が原因であれば会社都合として認められるのです。
【重要】残業時間の証拠を集めておく
会社が発行する離職票には「自己都合」と書かれていても、タイムカードや勤怠記録、メールの送信履歴などで実際の残業時間を証明できれば、ハローワークで理由を変更できる可能性があります。
証拠として有効なもの:
- タイムカードのコピー
- 勤怠管理システムの記録(スクリーンショットも可)
- 業務メールの送受信時刻(深夜や早朝の業務実態を示す)
- 交通系ICカードの履歴(出退勤時刻の裏付け)
- 手書きの勤務記録(日記形式でも可)
「サービス残業だったから記録がない」という場合でも、自分でつけていた手帳やメモ、PCのログイン・ログアウト記録なども参考資料になります。
具体例: Aさん(32歳・営業職)のケース
Aさんは「仕事がきつくて辞めた」という理由で自己都合退職しました。しかし、離職前の3ヶ月間、毎月60時間前後の残業をしていました。
退職後、知人からこの制度を教えてもらい、スマホに残っていた業務メールの送信時刻と、勤怠システムのスクリーンショットを持ってハローワークに相談。結果、特定受給資格者として認定され、給付日数が90日から180日に増加しました。
パワハラ・セクハラなどの労働問題があった場合
職場でのハラスメントも、会社都合認定の重要な理由になります。
以下のような場合が該当します:
- 上司や同僚からのパワーハラスメント
- セクシャルハラスメント
- いじめや嫌がらせ
- 人格を否定するような言動
ただし、ハラスメントの証明は難しいケースもあります。可能であれば、以下のような証拠を残しておきましょう。
証拠として有効なもの:
- ハラスメント行為のメールやメッセージの記録
- ボイスレコーダーやスマホでの録音
- 同僚の証言(証人になってもらえる場合)
- 会社に相談した記録(メール、相談票など)
- 産業医やカウンセラーへの相談記録
- 心療内科の診断書(ハラスメントが原因で体調を崩した場合)
もし証拠が不十分でも、詳細な時系列のメモ(いつ、どこで、誰から、どのような言動を受けたか)を作成し、ハローワークに相談することが大切です。
【注意】退職してから証拠を集めるのは困難
退職後は会社のシステムにアクセスできなくなるため、メールのバックアップやデータの保存は在職中に行っておく必要があります。
ただし、会社の許可なく大量のデータを持ち出すことは就業規則違反になる可能性もあるため、自分に送られてきたメールや、自分が作成した記録などを中心に保存しておくとよいでしょう。
病気や怪我、家族の介護で離職せざるを得ない場合
これらは前述の「特定理由離職者(タイプ2)」に該当しますが、実は状況によっては特定受給資格者として認められることもあります。
特定受給資格者として認められる可能性のあるケース:
- 業務上の負傷や疾病により離職した
- 事業所の衛生環境が著しく不良で、健康を害する恐れがあった
- 労働契約締結時に明示された労働条件と実際の労働条件が著しく異なっていた
たとえば、「過重労働が原因で適応障害になり退職した」という場合、医師の診断書に「業務による心理的負荷が原因」と明記されていれば、特定受給資格者として認定される可能性があります。
また、家族の介護についても、会社に介護休業や勤務時間短縮を申し出たにもかかわらず、会社が拒否したために離職せざるを得なかったという場合は、特定受給資格者として認められることがあります。
いずれの場合も、医師の診断書や会社とのやり取りの記録が重要な証拠になります。
ハローワークでの手続きと「離職票」チェックのコツ
離職理由の判定は、最終的にハローワークが行います。ここでは、実際の手続きで注意すべきポイントを解説します。
会社が書いた離職理由に納得できない時の対処法
退職後、会社から「離職票」が送られてきます。この書類には会社が記入した離職理由が記載されていますが、この内容に同意できない場合、異議を申し立てることができます。
離職票には「離職理由」欄があり、会社が選択肢から選んで記入します。さらに「具体的事情記載欄」に詳細が書かれます。
【離職票が届いたら必ず確認すべきポイント】
- 離職理由の区分: 「1.会社都合」「2.自己都合」「3.その他」のどれにチェックされているか
- 具体的事情: どのような理由が書かれているか
- 本人の意思確認欄: 「事業主が○をつけた離職理由に異議 有・無」という欄
もし離職理由に納得できない場合は、必ず「異議 有」に○をつけましょう。
「異議 無」に○をつけてしまうと、後から変更するのが非常に難しくなります。たとえ会社との関係を悪化させたくないと思っても、ここは自分の権利を守るために毅然とした対応が必要です。
【具体的な記入例】
異議「有」に○をつけた上で、余白または別紙に理由を記入します:
「離職理由について、会社は『自己都合退職』としていますが、実際には月平均60時間を超える時間外労働が常態化しており、心身の健康を維持できなくなったため離職しました。雇用保険法第23条第2項第1号イに該当すると考えます」
このように、具体的な事実と、該当する法令や基準を明記すると説得力が増します。
異議申し立てを行うための証拠(資料)の集め方
異議を申し立てる際、客観的な証拠があるかないかで、認定される確率が大きく変わります。
【証拠の種類と優先度】
優先度 高(公的な記録)
- タイムカードの原本またはコピー
- 給与明細(残業時間・手当の記載)
- 勤怠管理システムの記録
- 会社とのやり取りのメール
- 内容証明郵便の控え
優先度 中(本人の記録)
- 手書きの勤務記録(日記形式)
- スマホでの出退勤時刻メモ
- 交通系ICカードの履歴
- PCのログイン・ログアウト記録
- 業務メールの送受信時刻
優先度 低(補強資料)
- 家族や同僚の証言
- SNSの投稿(業務に関する愚痴など)
- スケジュール帳の記録
【証拠がない場合の対処法】
「証拠を残していなかった」という場合でも、諦める必要はありません。
- 記憶をもとに詳細な時系列表を作成: いつ、どこで、誰が、何をしたかを可能な限り詳しく書き出します
- 第三者の証言を得る: 同僚や取引先など、状況を知る人に証言してもらえるか打診します
- 医療機関の診断書を取得: 心身の不調が離職理由である場合、診断書に「業務による」と明記してもらいます
ハローワークの窓口では、訓練を受けた職員が丁寧に事情を聞いてくれます。証拠が不十分でも、詳細に状況を説明することで認定されるケースもあります。
【体験談】証拠がなくても認定された例
Bさん(28歳・事務職)は、上司からの継続的な叱責で心身を病み退職しましたが、録音などの証拠はありませんでした。
しかし、以下の資料を準備してハローワークに相談:
- 心療内科の診断書(「職場のストレスが原因」と記載)
- 毎日つけていた日記(上司から言われた内容を記録)
- 同僚が書いてくれた証言書(匿名希望)
結果、ハローワークの担当者が詳しく事情を聞いた上で、特定受給資格者として認定されました。証拠がなくても、一貫性のある説明と複数の補強資料があれば、認定される可能性は十分にあります。
早く決まるほどお得? 「再就職手当」で受給額を最大化
ここまでは「受給日数を増やす」方法を中心に解説してきましたが、実は早期に再就職することで、トータルの受給額を増やせる制度があります。それが「再就職手当」です。
再就職手当をもらうための8つの支給要件
再就職手当は、失業保険の受給資格がある人が、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に就いた場合に支給される一時金です。
【支給額の計算】
- 所定給付日数の3分の2以上残して就職: 残日数 × 基本手当日額 × 70%
- 所定給付日数の3分の1以上残して就職: 残日数 × 基本手当日額 × 60%
具体例で計算してみましょう。
【ケース】所定給付日数120日、基本手当日額6,000円の人が、給付開始から30日後に再就職した場合
- 残日数: 90日(120日 – 30日)
- 再就職手当: 90日 × 6,000円 × 70% = 37万8,000円
一方、120日すべて受給した場合:
- 総受給額: 120日 × 6,000円 = 72万円
つまり、早期就職では34万2,000円少なくなりますが、その分早く給料をもらい始めることができます。
【8つの支給要件】
再就職手当をもらうには、以下のすべての条件を満たす必要があります:
- 待機期間(7日間)が経過している
- 給付制限がある場合、最初の1ヶ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職
- 所定給付日数の3分の1以上を残して就職
- 離職前の事業主に再雇用されたものではない
- 1年を超えて勤務することが確実
- 雇用保険の被保険者になる
- 過去3年以内に再就職手当を受給していない
- 受給資格決定前から内定していた会社ではない(一部例外あり)
特に注意が必要なのは要件2です。給付制限期間中(自己都合退職で2ヶ月間)の最初の1ヶ月は、ハローワークまたは厚生労働大臣の許可を受けた職業紹介事業者(転職エージェントなど)の紹介でなければ、再就職手当の対象になりません。
自分で応募した企業に就職する場合は、給付制限開始から1ヶ月が経過してからでなければ、再就職手当が支給されないのです。
「最後まで受給」vs「早期再就職」どっちがトータルで得か
「結局、どちらが得なの?」という疑問にお答えします。
【シミュレーション】40歳、給付日数120日、基本手当日額6,000円のケース
パターンA: 最後まで受給(120日)
- 失業保険総額: 72万円
- 次の就職先の給料(月25万円として): 0円(この期間は収入ゼロ)
- 4ヶ月間の合計: 72万円
パターンB: 30日後に再就職(残り90日)
- 失業保険: 6,000円 × 30日 = 18万円
- 再就職手当: 37万8,000円
- 新しい職場の給料: 25万円 × 3ヶ月 = 75万円
- 4ヶ月間の合計: 130万8,000円
このシミュレーションでは、早期再就職の方が58万円以上もトータルの収入が多くなります。
ただし、これは「すぐに希望の条件で就職できた場合」の話です。焦って条件の悪い会社に就職してしまい、またすぐに辞めることになれば本末転倒です。
【判断のポイント】
✅ 早期再就職が有利なケース:
- 希望する条件の求人が見つかった
- 前職より待遇が良い、またはキャリアアップになる
- 業界が人手不足で、焦らなくても求人が豊富
- 年齢が若く、ブランクを作りたくない
❌ じっくり受給しながら探す方が良いケース:
- 心身の疲労が激しく、休養が必要
- スキルアップや資格取得をしてから就職したい
- 市場環境が悪く、希望の求人が少ない
- 年齢が高く、慎重に就職先を選びたい
重要なのは、「受給額」だけでなく、「自分のキャリアと生活」を総合的に考えることです。再就職手当の存在を知った上で、自分にとってベストな選択をしましょう。
注意! 「増額サポート」などの不正受給リスクについて
失業保険の受給額を増やす方法を検索すると、「失業保険を最大28ヶ月受給」「合法的に増額をサポート」といった広告を目にすることがあります。
しかし、こうしたサービスの中には不正受給につながるリスクの高いものがあるため、十分な注意が必要です。
民間のコンサルティングを利用する危険性
近年、「社会保険給付金サポート」「失業保険最適化コンサル」などの名目で、高額な手数料を取るサービスが増えています。
【よくある手口】
- 傷病手当金との組み合わせを提案: 退職後に健康保険の傷病手当金を受給し、その後失業保険を受給することで「最大28ヶ月」などと謳う
- 病気や怪我を装うよう指示: 実際には働けるのに、医師の診断書を得るためのアドバイスをする
- 離職理由の虚偽申告を指南: 事実と異なる理由で会社都合を主張するよう促す
一見すると「グレーゾーンだが合法」と思えるかもしれませんが、実態としては不正受給にあたる可能性が高いです。
【これらのサービスの問題点】
❌ 高額な手数料: 受給額の10〜30%という高額な成功報酬を請求される(数十万円になることも)
❌ 医師や医療機関への迷惑: 本来必要のない診断書を求めることで、医療リソースを無駄にする
❌ 発覚リスク: ハローワークの審査は年々厳格化しており、後から不正が発覚するケースが増えている
❌ 法的責任は本人: たとえ業者の指示に従っただけでも、不正受給の責任は受給者本人にある
傷病手当金について正しく理解する
傷病手当金自体は正当な制度です。退職前から病気や怪我で働けない状態が続いており、医師の診断を受けて療養が必要な場合は、健康保険から傷病手当金を受給できます。
その後、病気が回復して「働ける状態」になってから、失業保険の受給手続きをすることも可能です。
しかし、「実際には働けるのに、病気を装って傷病手当金を受給する」のは明確な不正です。こうした不正受給の指南をする業者には、絶対に関わらないでください。
不正受給と判断された場合の「3倍返し」ペナルティ
もし不正受給が発覚した場合、非常に重いペナルティが科されます。
【不正受給のペナルティ】
- 支給停止: 以降の失業保険が全額支給停止
- 返還命令: 不正に受給した金額の全額返還
- 追徴金: 不正受給額の2倍の追徴金(実質的に3倍返し)
- 刑事告発の可能性: 悪質な場合は詐欺罪で告発されることも
具体例で計算してみましょう。
不正に50万円を受給した場合:
- 返還: 50万円
- 追徴金: 100万円(50万円 × 2)
- 合計: 150万円の支払い義務
さらに、不正受給をした事実は記録に残り、以後の失業保険や雇用保険関連の給付を受けられなくなる可能性もあります。
【こんな行為は不正受給にあたります】
- 実際には働いているのに、失業していると偽って受給
- アルバイトや内職をしているのに申告しない
- 自営業を始めているのに申告しない
- 離職理由を偽って申告
- 病気や怪我を装って受給
失業保険の不正受給は、「ちょっとズルをした」では済まされません。自分の将来を守るためにも、正しい方法で受給しましょう。
知っておきたい失業保険とセットで使える減免制度
失業保険以外にも、退職後の生活費負担を軽減できる制度があります。こうした制度を組み合わせることで、トータルの経済的負担を大きく減らすことができます。
特定理由離職者なら「国民健康保険」が7割軽減される
会社を退職すると、健康保険も切り替える必要があります。選択肢は主に3つです:
- 国民健康保険に加入
- 会社の健康保険を任意継続(最長2年間)
- 家族の健康保険に被扶養者として加入
このうち、国民健康保険については失業者向けの軽減措置があります。
【国民健康保険料の軽減制度】
特定受給資格者(会社都合退職)または特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)に該当する場合、前年の給与所得を30%とみなして保険料を計算してもらえます。
つまり、実質的に保険料が約7割減額されるのです。
具体例で計算してみましょう。
前年の年収が400万円の人が退職した場合:
- 通常の国民健康保険料(年額): 約40万円
- 軽減後の国民健康保険料(年額): 約12万円
- 差額: 約28万円の負担減
【手続き方法】
- 退職後、住所地の市区町村役場で国民健康保険の加入手続きをする
- その際、離職票または受給資格者証を持参する
- 窓口で「特定受給資格者(または特定理由離職者)による軽減措置を受けたい」と申し出る
この制度は申請しないと適用されません。自動的には軽減されないので、必ず窓口で申請しましょう。
また、軽減期間は離職日の翌日から翌年度末までです。たとえば2026年3月に退職した場合、2027年3月まで軽減が適用されます。
任意継続との比較
会社の健康保険を任意継続する場合、保険料は「退職時の標準報酬月額 × 保険料率 × 2」(会社負担分も自己負担になる)で計算されます。
多くの場合、軽減措置を受けた国民健康保険の方が安くなりますが、扶養家族が多い場合や、会社の健康保険に独自の付加給付がある場合は、任意継続の方が有利なこともあります。
どちらが得かは、各自の状況によって異なります。退職前に両方の保険料を試算して、比較してから決めることをお勧めします。
住民税の猶予や免除が受けられる可能性
住民税は、前年の所得に対して課税されるため、退職した年も前年の収入に基づいた税額を支払わなければなりません。
失業中で収入がないのに、住民税の納付書が届いて驚く方も多いでしょう。
しかし、失業や収入の大幅な減少があった場合、住民税の減免や猶予を受けられる可能性があります。
【住民税の減免・猶予制度】
各市区町村によって制度が異なりますが、一般的に以下のような措置があります:
- 減免: 所得が大幅に減少した場合、税額を減額してもらえる
- 徴収猶予: 納付期限を延ばしてもらえる
- 分割納付: 一括での支払いが困難な場合、分割での納付を認めてもらえる
【手続き方法】
住民税の減免や猶予を受けるには、自分から市区町村の税務課に申請する必要があります。
申請に必要なもの:
- 減免・猶予申請書(各自治体の窓口またはホームページで入手)
- 離職票または雇用保険受給資格者証
- 収入状況が分かる書類(預金通帳など)
「払えないから放置」してしまうと、延滞金が発生したり、最悪の場合は財産の差し押さえに至ることもあります。
支払いが困難な場合は、必ず早めに相談しましょう。多くの自治体では、親身に相談に乗ってくれます。
【その他の減免制度】
失業時には、他にも以下のような減免制度を利用できる可能性があります:
- 国民年金の免除・猶予: 失業を理由に、国民年金保険料の全額または一部を免除してもらえる
- 保育料の減免: 子どもの保育料が減額される場合がある
- 水道料金の減免: 一部の自治体では、失業者向けの水道料金減免制度がある
こうした制度は、知らないと損をするものばかりです。退職後は、住所地の市区町村役場で「失業した場合に使える減免制度」について一度まとめて相談することをお勧めします。
まとめ
失業保険の受給額を増やす方法について、正攻法を中心に詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
【受給額を最大化する5つのポイント】
- 離職理由を正しく判定してもらう
- 長時間労働、ハラスメント、やむを得ない事情がある場合は、必ず証拠を集めてハローワークに相談
- 離職票の内容に異議がある場合は、「異議 有」に必ず○をつける
- 特定受給資格者・特定理由離職者の要件を理解する
- 自己都合退職でも、条件に該当すれば給付制限がなくなったり、給付日数が増えたりする
- 退職前から要件に該当しそうか確認し、必要な証拠を集めておく
- 再就職手当を活用する
- 早期に良い就職先が見つかれば、再就職手当でトータルの収入を増やせる
- ただし、焦って条件の悪い会社に就職しないよう注意
- 減免制度を併用する
- 国民健康保険料の7割軽減、住民税の減免など、失業時に使える制度は多数ある
- 制度は申請しないと適用されないため、必ず自分から相談する
- 怪しいサポート業者には近づかない
- 高額な手数料を取る「増額サポート」は不正受給につながるリスクが高い
- 不正が発覚すれば3倍返しの重いペナルティがある
失業保険は、あなたが働いてきた証として受け取る正当な権利です。しかし、その権利を最大限に活用するには、制度を正しく理解し、適切に手続きすることが不可欠です。
「知らなかった」「面倒だから」と諦めてしまうのはもったいないことです。この記事で紹介した方法は、すべて合法的で、公的な制度に基づいたものです。
退職後の生活に不安を感じている方、失業保険を賢く活用したい方は、ぜひこの記事の内容を参考に、ハローワークや市区町村の窓口に相談してみてください。
あなたの次のステップが、より良いものになることを願っています。
