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失業保険の受給中に副業しても大丈夫?バレるリスクや申告の注意点を解説

会社を辞めて失業保険(雇用保険の基本手当)をもらいながら、少しでも収入を得るために副業やダブルワークをしたいと考えていませんか?

「生活費が足りないから働きたいけど、バレたら不正受給になるのでは?」
「業務委託やクラウドソーシングの仕事も申告しないとダメ?」
「4時間未満なら大丈夫って聞いたけど、本当?」

こうした不安を抱えながら、誰にも相談できずにいる方は少なくありません。結論から言うと、失業保険を受給しながら副業をすることは、一定の条件を守り正しく申告すれば完全に合法です。むしろ、ルールを理解して正直に申告することで、経済的にも精神的にも安心して次のステップへ進むことができます。

本記事では、失業保険受給中の副業に関する全ルールを網羅的に解説します。1日4時間・週20時間という境界線の意味、減額と先送りの仕組み、業務委託やフリーランス案件の扱い、そして何より「バレる仕組み」と不正受給の恐ろしいペナルティまで、実務的な知識を余すことなくお伝えします。

この記事を読めば、ハローワークでどう相談すればいいのか、失業認定申告書にどう記入すればいいのか、確定申告はいつ必要なのか、すべてが明確になります。副業で生活を支えながら、堂々と再就職活動を進めるための完全ガイドとして、ぜひ最後までお読みください。

目次

失業保険の受給中に副業・ダブルワークはできる?

まず大前提として、失業保険を受給している期間中に副業やダブルワークをすることは可能なのでしょうか。答えは「条件付きでイエス」です。ただし、失業保険制度の根本的な目的を理解しておく必要があります。

原則として「失業状態」であれば副業は認められる

失業保険(雇用保険の基本手当)は、「失業中で、働く意思と能力があり、積極的に求職活動をしているにもかかわらず就職できない人」を支援するための制度です。ここで重要なのは「失業中」の定義です。

雇用保険法では、失業とは「労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態」と定義されています。つまり、フルタイムの安定した仕事に就いていない状態であれば、短時間の副業をしていても「失業状態」として認められるのです。

実際、ハローワークでも「内職や手伝い程度の収入」を得ながら失業保険を受給することは認められています。なぜなら、完全に収入がゼロになると生活が成り立たず、かえって再就職活動に支障をきたす可能性があるからです。少額の収入で生活を支えながら、本格的な再就職先を探すことは、制度の趣旨に反しません。

ただし、ここには明確な条件があります。その副業が「短時間・短期間の補助的な労働」であることが前提です。具体的には、1日の労働時間や週の労働時間、雇用保険への加入要件などが基準になります。これらの条件については、次のセクションで詳しく解説します。

待機期間の7日間だけは「1時間」の仕事もNG

失業保険の受給には、申請後に必ず「待機期間」が設けられます。これは、ハローワークで求職申込みをした日から通算して7日間のことで、この期間は完全に失業状態でなければなりません。

待機期間中は、たとえ1時間のアルバイトや内職であっても、一切の労働が認められません。もし待機期間中に少しでも働いてしまうと、その日数分だけ待機期間が延びてしまいます。たとえば、待機期間の4日目に1日だけアルバイトをした場合、その日はカウントされず、待機期間の完了が1日後ろにずれることになります。

これは制度上、受給資格を確定させるための重要なルールです。「本当に失業しているのか」を確認するための期間なので、この7日間だけは絶対に働かないよう注意してください。待機期間が終われば、条件を守った範囲で副業を始めることができます。

また、自己都合退職の場合は、待機期間の後にさらに「給付制限期間(原則2ヶ月)」が設けられます。この給付制限期間中は基本手当が支給されないため、この期間に副業をしても減額などのペナルティはありません。ただし、後述する「1日4時間・週20時間」などの条件を超える労働をした場合は、失業状態とみなされなくなるリスクがあるため、注意が必要です。

副業をしても失業保険がもらえる3つの条件

失業保険を受給しながら副業をする場合、守るべき条件が3つあります。これらの条件を一つでも超えてしまうと、失業状態ではなく「就職した」とみなされ、基本手当の受給権が消滅する可能性があります。逆に言えば、これらの条件内であれば、正しく申告することで副業と失業保険を両立できるのです。

1日4時間未満の「内職・手伝い」であること

最も重要な基準が「1日の労働時間が4時間未満」というルールです。ハローワークでは、1日4時間以上の労働を「就労」、4時間未満の労働を「内職・手伝い」として区別しています。

この4時間という境界線には、明確な意味があります。雇用保険制度では、パートタイム労働でも週20時間以上、31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険の被保険者になります。そのため、1日4時間以上働くと、週5日働けば週20時間を超えてしまい、雇用保険の加入対象となる「就職」とみなされる可能性が高いのです。

具体的には、以下のような働き方が「4時間未満の内職・手伝い」に該当します。

  • 在宅でのデータ入力やライティング業務を1日3時間程度行う
  • 飲食店の開店準備を週2回、1回3時間手伝う
  • クラウドソーシングで単発の案件を受注し、1日2〜3時間作業する
  • 知人の店舗で週末だけ接客を3時間手伝う

これらの働き方であれば、1日4時間未満という条件をクリアしているため、失業認定申告書に正しく記載すれば、基本手当の支給を受けながら副収入を得ることができます。

ただし、4時間未満であっても、収入額によっては基本手当が減額される場合があります。この減額の仕組みについては、後ほど詳しく解説します。

週の労働時間が20時間未満であること

1日4時間未満という条件に加えて、週の合計労働時間が20時間未満であることも重要な条件です。この「週20時間」という基準は、雇用保険の被保険者資格に直結しています。

雇用保険法では、週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがある場合、雇用保険への加入が義務付けられています。つまり、週20時間以上働くと「安定した雇用関係にある」とみなされ、もはや失業状態ではないと判断されるのです。

たとえば、以下のようなケースでは週20時間を超えてしまうため、失業保険の受給資格を失う可能性があります。

  • 1日4時間未満でも、週6日働いて合計22時間になった場合
  • 複数の副業を掛け持ちして、合計で週21時間働いた場合
  • 短時間のアルバイトを複数掛け持ちして、週の合計が20時間を超えた場合

注意したいのは、「1つの仕事で20時間未満でも、複数の副業を合計すると20時間を超える」というケースです。たとえば、A社で週10時間、B社で週12時間働いた場合、合計22時間となり、失業状態とはみなされなくなります。

複数の副業を掛け持ちする場合は、必ず週の合計労働時間を管理してください。そして、失業認定申告書には、すべての労働について正直に記入する必要があります。

雇用保険への加入条件を満たさない範囲であること

上記の「週20時間未満」という条件と関連しますが、雇用保険への加入条件を満たさない働き方であることも重要です。雇用保険の加入要件は以下の通りです。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

この2つの条件を両方満たすと、雇用保険への加入が義務となり、失業保険の受給資格は消滅します。逆に言えば、どちらか一方でも満たさなければ、失業状態を維持できるということです。

たとえば、以下のような働き方であれば、雇用保険の加入条件を満たさないため、失業保険と両立できます。

  • 日雇いや単発のアルバイト(31日未満の雇用)
  • 週15時間のパート勤務(週20時間未満)
  • 1日3時間、週3日の飲食店スタッフ(週9時間)
  • クラウドソーシングでの単発案件(雇用契約なし)

ただし、業務委託やフリーランス案件の場合は、雇用契約がなくても「労働」とみなされるケースがあります。これについては、次のセクションで詳しく解説します。

重要なのは、「短時間・短期間・補助的な労働」という性質を保つことです。もし副業が軌道に乗り、週20時間を超えるような本格的な仕事になってきた場合は、失業保険の受給を終了し、「再就職」として再就職手当の申請を検討すべきタイミングです。

4時間以上働くとどうなる?「減額」と「先送り」の仕組み

失業保険を受給しながら副業をする場合、1日の労働時間が4時間未満か4時間以上かで、基本手当の扱いが大きく変わります。このセクションでは、労働時間による減額と先送りの違い、そして結局どちらが得なのかを解説します。

4時間未満の副業は収入によって「手当が減額」される

1日の労働時間が4時間未満の場合、ハローワークでは「内職・手伝い」として扱われます。この場合、基本手当の支給日数は減りませんが、収入額に応じて1日あたりの基本手当が減額される可能性があります。

減額の計算は以下のようになります。

基本手当日額 + 内職・手伝いの収入 − 控除額 > 賃金日額の80%

この式が成り立つ場合、超過分が基本手当から減額されます。具体的には、内職や手伝いで得た収入が一定額(控除額)を超えると、超えた分だけ基本手当が減らされるという仕組みです。

控除額は、賃金日額に応じて設定されており、おおむね1日あたり1,341円(令和6年8月時点)です。たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。

  • 基本手当日額:6,000円
  • 賃金日額:10,000円
  • 1日3時間の副業で3,000円の収入を得た場合

計算式に当てはめると、
6,000円 + 3,000円 − 1,341円 = 7,659円
賃金日額の80% = 8,000円

この場合、7,659円 < 8,000円なので、減額はありません。つまり、基本手当6,000円を満額受給できます。

一方、1日3時間の副業で5,000円の収入を得た場合は、
6,000円 + 5,000円 − 1,341円 = 9,659円
賃金日額の80% = 8,000円

9,659円 > 8,000円となり、超過分の1,659円が基本手当から減額されます。つまり、6,000円 − 1,659円 = 4,341円の基本手当しか受給できません。

このように、4時間未満の副業であっても、収入が多いと基本手当が減額される仕組みになっています。ただし、支給日数そのものは減らないため、受給期間を通じた総支給額には影響しません。

4時間以上の就労は「支給が先送りにされる」だけ

1日の労働時間が4時間以上の場合、ハローワークでは「就労」として扱われます。この場合、その日の基本手当は支給されず、支給が後ろに繰り延べられます。これを「支給の先送り」と呼びます。

重要なのは、4時間以上働いた日の基本手当が「消滅する」わけではなく、「後で受給できる」という点です。失業保険の受給期間は、離職日の翌日から1年間(所定給付日数が360日の場合は1年+60日)と決まっています。この期間内であれば、先送りされた分の基本手当を後から受給できます。

たとえば、所定給付日数が90日の人が、受給期間中に10日間だけ1日5時間のアルバイトをした場合、その10日分の基本手当は支給されませんが、受給期間内であれば後から10日分を受け取ることができます。

ただし、注意点があります。4時間以上の就労が週20時間以上、かつ31日以上継続する見込みがある場合、雇用保険の被保険者となり、失業保険の受給資格そのものが消滅します。たとえば、週4日×5時間 = 週20時間の契約でアルバイトを始めた場合、これは「就職」とみなされ、失業保険の受給は終了します。

したがって、4時間以上の就労は、あくまで単発や短期間の仕事に限定する必要があります。継続的に週20時間以上働く予定がある場合は、失業保険の受給を終了し、再就職手当の申請を検討すべきです。

結局どっちが得?損をしないための考え方

4時間未満と4時間以上、どちらの働き方が得なのかは、状況によって異なります。それぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。

4時間未満の内職・手伝いのメリット

  • 支給日数が減らないため、確実に所定給付日数分の基本手当を受給できる
  • 毎回の認定日で基本手当を受け取れるため、キャッシュフローが安定する
  • 短時間なので求職活動との両立がしやすい

4時間未満の内職・手伝いのデメリット

  • 収入が多いと基本手当が減額される
  • 時給の高い仕事でも、4時間未満に抑える必要がある

4時間以上の就労のメリット

  • 1回あたりの収入が大きく稼げる
  • 減額されずに、その日の基本手当は後で受給できる
  • 短期集中で稼ぎたい場合に有効

4時間以上の就労のデメリット

  • その日の基本手当は後回しになり、キャッシュフローが悪化する
  • 受給期間内に先送り分を受け取れないリスクがある
  • 求職活動に充てる時間が減る

結論として、安定的に副収入を得ながら失業保険も確実に受給したい場合は、1日4時間未満の働き方が最適です。一方、短期間で集中的に稼ぎたい、あるいは時給の高い仕事を数日だけ引き受けたい場合は、4時間以上の就労も選択肢になります。

最も重要なのは、どちらの働き方を選ぶにせよ、失業認定申告書に正しく記入して申告することです。申告漏れや虚偽の申告は不正受給とみなされ、後述する厳しいペナルティが課されます。

業務委託やクラウドソーシングも申告は必要?

近年、クラウドソーシングサイトやフリーランスとしての業務委託案件で副収入を得る人が増えています。しかし、「雇用契約がないから申告しなくてもいいのでは?」と誤解している人も少なくありません。このセクションでは、業務委託やフリーランス案件の扱いについて解説します。

雇用契約がなくても「労働」とみなされるケース

結論から言うと、業務委託やクラウドソーシングでの仕事も、ハローワークでは「労働」とみなされます。雇用契約の有無ではなく、「実質的に働いているかどうか」が判断基準となるからです。

たとえば、以下のような働き方はすべて申告対象です。

  • クラウドワークスやランサーズで記事執筆やデザイン案件を受注
  • Uber Eatsや出前館などのフードデリバリー配達員として稼働
  • ココナラやSKIMAなどのスキルシェアサービスで依頼を受ける
  • YouTubeやブログでの広告収入
  • 知人の店舗で業務委託として経理や事務作業を手伝う

これらはすべて、形式的には「雇用」ではなく「業務委託」や「自営業」として扱われますが、ハローワークの基準では「労働」に該当します。なぜなら、時間を使って収入を得ている以上、失業状態とは言えないからです。

特に注意すべきは、クラウドソーシングやフリーランス案件の場合、労働時間の記録が曖昧になりがちな点です。しかし、失業認定申告書には、実際に作業に費やした時間を正直に記入する必要があります。

たとえば、記事執筆の案件を受注し、2日間で合計8時間かけて執筆した場合、1日4時間ずつ作業したことになります。この場合、2日とも「4時間以上の就労」として申告しなければなりません。もし1日目に6時間、2日目に2時間作業した場合は、1日目は「4時間以上」、2日目は「4時間未満」として申告します。

このように、業務委託やフリーランス案件であっても、実際の労働時間を正確に把握し、申告することが求められます。「雇用契約がないから黙っていてもバレない」という考えは大きな誤りであり、後述するマイナンバーや確定申告から容易に発覚します。

開業届を出している場合は受給できない可能性がある

もう一つ重要なポイントは、税務署に「個人事業の開業届出書」を提出している場合です。開業届を出していると、税務上は「自営業者」とみなされ、失業保険の受給資格を失う可能性が高くなります。

失業保険は、あくまで「雇用されることを前提とした求職者」を支援する制度です。自営業者やフリーランスとして独立している場合、たとえ収入がゼロであっても「失業状態」とはみなされません。なぜなら、自営業者は「雇用される意思がない」と判断されるからです。

ただし、開業届を出しているだけで即座に受給資格を失うわけではありません。ハローワークでは、以下のような要素を総合的に判断します。

  • 実際に事業を行っているか(収入があるか、営業活動をしているか)
  • 事業の継続性や規模はどうか
  • 雇用される意思があるか(求職活動を行っているか)

たとえば、過去に開業届を出したが、現在は事業を休止しており、収入もなく、積極的に再就職活動をしている場合は、失業保険の受給が認められることもあります。逆に、開業届を出して実際に継続的な収入がある場合は、失業状態とはみなされず、受給資格を失います。

もし失業保険の受給を希望する場合は、ハローワークの窓口で正直に状況を説明し、判断を仰ぐことが重要です。また、将来的にフリーランスや自営業として本格的に活動したい場合は、失業保険の代わりに「再就職手当」を受給する方法もあります。これについては後述します。

副業がハローワークにバレる理由と不正受給のペナルティ

「少しくらい申告しなくてもバレないだろう」と考えて、副業の事実を隠したまま失業保険を受給しようとする人がいます。しかし、現代の行政システムでは、副業の事実はほぼ確実に発覚します。このセクションでは、なぜ副業がバレるのか、そして不正受給が発覚した場合のペナルティについて解説します。

マイナンバーや確定申告から筒抜けになる仕組み

2016年以降、マイナンバー制度が本格導入され、行政機関同士の情報連携が大幅に強化されました。ハローワーク(厚生労働省)と税務署(国税庁)、そして市区町村の税務部門は、マイナンバーを通じて個人の所得情報を共有できるようになっています。

具体的には、以下のような経路で副業の事実が発覚します。

1. 確定申告からの発覚
副業での年間所得が20万円を超えた場合、確定申告が義務となります。確定申告を行うと、その情報は税務署を通じて市区町村に共有され、住民税が計算されます。ハローワークは、必要に応じて税務署や市区町村に照会をかけることができるため、確定申告の内容から副業の事実が判明します。

2. 住民税の変動からの発覚
確定申告をしなくても、市区町村が住民税を計算する際に、前年と比較して所得が増えていることに気づく場合があります。失業保険を受給しているにもかかわらず、住民税の課税額が高いままだと、何らかの収入があると推測されます。市区町村とハローワークは情報を共有できるため、ここから不正受給が発覚するケースもあります。

3. 雇用保険の加入記録からの発覚
アルバイト先やパート先で週20時間以上働き、雇用保険に加入した場合、その記録は雇用保険のシステムに残ります。ハローワークは全国の雇用保険の加入状況を把握できるため、「失業保険を受給しながら別の会社で雇用保険に加入している」という矛盾から即座に発覚します。

4. 企業からの報告
アルバイト先やパート先の企業は、従業員の所得を税務署に報告する義務があります。この報告(源泉徴収票や給与支払報告書)は、マイナンバーとともに提出されるため、ハローワークが照会をかければ一発で判明します。

5. クラウドソーシングやフリーランス案件からの発覚
クラウドソーシングサイトでの報酬も、運営会社が支払調書を税務署に提出する場合があります。また、報酬を振り込んだクライアントが、経費として計上するために支払先の情報を税務署に提出します。これらの情報もマイナンバーで紐付けられるため、追跡が可能です。

住民税の変動や「通報」で発覚するケースも多い

マイナンバーや確定申告以外にも、不正受給が発覚する経路はいくつかあります。

住民税の特別徴収
副業先が給与として報酬を支払う場合、住民税が特別徴収(給与天引き)されることがあります。この場合、市区町村は「この人は失業保険を受給しているはずなのに、別の会社から給与をもらっている」という矛盾に気づき、ハローワークに通報するケースがあります。

通報による発覚
意外に多いのが、第三者からの通報です。元同僚や知人、近隣住民などが、「あの人は失業保険をもらいながら働いている」とハローワークに通報するケースは少なくありません。特に、SNSで副業の様子を投稿していたり、日中から頻繁に働いている姿を見られていたりすると、通報のリスクが高まります。

企業の内部調査
まれに、企業側が雇用保険の手続きをする際に、新しく雇ったスタッフが失業保険を受給中であることに気づき、ハローワークに確認を取るケースもあります。この場合、企業側も雇用保険の加入義務を怠ると罰則があるため、正直に報告することがあります。

恐ろしい「3倍返し」と支給停止の社会的リスク

不正受給が発覚した場合のペナルティは、想像以上に厳しいものです。主なペナルティは以下の通りです。

1. 不正受給額の全額返還
まず、不正に受給した基本手当の全額を返還しなければなりません。たとえば、6ヶ月間にわたって月10万円の基本手当を不正に受給していた場合、60万円を一括返還する義務が生じます。

2. 不正受給額の2倍の納付命令(実質3倍返し)
返還だけでは済みません。雇用保険法では、不正受給額に加えて、その2倍の金額を「納付命令」として支払わなければなりません。つまり、60万円を不正受給した場合、返還60万円 + 納付命令120万円 = 合計180万円を支払うことになります。これが「3倍返し」と呼ばれる理由です。

3. 延滞金の発生
納付命令に応じない場合、年14.6%(令和6年現在)の延滞金が発生します。たとえば、180万円の支払いを1年間滞納した場合、約26万円の延滞金が加算されます。

4. 今後の失業保険受給の停止
不正受給が発覚すると、その後の基本手当の支給が即座に停止されます。また、将来的に再び失業した場合でも、一定期間は失業保険を受給できなくなる可能性があります。

5. 刑事罰の可能性
悪質な不正受給の場合、詐欺罪として刑事告発される可能性もあります。雇用保険法第83条では、「偽りその他不正の行為により失業等給付を受けた者は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処する」と規定されています。実際に逮捕・起訴されるケースは少ないものの、可能性はゼロではありません。

6. 社会的信用の失墜
不正受給が発覚すると、再就職活動にも悪影響を及ぼします。特に、ハローワーク経由で応募していた企業に不正受給の事実が伝わる可能性があり、採用を見送られるリスクがあります。また、地域の口コミやSNSで噂が広まることもあり、社会的信用を大きく損ないます。

このように、不正受給のペナルティは金銭的にも社会的にも非常に重いものです。数万円の副収入を隠したために、数十万円から数百万円の負債を背負い、将来のキャリアにも傷をつけることになります。絶対に不正受給は避け、正直に申告することが最善の選択です。

失業保険を正しくもらいながら副業する手順

ここまで、失業保険と副業に関するルールやリスクを解説してきました。このセクションでは、実際に失業保険を受給しながら副業をする場合の具体的な手順を、ステップバイステップで説明します。

ステップ1:事前にハローワークの担当者に相談する

副業を始める前に、まずハローワークの窓口で担当者に相談することを強くおすすめします。「こういう働き方をしたいが、失業保険の受給に影響はあるか」と具体的に質問すれば、明確な回答を得られます。

相談する際は、以下の情報を整理しておくとスムーズです。

  • 副業の内容(業務内容、雇用形態、業務委託など)
  • 予定している労働時間(1日あたり、週あたり)
  • 予想される収入額
  • 契約期間や継続性の有無

ハローワークの担当者は、あなたの状況に応じて「この働き方なら大丈夫」「この場合は失業状態とみなされない」といった具体的なアドバイスをしてくれます。また、疑問点があれば、その場で確認できるため、後々のトラブルを未然に防げます。

注意点として、ハローワークの窓口によって、対応が微妙に異なる場合があります。不安な場合は、複数の職員に確認したり、書面での回答を求めたりすることも検討してください。

ステップ2:失業認定申告書に正しく記入する

失業保険を受給している間は、原則として4週間に1回、ハローワークで「失業認定」を受ける必要があります。この際に提出するのが「失業認定申告書」です。副業をしている場合、この申告書に正確に記入することが最も重要です。

失業認定申告書には、以下の項目を記入する欄があります。

  • 「就職・就労・内職・手伝いをしましたか?」という質問
  • 該当する日付と、その日の労働時間
  • 収入額

ここで、1日4時間未満の労働は「内職・手�伝い」として記入し、4時間以上の労働は「就労」として記入します。また、収入額も正確に記入する必要があります。

記入例1:クラウドソーシングで記事執筆をした場合

  • 日付:4月5日、4月6日
  • 労働時間:4月5日は3時間、4月6日は2時間
  • 収入:合計15,000円
  • 記入方法:「内職・手伝い」として、4月5日と4月6日をマークし、収入欄に「15,000円」と記入

記入例2:飲食店で単発アルバイトをした場合

  • 日付:4月10日
  • 労働時間:5時間
  • 収入:6,000円
  • 記入方法:「就労」として、4月10日をマークし、収入欄に「6,000円」と記入

収入額の記入については、税金や交通費を差し引く前の「総支給額」を記入するのが原則です。ただし、交通費が明確に区分されている場合は、交通費を除いた金額を記入しても問題ありません。不明な点があれば、ハローワークの担当者に確認してください。

また、収入が確定していない場合(たとえば、月末締めで翌月払いの場合)は、「支払い予定日」ではなく「労働した日」を基準に記入します。たとえば、4月に働いて5月に振り込まれる予定の収入でも、4月の認定日に申告する必要があります。

ステップ3:副業所得が20万円を超えたら確定申告を行う

副業での年間所得(収入から経費を引いた金額)が20万円を超えた場合、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行う必要があります。確定申告を怠ると、後から税務署に指摘され、追徴課税や延滞税が課される可能性があります。

確定申告の際は、以下の書類を準備してください。

  • 源泉徴収票(アルバイト先から発行される場合)
  • 支払調書や報酬の振込記録(クラウドソーシングや業務委託の場合)
  • 経費の領収書やレシート(交通費、通信費、消耗品費など)
  • 失業保険の受給証明書(ハローワークで発行可能)

注意点として、失業保険の基本手当は非課税所得のため、確定申告の所得には含まれません。ただし、副業での所得と失業保険を合算して生活していた場合でも、確定申告では副業の所得のみを申告します。

また、副業所得が20万円以下であっても、住民税の申告は必要です。住民税には「20万円ルール」がないため、たとえ1円の所得でも、市区町村に申告する義務があります。ただし、確定申告をすれば、その情報が自動的に市区町村に共有されるため、別途住民税の申告をする必要はありません。

確定申告は、国税庁の「e-Tax」システムを使えば、自宅からオンラインで簡単に行えます。初めての方は、税務署の相談窓口や税理士に相談することをおすすめします。

副業が軌道に乗ったら「再就職手当」への切り替えも検討しよう

副業を続けているうちに、収入が安定してきたり、週20時間以上働くようになったりした場合、失業保険の受給を終了し、「再就職手当」を申請することを検討すべきです。このセクションでは、再就職手当の仕組みとメリットを解説します。

自営業・フリーランスへの転身でも手当はもらえる

再就職手当は、失業保険の受給中に再就職した場合に支給される一時金です。多くの人は「再就職手当=正社員やパートになった場合のみ」と誤解していますが、実は自営業やフリーランスとして独立した場合でも、一定の条件を満たせば再就職手当を受給できます。

具体的には、以下の条件を満たす必要があります。

1. 待機期間7日間が経過した後に事業を開始すること
待機期間中に事業を開始した場合は、再就職手当の対象外です。

2. 給付制限期間中に事業を開始した場合は、開始後1ヶ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であること
自己都合退職の場合、給付制限期間の最初の1ヶ月間は、ハローワークや職業紹介事業者の紹介で就職しないと再就職手当を受給できません。ただし、この条件は雇用契約のみに適用され、自営業の場合は適用されないという解釈もあります。詳細はハローワークに確認してください。

3. 事業の継続性・安定性が認められること
「一時的な内職」ではなく、「本格的に事業を行う意思と実態」があると認められる必要があります。具体的には、開業届の提出、事業計画書の提示、初期投資の証明、継続的な収入の見込みなどが審査されます。

4. 失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていること
再就職手当は、残りの支給日数に応じて金額が変わります。支給残日数が3分の1未満になると、再就職手当は受給できません。

5. 過去3年以内に再就職手当を受給していないこと
再就職手当の受給には、一定の間隔が必要です。

6. 雇用保険の被保険者資格を取得すること(雇用の場合)
自営業の場合は、この条件は適用されません。

再就職手当を受給するための要件とメリット

再就職手当の金額は、基本手当日額と支給残日数によって決まります。計算式は以下の通りです。

再就職手当 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率

給付率は、支給残日数に応じて以下のように設定されています。

  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上:70%
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上3分の2未満:60%

たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。

  • 基本手当日額:6,000円
  • 所定給付日数:90日
  • 受給開始から30日後に自営業として開業
  • 支給残日数:60日(90日 − 30日)

この場合、支給残日数60日は所定給付日数90日の3分の2以上なので、給付率は70%です。
再就職手当 = 6,000円 × 60日 × 70% = 252,000円

つまり、25万2,000円の再就職手当を一括で受け取ることができます。

再就職手当のメリットは、以下の通りです。

1. まとまった資金を一括で受け取れる
失業保険を少しずつ受給するよりも、一括で受け取ることで、事業の初期投資や生活費に充てることができます。

2. 失業保険の受給手続きから解放される
4週間ごとの認定日に通う必要がなくなり、求職活動の実績を作る義務もなくなります。

3. 本格的に事業に専念できる
「失業状態」という制約から解放され、堂々と事業に専念できます。週20時間以上働いても問題ありませんし、収入の上限もありません。

ただし、再就職手当を受給すると、その後の失業保険の受給権は消滅します。したがって、「本当に事業を続けていけるのか」をよく考えた上で申請する必要があります。

再就職手当を申請する場合は、ハローワークに「就職届」と「再就職手当支給申請書」を提出します。自営業の場合は、開業届のコピーや事業計画書、初期投資の領収書などの提出を求められることがあります。

副業が軌道に乗り、本格的にフリーランスや自営業として生計を立てていく見込みが立った場合は、失業保険を少しずつ受給し続けるよりも、再就職手当を受け取って事業に集中する方が、長期的には有利になる可能性があります。


まとめ

失業保険の受給中に副業をすることは、正しいルールを守り、正直に申告すれば、完全に合法であり、むしろ推奨されるべき選択肢です。本記事で解説した内容を、最後にもう一度整理します。

失業保険と副業の基本ルール

  • 待機期間7日間は一切の労働が禁止
  • 1日4時間未満、週20時間未満であれば、失業状態を維持しながら副業可能
  • 雇用保険の加入条件を満たさない範囲で働くことが前提

労働時間による扱いの違い

  • 4時間未満の「内職・手伝い」:収入に応じて基本手当が減額されるが、支給日数は減らない
  • 4時間以上の「就労」:その日の基本手当は支給されず、後に繰り延べられる

業務委託やクラウドソーシングも申告必須

  • 雇用契約の有無ではなく、実質的に働いているかが判断基準
  • 開業届を出している場合は、受給資格を失う可能性が高い

不正受給のリスク

  • マイナンバー、確定申告、住民税、通報など、発覚経路は多数
  • ペナルティは「3倍返し」+延滞金+刑事罰の可能性

正しく副業する手順

  1. 事前にハローワークに相談する
  2. 失業認定申告書に正確に記入する
  3. 年間所得20万円超で確定申告を行う

副業が軌道に乗ったら再就職手当を検討

  • 自営業・フリーランスでも受給可能
  • まとまった資金を一括で受け取れるメリット

最も重要なのは、「隠さず、正直に申告する」ことです。数万円の副収入を隠したために、数十万円から数百万円の負債を背負い、将来のキャリアにも傷をつけるリスクは、決して割に合いません。

失業保険は、あなたが次のステップに進むための貴重なセーフティネットです。ルールを守り、正しく活用することで、経済的な不安を和らげながら、理想の再就職やキャリアチェンジを実現してください。

もし副業について少しでも不安があれば、まずはハローワークの窓口で相談することをおすすめします。担当者は、あなたの状況に応じた具体的なアドバイスをしてくれます。正攻法で、賢く、そして堂々と、失業保険と副業を両立させましょう。

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