派遣社員として働いていて、「1年未満の退職でも失業保険はもらえるのか」「派遣会社に自己都合と言われたらどうすればいいのか」と不安に感じていませんか?
実は派遣特有のルールを知っておくだけで、受給までの期間や金額が大きく変わることがあります。特に「契約満了」という形で離職する場合、会社都合なのか自己都合なのか、その判断によって給付制限期間が大きく異なってきます。
この記事では、派遣社員が最短で失業保険を受け取るための条件と手順を分かりやすく解説します。雇用保険制度の専門知識をもとに、派遣労働者が陥りやすい誤解を解きながら、あなたが損をしないための情報をお伝えしていきます。
派遣社員が失業保険(基本手当)をもらうための基本条件

失業保険、正式には「雇用保険の基本手当」と呼ばれるこの制度は、派遣社員も正社員と同じように受給できる権利を持っています。まずは基本的な受給条件から確認していきましょう。
雇用保険への加入期間がポイント
失業保険を受給するためには、大前提として雇用保険に加入していることが必要です。派遣社員の場合、次の条件を満たせば雇用保険への加入が義務付けられています。
雇用保険加入の条件
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
この2つの条件を満たしていれば、派遣社員でもパート社員でも、雇用形態に関係なく雇用保険に加入することになります。
そして、失業保険を受給するための基本的な条件は次の通りです。
一般的な受給資格
- 離職前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あること
- 各月において、賃金支払基礎日数が11日以上ある月を1ヶ月とカウント
つまり、過去2年間のうち12ヶ月以上、きちんと働いて給料をもらっていた実績があれば、基本的には受給資格があるということです。
ただし、派遣社員の場合、1つの派遣先での契約が短期間で終わることも多く、「2年間で12ヶ月」という条件を満たせないケースも少なくありません。そこで重要になってくるのが、次にご紹介する「特定理由離職者」という制度です。
パートタイマーと受給ルールに違いはある?
「派遣社員とパートタイマーでは、失業保険の受給条件に違いがあるのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
結論から言えば、雇用保険制度上、派遣社員とパートタイマーで特別な違いはありません。どちらも「雇用保険の被保険者」という同じカテゴリーに含まれます。
重要なのは、雇用形態ではなく「雇用保険への加入期間」と「離職理由」です。週20時間以上働いていて、必要な期間だけ雇用保険に加入していれば、派遣でもパートでも同じように失業保険を受給できます。
ただし、離職理由については派遣特有の事情があります。パートタイマーの場合は「自己都合退職」か「会社都合退職」かが比較的明確ですが、派遣社員の場合は「契約満了」という第三の選択肢があり、これが微妙な判断を生むことがあるのです。
この点については、後ほど詳しく解説していきます。
1年未満の退職でも受給できる「特定理由離職者」とは
派遣社員にとって特に重要なのが、この「特定理由離職者」という制度です。通常は2年間で12ヶ月の加入期間が必要ですが、特定理由離職者に該当すれば、1年間で6ヶ月の加入期間があれば受給資格が得られます。
6ヶ月以上の加入があれば受給対象になるケース
特定理由離職者とは、正当な理由があって離職した人のことを指します。派遣社員にとって特に重要なのは、次のようなケースです。
特定理由離職者に該当する主なケース
- 有期労働契約が更新されず、本人が更新を希望したにもかかわらず契約満了となった場合
- 契約更新の明示があったにもかかわらず、更新されずに契約満了となった場合
- 当初の契約条件と実際の労働条件が著しく異なっていた場合
- 賃金の3分の1以上が支払期日までに支払われなかった場合
- 通勤時間が片道2時間以上かかるようになった場合(通勤困難)
- 配偶者や扶養親族と別居生活を続けることが困難になった場合
派遣社員の多くは有期雇用契約で働いているため、上記の1つ目と2つ目のケースに該当する可能性が高いといえます。
特定理由離職者として認められれば、離職前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算6ヶ月以上あれば受給資格が得られます。これは派遣社員にとって非常に重要なポイントです。
例えば、3ヶ月契約の派遣で働いていて、2回更新されて合計9ヶ月働いた後に契約満了となった場合、特定理由離職者として認められれば失業保険を受給できることになります。
ただし、6ヶ月以上という期間には条件があります。各月において、賃金支払基礎日数が11日以上ある月を1ヶ月としてカウントするため、実際には6ヶ月よりも少し長く働いている必要がある場合もあります。
派遣の「契約満了」は会社都合と自己都合のどちらになる?
派遣社員にとって最も悩ましいのが、この「契約満了」の扱いです。契約満了が会社都合なのか自己都合なのかによって、給付制限期間が大きく変わってくるからです。
まず、給付制限期間について簡単に説明しましょう。
給付制限期間とは
- 会社都合退職の場合:待機期間7日後、すぐに給付が始まる
- 自己都合退職の場合:待機期間7日+給付制限2ヶ月(または3ヶ月)後に給付が始まる
つまり、会社都合と認められれば、最短で離職後8日目から失業保険を受け取れますが、自己都合とされると、最短でも約2ヶ月以上待たなければなりません。生活がかかっている人にとって、この違いは非常に大きいものです。
派遣の契約満了が会社都合になるケース
契約満了が会社都合(特定受給資格者または特定理由離職者)として扱われるのは、主に次のようなケースです。
- 契約更新を希望したが、派遣会社から更新されなかった場合
- 派遣社員本人が更新を希望していたにもかかわらず、派遣会社側の都合で更新されなかった場合は、特定理由離職者として扱われ、給付制限がかかりません。
- 契約書に「更新あり」と明記されていたのに更新されなかった場合
- 当初の契約書に「契約更新の可能性あり」などと記載されていたにもかかわらず、一方的に更新されなかった場合も、特定理由離職者として扱われます。
- 3年以上継続して同一派遣先で働いていた場合
- 長期間同じ派遣先で働いていた場合、雇用継続への期待が生じていたと判断され、特定受給資格者として扱われることがあります。
派遣の契約満了が自己都合になるケース
一方、次のようなケースでは自己都合退職として扱われます。
- 自分から契約更新を断った場合
- 派遣会社から契約更新の打診があったにもかかわらず、自分の意思で更新を断った場合は、自己都合退職となります。
- 契約書に「更新なし」と明記されており、それを承知で契約した場合
- 最初から「契約更新なし」という条件で働き始め、そのまま契約満了となった場合は、原則として自己都合扱いになります。ただし、これについては後ほど詳しく解説します。
- 契約期間中に自分から退職を申し出た場合
- 契約期間の途中で、自分の都合で退職した場合は、当然ながら自己都合退職となります。
微妙なケース:最初から「更新なし」の契約だった場合
実はこのケースが最も判断が難しいところです。派遣社員の中には、最初から「契約更新なし」という条件で働き始める方も少なくありません。
この場合、理論的には「自己都合」として扱われるべきですが、実際のハローワークでの判断は少し異なることがあります。
雇用保険制度の趣旨から考えると、有期労働契約が満了したこと自体は、労働者本人の意思によるものではありません。そのため、たとえ「更新なし」の契約であっても、実質的には「やむを得ない離職」として、特定理由離職者に該当すると判断されるケースがあります。
実際、厚生労働省の通達では、有期労働契約の更新を希望したが更新されなかった場合だけでなく、更新を希望する意思表示をしなかった場合でも、一定の条件下では特定理由離職者として扱うことができるとされています。
ただし、これはハローワークでの個別判断になるため、離職票の内容や面接での説明によって結果が変わることがあります。次の章で、この点についての対処法を詳しく解説します。
いくらもらえる?派遣の失業保険の計算方法
失業保険でいくらもらえるのかは、派遣社員にとって重要な関心事です。ここでは、実際の計算方法と受給できる日数について解説します。
直近6ヶ月の給与から算出する基本手当日額
失業保険の金額は、離職前6ヶ月の給与をもとに計算されます。具体的には、次のような流れで算出されます。
基本手当日額の計算手順
- 賃金日額を計算する
- 離職前6ヶ月の給与総額を180日で割る
- 賃金日額=(離職前6ヶ月の給与総額)÷180
- 基本手当日額を計算する
- 賃金日額に給付率(50%〜80%)を掛ける
- 給付率は賃金日額の金額によって変動する
給付率は、賃金が低い人ほど高く、賃金が高い人ほど低くなる仕組みになっています。これは、生活の困窮度に応じて手厚く保護するという制度の趣旨によるものです。
具体的な計算例
例えば、派遣社員として月給20万円で6ヶ月働いていた場合を考えてみましょう。
- 6ヶ月の給与総額:20万円×6ヶ月=120万円
- 賃金日額:120万円÷180日=6,667円
- 基本手当日額:6,667円×給付率(約50〜60%)=約3,334円〜4,000円
つまり、1日あたり3,334円〜4,000円程度の失業保険を受け取れることになります。
もう一つ例を挙げましょう。月給15万円で6ヶ月働いていた場合です。
- 6ヶ月の給与総額:15万円×6ヶ月=90万円
- 賃金日額:90万円÷180日=5,000円
- 基本手当日額:5,000円×給付率(約60〜70%)=約3,000円〜3,500円
賃金が低い場合は給付率が高くなるため、月給15万円の場合でも、それほど極端には減りません。
注意点:交通費の扱い
給与総額には、基本給だけでなく各種手当も含まれます。交通費(通勤手当)も給与の一部として計算に含まれます。派遣社員の場合、時給に交通費が含まれている場合もあれば、別途支給される場合もありますが、いずれにせよ離職票に記載された賃金総額がベースになります。
賞与の扱い
賞与(ボーナス)は、失業保険の計算には含まれません。あくまで月々の給与のみが計算対象となります。
受給できる日数の目安
失業保険を何日分受け取れるかは、年齢、離職理由、雇用保険の加入期間によって決まります。
一般の離職者(自己都合退職)の場合
自己都合で退職した場合の所定給付日数は、比較的シンプルです。
- 被保険者期間10年未満:90日
- 被保険者期間10年以上20年未満:120日
- 被保険者期間20年以上:150日
派遣社員の場合、10年未満の方が多いため、多くのケースでは90日分の失業保険を受け取ることになります。
例えば、基本手当日額が3,500円で90日分受け取れる場合、総額は31万5,000円となります。
特定受給資格者または特定理由離職者の場合
会社都合退職や特定理由離職者として認められた場合は、所定給付日数が大幅に増えます。
年齢と被保険者期間によって細かく区分されていますが、派遣社員に多いパターンをいくつかご紹介します。
30歳未満の場合
- 被保険者期間1年未満:90日
- 被保険者期間1年以上5年未満:90日
- 被保険者期間5年以上10年未満:120日
- 被保険者期間10年以上20年未満:180日
30歳以上35歳未満の場合
- 被保険者期間1年未満:90日
- 被保険者期間1年以上5年未満:120日
- 被保険者期間5年以上10年未満:180日
- 被保険者期間10年以上20年未満:210日
35歳以上45歳未満の場合
- 被保険者期間1年未満:90日
- 被保険者期間1年以上5年未満:150日
- 被保険者期間5年以上10年未満:180日
- 被保険者期間10年以上20年未満:240日
このように、特定受給資格者や特定理由離職者として認められると、給付日数が大幅に増えることが分かります。
例えば、32歳で被保険者期間3年の派遣社員が、特定理由離職者として認められた場合、120日分の失業保険を受け取れます。基本手当日額が3,500円なら、総額は42万円となります。
一方、同じ条件でも自己都合退職とされてしまうと、90日分の31万5,000円しか受け取れません。その差は10万5,000円にもなります。
だからこそ、離職理由の判定は非常に重要なのです。
損をしないための失業保険申請スケジュール
失業保険を確実に受け取るためには、正しい手順で手続きを進める必要があります。ここでは、申請から受給までの流れと、必要な準備について解説します。
ハローワークでの手続きに必要な書類
失業保険の申請は、住所地を管轄するハローワークで行います。初回の手続きの際には、次の書類を持参する必要があります。
必要書類一覧
- 離職票-1、離職票-2
- 派遣会社が発行する書類で、退職後10日前後で自宅に郵送されてきます
- 離職票-1には雇用保険の被保険者番号などが記載されています
- 離職票-2には離職理由や過去6ヶ月の給与額が記載されています
- 個人番号確認書類
- マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーが記載された住民票のいずれか
- 身元確認書類
- マイナンバーカード(個人番号確認と兼用)、運転免許証、パスポートなど
- 証明写真2枚
- 縦3cm×横2.5cmの証明写真
- 正面上半身、3ヶ月以内に撮影したもの
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 失業保険が振り込まれる口座
- インターネット銀行の一部は使えない場合があるため注意
- 印鑑
- 認印で可(シャチハタは不可)
離職票が届かない場合の対処法
通常、退職後10日程度で離職票が郵送されてきますが、中には1ヶ月経っても届かないというケースもあります。この場合、次のように対処しましょう。
まずは派遣会社に電話で確認します。「離職票の発行状況を教えてください」と丁寧に尋ねれば、通常は対応してもらえます。
それでも対応が遅い場合や、派遣会社が離職票の発行を渋る場合は、ハローワークに相談しましょう。ハローワークから派遣会社に督促してもらうことができます。
また、離職票がなくても、一定の条件下で失業保険の仮手続きができる場合もあります。離職票の到着を待っている間に受給期間が過ぎてしまわないよう、早めにハローワークに相談することをおすすめします。
待機期間と給付制限期間の仕組み
失業保険の申請をしてから実際にお金を受け取るまでには、いくつかの期間があります。これを理解しておくことで、生活設計が立てやすくなります。
手続きから受給までの流れ
- ハローワークで求職申込みと離職票の提出(受給資格決定)
- この日が基準日となります
- 待機期間(7日間)
- 受給資格決定日から7日間は、誰でも必ず待機期間となります
- この期間は、完全に失業状態であることを確認するための期間です
- アルバイトなど一切の収入を得てはいけません
- 雇用保険受給者初回説明会
- 待機期間後に開催される説明会に参加します
- 雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が交付されます
- 給付制限期間(自己都合退職の場合のみ)
- 自己都合退職の場合は、待機期間終了後、さらに2ヶ月または3ヶ月の給付制限期間があります
- 会社都合退職や特定理由離職者の場合は、この期間がありません
- 失業認定日
- 原則として4週間に1度、ハローワークで失業の認定を受けます
- 認定日には、求職活動の実績を報告する必要があります
- 失業保険の振込
- 失業認定日の約1週間後に、指定の口座に振り込まれます
会社都合退職の場合のスケジュール例
例えば、3月31日に離職票をもらってハローワークで手続きをした場合を考えてみましょう。
- 3月31日:受給資格決定(手続き完了)
- 4月7日:待機期間終了
- 4月中旬:雇用保険受給者初回説明会
- 4月28日頃:第1回失業認定日
- 5月上旬:初回の失業保険が振込
会社都合退職や特定理由離職者の場合、最短で手続きから約1ヶ月後には初回の失業保険を受け取れることになります。
自己都合退職の場合のスケジュール例
同じく3月31日に手続きをした場合でも、自己都合退職の場合は次のようになります。
- 3月31日:受給資格決定(手続き完了)
- 4月7日:待機期間終了
- 4月中旬:雇用保険受給者初回説明会
- 4月8日〜6月7日:給付制限期間(2ヶ月)
- 6月下旬:第1回失業認定日
- 7月上旬:初回の失業保険が振込
自己都合退職の場合、最短でも手続きから約3ヶ月後にならないと失業保険を受け取れません。この差は非常に大きいため、離職理由の判定が重要になるのです。
求職活動の実績とは
失業保険を受給するためには、定期的に求職活動をしている実績を示す必要があります。具体的には、次のような活動が求職活動として認められます。
- ハローワークでの職業相談、職業紹介
- ハローワークが実施する職業訓練やセミナーへの参加
- 民間の職業紹介事業者(転職エージェントなど)への求職申込み
- 企業への応募書類の送付
- 企業の採用面接
- 各種国家試験、検定などの資格試験の受験
認定日までに、原則として2回以上の求職活動実績が必要です。ただし、初回の認定日については、説明会への参加が1回分の実績としてカウントされるため、追加で1回の活動をすれば要件を満たします。
派遣会社から「自己都合」と言われた時の対処法
派遣社員の中には、契約満了で離職したにもかかわらず、派遣会社から「自己都合退職」と言われて困惑する方が少なくありません。ここでは、そのような場合の対処法を詳しく解説します。
ハローワークで「異議申し立て」ができる
まず重要なのは、離職理由を最終的に判断するのは派遣会社ではなく、ハローワークだということです。
派遣会社が発行する離職票には、派遣会社側の見解が記載されますが、それがそのまま確定するわけではありません。ハローワークは、離職票の内容と本人の説明をもとに、改めて離職理由を判定します。
離職票の内容に納得できない場合の手順
- 離職票-2の内容を必ず確認する
- 離職票-2には「離職理由」の欄があり、会社側が記入した理由が記載されています
- また、「離職者記入欄」という欄もあり、ここに自分の意見を書くことができます
- 離職者記入欄に異議を記入する
- 会社側の記載内容に納得できない場合は、「離職者記入欄」に自分の意見を明確に書きましょう
- 例:「契約更新を希望していたが、会社都合により更新されなかった」
- または、別紙に詳細な説明を書いて添付することもできます
- ハローワークの窓口で事情を説明する
- 離職票を提出する際、窓口の担当者に事情を詳しく説明します
- 客観的な事実を時系列で説明することが重要です
- 証拠書類があれば提出する
- 後ほど詳しく説明しますが、契約更新を希望していた証拠があれば、一緒に提出します
ハローワークでの面接
離職理由について疑義がある場合、ハローワークの担当者から詳しく事情を聞かれることがあります。この面接で重要なのは、次のポイントです。
- 感情的にならず、客観的な事実を淡々と説明する
- 時系列を整理して、分かりやすく説明する
- 「〜だと思います」ではなく、「〜と言われました」「〜の書類があります」など、具体的な事実を述べる
ハローワークは、労働者の味方でも会社の味方でもなく、中立的な立場で判断します。だからこそ、客観的な事実に基づいた説明が重要になります。
契約更新を希望していた事実を証明する準備
離職理由を「特定理由離職者」として認めてもらうためには、「契約更新を希望していた」という事実を証明することが重要です。ここでは、その証拠として有効なものをご紹介します。
有効な証拠書類
- 契約書の「更新の可能性」に関する記載
- 派遣契約書に「更新の可能性あり」「双方合意により更新することがある」などの記載があれば、それが証拠になります
- 契約書のコピーを持参しましょう
- 派遣会社からのメールや書面
- 「次回の更新について相談したい」など、派遣会社から更新に関する連絡があった場合、そのメールや書面が証拠になります
- 自分から「更新を希望します」と送ったメールも有効です
- 派遣会社との面談記録
- 更新面談があった場合、その日時や内容をメモしておくと良いでしょう
- 「〇月〇日に担当者と面談し、更新を希望すると伝えた」という記録が役立ちます
- 同僚の証言
- 同じ派遣先で働いていた同僚が、あなたが更新を希望していたことを証言できる場合もあります
- ただし、これは補助的な証拠として扱われます
証拠がない場合でも諦めない
「証拠となる書類が何もない」という方もいるかもしれません。しかし、証拠がなくても、口頭での説明だけで認められるケースもあります。
特に、次のような事実があれば、説得力が増します。
- 過去に何度も契約更新されていた実績がある
- 派遣先の事業所が継続しているのに、自分だけ契約終了になった
- 契約満了の通知が直前だった(例:契約終了の1週間前に突然告げられた)
- 派遣会社から「次の仕事を紹介する」という話がなかった
これらの状況証拠を整理して説明することで、「本人は更新を希望していたが、会社側の都合で更新されなかった」と認めてもらえる可能性があります。
よくある誤解:「更新しますか」と聞かれて答えなかった場合
契約満了が近づいた時期に、派遣会社から「次回も更新しますか」と聞かれたものの、その時点では明確に答えなかったというケースもあります。
この場合、「本人が更新を希望していなかった」と判断されるのではないかと不安に思う方もいますが、必ずしもそうではありません。
厚生労働省の通達では、更新の意思表示をしなかった場合でも、客観的な状況から「更新を期待するのが合理的」と判断される場合には、特定理由離職者として扱うことができるとされています。
具体的には、次のような場合です。
- 過去に3回以上更新された実績がある
- 契約書に「更新する場合がある」と明記されている
- 同じ派遣先で1年以上働いていた
これらの条件を満たす場合は、明確な更新拒否の意思表示をしていない限り、更新を期待するのが自然だと判断される可能性があります。
派遣会社との交渉も選択肢の一つ
ハローワークでの手続きとは別に、派遣会社と直接交渉するという方法もあります。離職票の離職理由欄を「特定理由離職者」相当の内容に訂正してもらうよう、派遣会社に依頼するのです。
ただし、これは必ずしも成功するとは限りません。派遣会社によっては、「会社の方針」として一律に自己都合扱いにしているところもあります。
交渉がうまくいかない場合は、無理に押し通そうとするよりも、ハローワークでの手続きに集中した方が良いでしょう。ハローワークは派遣会社の意見だけでなく、本人の説明も聞いた上で判断してくれます。
受給中に知っておきたい補足情報(潜在ニーズ)
失業保険を受給している間、生活を維持するためにさまざまな疑問が出てくることでしょう。ここでは、受給中の生活に関する補足情報をまとめました。
失業保険をもらいながら短期派遣や単発バイトはできる?
失業保険を受給している間に、生活費を補うために短期のアルバイトや単発の仕事をしたいと考える方は少なくありません。結論から言えば、一定の条件下で認められます。
原則:働いた日は失業とは認められない
失業保険の趣旨は、「仕事を失って収入がない人を支援する」というものです。したがって、働いて収入を得た日は、原則として「失業していない」と判断され、その日の分の失業保険は支給されません。
ただし、これは「完全に禁止されている」という意味ではありません。正しく申告すれば、短期の仕事をすることは可能です。
週20時間未満の仕事なら可能
重要なポイントは、週の労働時間が20時間未満であることです。週20時間以上働くと、雇用保険の被保険者となってしまい、失業保険の受給資格を失います。
したがって、次のような働き方であれば、失業保険を受給しながら収入を得ることができます。
- 単発の派遣やアルバイト(週1〜2日程度)
- 短期の仕事(数日間の仕事)
- 在宅ワーク(クラウドソーシングなど)
申告が必要
仕事をした場合は、必ず失業認定申告書に記入して申告する必要があります。申告しないと不正受給となり、後で発覚すると厳しいペナルティが課されます。
申告すれば、働いた日数分は失業保険が支給されませんが、その分は受給期間が後ろにずれるだけなので、総額は変わりません。つまり、正しく申告すれば損をすることはないのです。
収入の額によっては減額される
1日あたりの収入が一定額を超える場合、働いていない日の失業保険が減額されることがあります。具体的には、収入と基本手当日額の合計が、離職前の賃金日額の80%を超える場合に減額調整が行われます。
ただし、完全に支給されなくなるわけではなく、超過分を差し引いた額が支給されます。
内職や在宅ワークも申告が必要
「短時間の内職だから申告しなくていいだろう」と考える方もいますが、これは誤りです。時間の長短や収入の多寡に関わらず、収入を得た場合は必ず申告しなければなりません。
クラウドソーシングで数千円の収入を得た場合でも、正直に申告しましょう。少額であれば失業保険が減額されることはほとんどありません。
複数の派遣会社で働いた期間は合算できる
派遣社員の中には、複数の派遣会社に登録し、時期によって異なる派遣会社から派遣されていたという方も多いでしょう。この場合、被保険者期間はどのように計算されるのでしょうか。
雇用保険の被保険者期間は通算される
結論から言えば、複数の派遣会社で働いた期間は通算されます。雇用保険は、雇用主が変わっても、空白期間が1年以内であれば期間が通算される仕組みになっています。
例えば、次のような経歴の場合を考えてみましょう。
- A派遣会社で6ヶ月間働く
- 1ヶ月の空白期間
- B派遣会社で6ヶ月間働く
- 2週間の空白期間
- C派遣会社で3ヶ月間働いて離職
この場合、A派遣会社での6ヶ月、B派遣会社での6ヶ月、C派遣会社での3ヶ月が通算され、合計15ヶ月の被保険者期間として認められます。
空白期間が1年を超える場合は要注意
ただし、空白期間が1年を超えると、それ以前の期間はリセットされてしまいます。
例えば、次のような場合です。
- A派遣会社で12ヶ月間働く
- 1年3ヶ月の空白期間(フリーランスとして働いていた、海外にいた、など)
- B派遣会社で6ヶ月間働いて離職
この場合、A派遣会社での12ヶ月は通算されず、B派遣会社での6ヶ月のみが被保険者期間としてカウントされます。特定理由離職者として認められれば6ヶ月でも受給資格はありますが、一般の離職者の場合は受給資格を得られません。
離職票は各派遣会社から発行される
複数の派遣会社で働いていた場合、最後に働いた派遣会社だけでなく、直近2年間(または1年間)に働いたすべての派遣会社から離職票を取得できる可能性があります。
ハローワークでの手続きの際、「過去に他の会社でも働いていた」と申告すれば、担当者が確認してくれます。場合によっては、過去の派遣会社にも連絡を取って、被保険者期間を確認してもらえることがあります。
退職後の健康保険や年金の切り替え手続き
失業保険とは直接関係ありませんが、退職後には健康保険と年金の切り替え手続きも必要です。これらを忘れると、医療費が全額自己負担になったり、将来の年金額が減ったりする可能性があるため、必ず手続きを行いましょう。
健康保険の選択肢
派遣社員が退職した後の健康保険には、主に3つの選択肢があります。
- 国民健康保険に加入する
- 市区町村の窓口で手続きを行います
- 保険料は前年の所得をもとに計算されます
- 退職後14日以内に手続きが必要です
- 任意継続被保険者制度を利用する
- 派遣会社の健康保険を、退職後も最長2年間継続できる制度です
- 保険料は全額自己負担(在職中は会社と折半だった)となります
- 退職後20日以内に手続きが必要です
- 2年間の保険料総額と国民健康保険の保険料を比較して、安い方を選ぶと良いでしょう
- 家族の扶養に入る
- 配偶者や親が社会保険に加入している場合、その扶養に入ることができます
- 年収が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)であることが条件です
- 失業保険を受給している間は、日額3,612円以上の場合、年収換算で130万円を超えるため扶養に入れないことがあります
どの選択肢が一番お得?
一般的には、家族の扶養に入れる場合はそれが最もお得です。保険料が一切かからないためです。
扶養に入れない場合は、国民健康保険と任意継続のどちらが安いかを計算する必要があります。これは個人の前年所得や住んでいる市区町村によって異なるため、両方の窓口で保険料を試算してもらうと良いでしょう。
年金の切り替え
退職後は、厚生年金から国民年金への切り替えが必要です。
- 手続き場所:市区町村の年金窓口
- 必要書類:年金手帳、離職票または退職証明書、身分証明書
- 期限:退職後14日以内
国民年金の保険料は、2025年度で月額16,980円です。失業中で支払いが困難な場合は、保険料の免除や猶予の制度もあるため、市区町村の窓口で相談しましょう。
配偶者の扶養に入る場合は、国民年金の第3号被保険者となり、保険料の支払いが不要になります。
住民税の支払いも忘れずに
退職後も、前年の所得に応じた住民税の支払いが続きます。在職中は給与から天引きされていましたが、退職後は自分で納付書を使って支払う必要があります。
退職時期によって支払い方法が異なるため、退職時に派遣会社に確認しておくと安心です。
まとめ
派遣社員も、正社員と同じように失業保険を受給する権利があります。ただし、派遣特有のルールや注意点があるため、正しい知識を持って手続きを進めることが重要です。
この記事の重要ポイント
まず、受給資格については、原則として離職前2年間に12ヶ月以上の雇用保険加入期間が必要です。しかし、特定理由離職者として認められれば、1年間に6ヶ月以上の加入期間があれば受給資格を得られます。
派遣社員の多くは有期雇用契約で働いているため、契約更新を希望したにもかかわらず更新されなかった場合は、特定理由離職者として扱われる可能性が高くなります。
離職理由の判定は非常に重要です。会社都合退職または特定理由離職者として認められれば、待機期間7日後すぐに失業保険を受け取れますが、自己都合退職とされると、さらに2ヶ月以上待たなければなりません。
派遣会社が発行する離職票の内容に納得できない場合は、ハローワークで異議を申し立てることができます。離職理由を最終的に判断するのは派遣会社ではなく、ハローワークです。契約更新を希望していた事実を示す証拠があれば、それを持参しましょう。証拠がない場合でも、口頭での説明だけで認められるケースもあります。
失業保険の金額は、離職前6ヶ月の給与をもとに計算されます。基本手当日額は賃金日額の50〜80%程度で、受給できる日数は離職理由、年齢、雇用保険の加入期間によって決まります。
複数の派遣会社で働いた期間は、空白期間が1年以内であれば通算されます。過去に複数の派遣会社で働いていた場合は、ハローワークでその旨を申告しましょう。
失業保険を受給している間、短期のアルバイトや派遣の仕事をすることは可能です。ただし、週20時間未満であることが条件で、働いた日数や収入は必ず申告する必要があります。
また、退職後は健康保険と年金の切り替え手続きも忘れずに行いましょう。これらの手続きを怠ると、医療費が全額自己負担になったり、将来の年金額が減ったりする可能性があります。
