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失業保険をもらいながら職業訓練を受ける手順と2026年最新の給付ルール

失業保険の受給期間が終わったら生活が不安になる、スキルアップしたいけれど高額な受講料は払えない――そんな悩みを抱えている方に朗報です。実は、公共職業訓練と教育訓練給付制度を上手に活用すれば、失業保険の受給期間を延長しながら、受講料の最大80%の給付を受けることができます。

2025年4月からは「自己都合退職でも待機期間なしで受給できる」新ルールが施行され、リスキリングを目的とした退職者への支援が大幅に拡充されました。これにより、従来は2〜3ヶ月の給付制限があった自己都合退職者も、条件を満たせばすぐに失業保険を受け取りながら職業訓練を受講できるようになっています。

この記事では、失業保険と職業訓練を併用する具体的な手順から、2026年時点での最新ルール、申請のタイミング、よくある失敗事例まで、損をしないための完全ロードマップをお伝えします。経済的な不安を解消しながら、将来につながるスキルを身につけて年収アップの再就職を実現しましょう。

目次

失業保険と職業訓練を併用する2つのルート

失業保険を受給しながら職業訓練を受ける方法には、大きく分けて2つのルートがあります。どちらを選ぶかによって、受けられる給付の内容や訓練期間、対象となるスクールが変わってくるため、自分の状況に合った選択をすることが重要です。

公共職業訓練で失業保険を「延長」して受給する

公共職業訓練(ハロートレーニング)は、ハローワークが主導する職業訓練制度で、最大の特徴は失業保険の受給期間を訓練修了まで延長できる点にあります。通常、失業保険の給付日数は自己都合退職の場合90日〜150日、会社都合退職の場合でも90日〜330日と決まっていますが、公共職業訓練を受講すると、訓練期間中は給付日数を使い切っていても失業保険が支給され続けます。

たとえば、給付日数が残り30日しかない状態で6ヶ月間の職業訓練を開始した場合、通常なら30日後に給付が終了してしまいますが、公共職業訓練を受講していれば、訓練修了までの6ヶ月間、失業保険を受け取り続けることができます。さらに、訓練期間中は「技能習得手当」として、通所手当(交通費)や受講手当(1日500円、上限2万円)も支給されるため、生活費の負担を大きく軽減できます。

公共職業訓練は基本的に受講料が無料で、テキスト代などの教材費のみ自己負担となります。訓練内容は、ITスキル(Webデザイン、プログラミング、ネットワーク管理)、介護福祉士、医療事務、経理事務、CADオペレーター、溶接・機械加工など多岐にわたります。訓練期間は3ヶ月から1年程度が一般的で、基礎から学べるカリキュラムが組まれているため、未経験者でも安心して受講できます。

ただし、公共職業訓練には入校選考があり、筆記試験や面接を通過しなければ受講できません。また、訓練の開始時期が年に数回と限られているため、タイミングが合わないと数ヶ月待つことになる場合もあります。それでも、受講料が無料で失業保険が延長される点は大きなメリットであり、特に「じっくり基礎から学びたい」「生活費の確保を最優先したい」という方に向いている制度です。

教育訓練給付制度で受講料の「最大80%」を還付してもらう

一方、教育訓練給付制度は、厚生労働大臣が指定する民間スクールや専門学校の講座を受講した場合、受講料の一部が給付される制度です。この制度には「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」の3種類があり、最も給付率が高いのが**専門実践教育訓練給付金で、受講料の最大80%(年間上限56万円、最長4年で224万円)**が還付されます。

専門実践教育訓練の対象となる講座は、看護師や保育士などの国家資格取得コース、大学院や専門職大学院、データサイエンス、AI・機械学習、デジタルマーケティング、クラウドエンジニアリングなど、高度な専門スキルを習得できるものが中心です。訓練期間は1年以上が多く、最長で4年間のコースもあります。

この制度の大きな特徴は、失業保険を受給しながらでも利用できる点です。公共職業訓練は失業保険の延長が主な目的ですが、教育訓練給付制度は受講料の還付がメインとなります。さらに、45歳未満の離職者で一定の条件を満たす場合、「教育訓練支援給付金」を併用することで、訓練期間中の生活費として失業保険の基本手当日額の80%相当が追加で支給されます。

たとえば、月額30万円のプログラミングスクールに1年間通う場合、総額360万円の受講料がかかりますが、専門実践教育訓練給付金を利用すれば最大288万円(80%)が還付され、実質負担は72万円で済みます。さらに教育訓練支援給付金で月額約12万円(基本手当日額8,000円×30日×80%の場合)を受け取れば、生活費の心配もほぼなくなります。

ただし、教育訓練給付制度を利用するには、**雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回は2年以上)**必要で、受講開始の1ヶ月前までにハローワークでの事前手続きが必須です。また、給付を受けるためには訓練を修了し、かつ修了後1年以内に資格を取得するか、修了後1年以内に就職する必要があります。

公共職業訓練と教育訓練給付制度、どちらを選ぶべきかは、「何を学びたいか」「どのくらいの期間で習得したいか」「どの程度の費用をかけられるか」によって変わります。次のセクションでは、2025年4月から始まった新ルールについて詳しく見ていきましょう。

2025年4月からの新ルール!自己都合退職でも待機なしで受給できる条件

2025年4月1日から、失業保険の給付制限に関する大きな制度改正が実施されました。これにより、自己都合で退職した場合でも、一定の条件を満たせば給付制限期間(従来の2〜3ヶ月)が解除され、待機期間7日後すぐに失業保険を受給できるようになりました。この改正は、リスキリングやキャリアチェンジを目的とした離職者を支援するために導入されたもので、職業訓練との併用を考えている方にとっては非常に有利なルールです。

離職前後のリスキリング受講で給付制限が解除される仕組み

新ルールの最大のポイントは、離職前または離職後にリスキリングのための職業訓練を受講していれば、給付制限が解除されるという点です。具体的には、以下の条件を満たすことで、自己都合退職であっても会社都合退職と同様に、待機期間7日後から失業保険を受給できます。

まず、離職前に受講していた場合、退職日の6ヶ月前から退職日までの間に、厚生労働大臣が指定する教育訓練給付金の対象講座を受講開始していることが条件となります。たとえば、2026年3月31日に退職する場合、2025年10月1日以降に指定講座を受講開始していれば、給付制限が解除されます。この場合、講座は修了していなくても構いません。受講を開始していることが重要です。

次に、離職後に受講を開始する場合、離職後1ヶ月以内にハローワークで求職申込を行い、かつ離職後3ヶ月以内に教育訓練給付金の対象講座または公共職業訓練を受講開始することが条件です。この場合も、受講開始の時点で給付制限が解除されるため、訓練開始と同時に失業保険の受給が始まります。

たとえば、2026年2月1日に自己都合退職し、2月8日にハローワークで求職申込を行い、3月1日に公共職業訓練を開始した場合、従来なら2ヶ月の給付制限があるため失業保険の受給開始は4月1日でしたが、新ルールでは3月1日の訓練開始と同時に受給が始まります。これにより、2ヶ月分の給付制限期間が実質的にゼロになるため、経済的な負担が大幅に軽減されます。

この新ルールを適用するためには、ハローワークでの手続きが必須です。離職票を提出する際に、「リスキリングのための離職である」旨を申告し、受講予定または受講中の講座名、受講開始日を証明する書類(受講証明書や入学許可証など)を提出する必要があります。また、受講開始日が離職後3ヶ月以内であることを証明するため、スケジュールの調整が重要になります。

45歳未満ならさらに手厚い「教育訓練支援給付金」の継続決定

2025年4月の改正では、もう一つ重要な変更がありました。それが教育訓練支援給付金の対象年齢の引き上げと、支給期間の延長です。従来、教育訓練支援給付金は45歳未満の離職者が対象でしたが、この年齢制限が維持されつつ、制度自体が2028年3月31日まで延長されることが決定しました。

教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練を受講する離職者に対し、訓練期間中の生活費を支援するために、失業保険の基本手当日額の80%相当額を追加で支給する制度です。たとえば、基本手当日額が8,000円の場合、教育訓練支援給付金として1日6,400円、月額約19万円が支給されます。この金額は、専門実践教育訓練給付金(受講料の50〜80%還付)とは別に支給されるため、実質的に二重の支援を受けられることになります。

ただし、教育訓練支援給付金を受給するためには、いくつかの条件があります。まず、専門実践教育訓練給付金の支給対象であることが前提です。つまり、雇用保険の被保険者期間が2年以上(初回の場合)または3年以上必要です。次に、受講開始時に45歳未満であることが条件となります。さらに、失業保険の受給資格があること、すなわち離職前の2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があることも必要です。

また、教育訓練支援給付金は、失業保険の基本手当を受給し終えた後に支給される仕組みです。つまり、失業保険の給付日数が90日の場合、最初の90日間は失業保険を受給し、91日目以降は教育訓練支援給付金を受給することになります。ただし、訓練期間が失業保険の給付日数を超える場合、超過分については教育訓練支援給付金ではなく、職業訓練受講給付金(月額10万円)を受給できる場合があります。

たとえば、30歳で自己都合退職し、被保険者期間が5年の場合、失業保険の給付日数は90日です。1年間の専門実践教育訓練(データサイエンス講座)を受講する場合、最初の90日間は失業保険(基本手当日額8,000円で月額24万円)を受給し、91日目以降の275日間は教育訓練支援給付金(日額6,400円で月額19万円)を受給できます。さらに、講座修了後に受講料の80%が還付されるため、経済的な負担はほとんどなくなります。

この新ルールにより、特に若年層の離職者がキャリアチェンジやスキルアップのために職業訓練を受講しやすくなりました。次のセクションでは、公共職業訓練と民間スクールのどちらを選ぶべきか、比較表を使って詳しく解説します。

どちらを選ぶ?公共職業訓練と民間スクールの比較表

失業保険と職業訓練を併用する際、公共職業訓練と教育訓練給付制度を利用した民間スクールのどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。それぞれにメリット・デメリットがあり、目的や状況によって最適な選択肢が変わります。ここでは、両者の違いを比較表にまとめ、どちらが自分に合っているかを判断するポイントを解説します。

比較項目公共職業訓練教育訓練給付制度(専門実践)
受講料無料(テキスト代のみ自己負担)有料(ただし50〜80%が還付)
失業保険の扱い訓練期間中は延長支給通常通り受給(支援給付金を併用可能)
訓練期間3ヶ月〜1年程度1年〜4年程度
訓練内容基礎的なスキル習得が中心高度な専門スキル・資格取得
対象講座ハローワークが指定する訓練校厚生労働大臣指定の民間スクール
入校選考筆記試験・面接ありなし(受講条件を満たせば可能)
開始時期年に数回(募集時期が限定)随時(スクールによる)
雇用保険加入期間不問2年以上(初回)または3年以上
年齢制限なし支援給付金は45歳未満のみ
通所手当あり(交通費支給)なし
受講手当あり(1日500円、上限2万円)なし

費用を抑えて基礎から学びたいなら「公共職業訓練」

公共職業訓練の最大のメリットは、受講料が無料で、かつ失業保険が訓練期間中ずっと延長される点です。通常、失業保険の給付日数が残り少なくなると、就職活動を焦ってしまい、条件の悪い仕事に妥協してしまうケースも少なくありません。しかし、公共職業訓練を受講すれば、訓練期間中は失業保険が継続して支給されるため、経済的な余裕を持ってスキルを習得できます。

さらに、通所手当として交通費が全額支給されるほか、受講手当として1日あたり500円(月額最大2万円)が支給されます。これにより、訓練に通うための費用負担がほぼゼロになります。特に、貯蓄が少ない状態で離職した方や、家族を養う必要がある方にとっては、この経済的支援は非常に大きな助けとなります。

公共職業訓練で学べる内容は、ITスキル(Webデザイン、プログラミング、ネットワーク管理)、事務系スキル(経理、医療事務、貿易実務)、介護・福祉系資格、製造・技術系スキル(CAD、溶接、電気工事)など多岐にわたります。訓練内容は基礎から学べるカリキュラムが組まれており、未経験者でも安心して受講できます。実際に、公共職業訓練の受講者の約6割が未経験分野に挑戦しているというデータもあります。

ただし、公共職業訓練には入校選考があるという点に注意が必要です。筆記試験では基本的な国語・数学の問題が出題され、面接では訓練を受講する目的や就職意欲が問われます。倍率は講座によって異なりますが、人気の高いIT系講座では2倍を超えることもあります。また、訓練の開始時期が年に数回と限られているため、希望する時期に受講できない可能性もあります。

それでも、「費用をかけずにじっくり基礎から学びたい」「失業保険を最大限延長して生活の安定を優先したい」という方には、公共職業訓練が最適な選択肢です。特に、雇用保険の加入期間が短く、教育訓練給付制度の受給要件を満たさない方にとっては、公共職業訓練が唯一の選択肢となる場合もあります。

短期間で高度な専門スキルを習得したいなら「専門実践教育訓練」

一方、教育訓練給付制度を利用した専門実践教育訓練は、短期間で高度な専門スキルを習得し、キャリアアップや年収アップを目指したい方に向いています。専門実践教育訓練の対象講座には、データサイエンス、AI・機械学習、クラウドエンジニアリング、デジタルマーケティング、看護師、保育士、社会福祉士などの国家資格取得コースが含まれており、修了後の就職率や年収アップ率が高い講座が揃っています。

専門実践教育訓練の給付率は、訓練修了時に受講料の50%、修了後1年以内に資格を取得するか就職した場合は**追加で30%(合計80%)**が還付されます。たとえば、総額120万円のデータサイエンス講座を受講した場合、修了時に60万円、就職後に36万円が還付され、実質負担は24万円で済みます。これは、公共職業訓練の無料と比べると負担がありますが、習得できるスキルのレベルや就職後の年収を考えると、十分に元が取れる投資と言えます。

さらに、45歳未満の場合は教育訓練支援給付金を併用できるため、訓練期間中の生活費も確保できます。たとえば、失業保険の給付日数が90日で、1年間の訓練を受講する場合、最初の90日間は失業保険を受給し、残りの275日間は教育訓練支援給付金を受給できます。これにより、訓練期間中の収入がゼロになる期間がほぼなくなるため、安心してスキル習得に集中できます。

専門実践教育訓練のもう一つのメリットは、受講開始時期が柔軟である点です。公共職業訓練は年に数回の募集に合わせる必要がありますが、民間スクールの場合は、講座によっては毎月開講しているため、自分のタイミングで受講を開始できます。また、オンライン受講が可能な講座も多く、地方在住の方や育児・介護で通学が難しい方でも受講しやすい環境が整っています。

ただし、専門実践教育訓練を利用するためには、雇用保険の被保険者期間が2年以上(初回)または3年以上必要です。また、受講開始の1ヶ月前までにハローワークでの事前手続きが必須であり、手続きが遅れると給付を受けられなくなります。さらに、給付を受けるためには、訓練を修了し、かつ修了後1年以内に資格を取得するか就職する必要があります。つまり、単に受講するだけでは80%の還付を受けられず、最終的な成果が求められる点に注意が必要です。

どちらを選ぶべきかは、自分のキャリアプランと経済状況によって変わります。「未経験の分野に挑戦したいが、費用はかけられない」という方は公共職業訓練を、「高度なスキルを短期間で習得し、年収アップを目指したい」という方は専門実践教育訓練を選ぶのが基本的な考え方です。次のセクションでは、失業保険を途切れさせないための具体的な申請ステップを解説します。

失業保険を途切れさせないための申請ステップ

失業保険と職業訓練を併用する際、最も重要なのが手続きのタイミングです。手続きが遅れると、失業保険の受給が途切れたり、給付金を受けられなくなったりするため、事前にスケジュールをしっかり把握しておく必要があります。ここでは、失業保険を途切れさせないための具体的な申請ステップを、時系列に沿って解説します。

手続きは「受講開始の1ヶ月前」がデッドライン

失業保険と職業訓練を併用する際の最初の壁が、受講開始の1ヶ月前までに手続きを完了させるという期限です。これは、公共職業訓練と教育訓練給付制度の両方に共通するルールで、この期限を過ぎると給付を受けられなくなる可能性が高くなります。

まず、離職したら7日以内にハローワークで求職申込を行います。これは失業保険の受給資格を得るための最初のステップで、離職票を提出し、求職申込書に記入します。この時点で、職業訓練を受講する意思がある場合は、ハローワークの職員にその旨を伝えておくと、その後の手続きがスムーズになります。

次に、求職申込から約1週間後に行われる雇用保険説明会に参加します。この説明会で、失業保険の受給手続きや求職活動の進め方について説明を受け、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取ります。この時点で、訓練を受講する予定がある場合は、担当者に相談し、「訓練受講希望届」を提出します。

ここからが重要なポイントです。訓練を受講するためには、受講開始の1ヶ月前までに「受講指示」または「受講推薦」を受ける必要があります。受講指示は、ハローワークが「この訓練があなたのキャリア形成に必要」と判断して出すもので、受講推薦は「この訓練はあなたのキャリアに有益」と認めるものです。いずれも、訓練を受講する正当な理由があることを証明するための手続きです。

受講指示または受講推薦を受けるためには、ハローワークでのキャリアコンサルティングを受け、「ジョブ・カード」を作成する必要があります。ジョブ・カードとは、自分の職務経歴やスキル、今後のキャリアプランをまとめた書類で、訓練を受講する目的や、訓練修了後の就職計画を明確にするためのツールです。このジョブ・カードをもとに、ハローワークの担当者が「この訓練が本当に必要かどうか」を判断します。

ジョブ・カードの作成には時間がかかることが多いため、遅くとも受講開始の2ヶ月前には準備を始めることをおすすめします。特に、専門実践教育訓練給付金を利用する場合、受講開始の1ヶ月前までに「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」をハローワークに提出する必要があり、この手続きが遅れると給付を受けられなくなります。

ハローワークでのキャリアコンサルティングとジョブ・カード作成

キャリアコンサルティングとジョブ・カード作成は、職業訓練を受講するための必須ステップです。ここでは、具体的にどのように準備を進めればよいかを解説します。

まず、ハローワークで求職申込を行った際に、キャリアコンサルティングの予約を取ります。キャリアコンサルティングは、専門のキャリアコンサルタントが、あなたの職務経歴、スキル、今後のキャリアプランについてヒアリングし、最適な訓練や就職先を提案するサービスです。このコンサルティングを通じて、ジョブ・カードを作成します。

ジョブ・カードには、以下の項目を記入します。

  1. キャリアプランシート:今後の職業生活で実現したいこと、そのために必要なスキルや訓練を記入します。たとえば、「現在は営業職だが、将来はWebマーケティング職に転職したい。そのためにデジタルマーケティングのスキルを習得する必要がある」といった内容を具体的に書きます。
  2. 職務経歴シート:これまでの職務経歴を時系列で記入します。単なる職歴の羅列ではなく、各職務でどのようなスキルを身につけ、どのような成果を出したかを具体的に書くことが重要です。
  3. 学習・資格歴シート:これまでに取得した資格や、受講した研修・講座を記入します。これにより、現在のスキルレベルを客観的に示すことができます。

ジョブ・カードの作成には、自己分析が欠かせません。特に、「なぜこの訓練を受講したいのか」「訓練を修了した後、どのような仕事に就きたいのか」を明確にすることが重要です。ハローワークの担当者は、ジョブ・カードをもとに、訓練が本当に必要かどうかを判断するため、曖昧な内容では受講指示を受けられない可能性があります。

キャリアコンサルティングは、通常1〜2時間程度かかります。事前に職務経歴書や履歴書を準備しておくと、スムーズに進めることができます。また、受講したい訓練が決まっている場合は、その講座のパンフレットやカリキュラムを持参すると、担当者に具体的なイメージを伝えやすくなります。

ジョブ・カードが完成したら、ハローワークの担当者が内容を確認し、受講指示または受講推薦を出すかどうかを判断します。受講指示が出れば、失業保険の延長や教育訓練給付金の受給資格が確定します。

訓練校の選定と入学試験・面接の対策

受講指示または受講推薦を受けたら、次は訓練校の選定と入学試験・面接の準備に入ります。公共職業訓練の場合、ハローワークが提供する訓練情報をもとに、受講したい訓練を選びます。訓練情報は、ハローワークの窓口やハロートレーニングの公式サイトで確認できます。

訓練校を選ぶ際のポイントは、以下の3つです。

  1. 訓練内容が自分のキャリアプランに合っているか:単に「ITスキルを学びたい」というだけでなく、「どの分野のITスキルを学ぶか」を明確にすることが重要です。たとえば、WebデザインとWebプログラミングは同じIT分野でも、必要なスキルや就職先が大きく異なります。
  2. 訓練期間と開始時期が自分のスケジュールに合っているか:訓練期間が長すぎると、生活費の負担が増える可能性があります。逆に、短すぎると十分なスキルを習得できない場合もあります。また、訓練の開始時期が失業保険の給付日数と合っているかも確認が必要です。
  3. 訓練校の就職実績や評判:訓練校によって、就職率や就職先の質が大きく異なります。ハローワークの担当者や、実際に訓練を受けた人の口コミを参考にすると良いでしょう。

訓練校を選んだら、入学願書を提出します。公共職業訓練の場合、入学試験と面接があります。筆記試験では、基本的な国語・数学の問題が出題されることが多く、難易度は中学校レベル程度です。面接では、「なぜこの訓練を受講したいのか」「訓練修了後にどのような仕事に就きたいか」「訓練期間中、どのように生活費を確保するか」といった質問がされます。

面接対策としては、以下の点を準備しておくと良いでしょう。

  • 訓練を受講する明確な理由:「前職で営業をしていたが、もっと専門的なスキルを身につけてキャリアアップしたい」など、具体的な理由を述べます。
  • 就職への意欲:「訓練修了後は、Webデザイナーとして就職し、年収400万円以上を目指したい」など、具体的な目標を示します。
  • 訓練を受講する準備ができていること:「失業保険を受給しながら訓練に通う予定で、生活費の準備もできている」など、経済的な準備が整っていることを伝えます。

入学試験と面接に合格すれば、晴れて訓練校への入学が決まります。入学が決まったら、ハローワークに報告し、受講指示または受講推薦の手続きを完了させます。これにより、失業保険の延長または教育訓練給付金の受給が正式に決定します。

次のセクションでは、訓練期間中に失業保険が止まってしまう失敗事例と、その対策について解説します。

職業訓練中に失業保険が止まる?よくある失敗と注意点

せっかく職業訓練を受講しても、途中で失業保険の給付が止まってしまうケースがあります。多くの場合、受講者のちょっとしたミスや認識不足が原因です。ここでは、よくある失敗事例と、それを避けるための注意点を解説します。

欠席日数が多いと給付が打ち切られる「出席率」の壁

職業訓練を受講する際、最も気をつけなければならないのが出席率です。失業保険を受給しながら訓練を受講する場合、訓練の出席率が80%を下回ると、失業保険の給付が打ち切られる可能性があります。これは、失業保険が「就職活動を真剣に行っている人」を対象としているためで、訓練に真面目に参加していない場合は、給付の対象外とみなされるのです。

たとえば、月20日の訓練カリキュラムがある場合、16日以上出席しなければなりません。4日以上欠席すると、出席率が80%を下回り、その月の失業保険が支給されなくなる可能性があります。さらに、欠席が続くと、訓練校から退校処分を受けることもあり、その場合は失業保険の受給資格自体を失うことになります。

欠席する正当な理由がある場合、たとえば病気や怪我、家族の介護、冠婚葬祭などの場合は、事前に訓練校とハローワークに連絡し、欠席届を提出する必要があります。正当な理由であれば、出席率のカウントから除外されることがあります。ただし、単なる体調不良や「寝坊した」「やる気が出ない」といった理由では認められません。

また、遅刻や早退も出席率に影響します。訓練校によっては、遅刻3回で欠席1回とカウントされる場合もあります。特に、電車の遅延などが多い地域では、余裕を持って家を出るなど、遅刻を防ぐ工夫が必要です。

出席率を維持するためのポイントは、以下の通りです。

  • 体調管理を徹底する:訓練期間中は、無理をせず、十分な睡眠と栄養を取ることが重要です。特に、訓練が始まったばかりの時期は、新しい環境に慣れるまで疲れがたまりやすいため、無理をしないことが大切です。
  • 事前に予定を調整する:訓練期間中は、できるだけ他の予定を入れないようにします。特に、長期間の旅行や、平日の通院などは避けるべきです。
  • 欠席する場合は必ず事前連絡:やむを得ず欠席する場合は、必ず訓練校とハローワークに事前連絡し、欠席届を提出します。事後報告では、正当な理由と認められない場合があります。

出席率の管理は、訓練校側も厳しくチェックしています。特に、公共職業訓練の場合、訓練校の運営費用は国や自治体から支給されているため、出席率が低い受講者がいると、訓練校自体の評価が下がることになります。そのため、訓練校側も出席率の維持には非常に厳格です。

アルバイトや副業ができる範囲と申告のルール

職業訓練を受講しながら、生活費を補うためにアルバイトや副業をすることは可能です。ただし、失業保険を受給している場合、アルバイトや副業をした日数と収入を必ず申告しなければならないというルールがあります。申告を怠ると、不正受給とみなされ、失業保険の受給資格を失うだけでなく、返還金や罰金を求められることもあります。

失業保険を受給しながらアルバイトをする場合、以下のルールを守る必要があります。

  1. 1日4時間以上働いた場合、その日は「就職」とみなされ、失業保険は支給されない:たとえば、月曜日に5時間のアルバイトをした場合、その日の失業保険は支給されません。ただし、支給されなかった分は、給付日数の後ろに繰り越されます。つまり、給付日数が減るわけではなく、受給期間が延びることになります。
  2. 1日4時間未満の場合、失業保険は減額される:1日4時間未満のアルバイトをした場合、その日は「内職」とみなされ、失業保険は支給されますが、収入に応じて減額されます。減額額は、収入から1日あたり1,389円(2026年時点の控除額)を引いた金額です。
  3. 1週間の労働時間が20時間以上の場合、失業保険の受給資格を失う:1週間の労働時間が20時間以上になると、雇用保険の加入義務が発生し、失業保険の受給資格を失います。そのため、アルバイトをする場合は、週20時間未満に抑える必要があります。

アルバイトや副業をした場合、4週間に1回の失業認定日に、失業認定申告書に必ず記入する必要があります。働いた日数、時間、収入を正確に申告しないと、不正受給とみなされます。不正受給が発覚した場合、受給した失業保険の全額返還に加え、不正受給額の2倍の罰金が課されることがあります。

また、訓練期間中にアルバイトをする場合、訓練校に事前に許可を得る必要がある場合もあります。特に、公共職業訓練の場合、訓練に支障をきたさない範囲でのアルバイトであれば認められますが、訓練校によってはアルバイトを禁止している場合もあります。事前に訓練校の規則を確認し、必要に応じて許可を得るようにしましょう。

アルバイトをする際のポイントは、以下の通りです。

  • 短時間・短期間のアルバイトを選ぶ:1日4時間未満、週20時間未満のアルバイトを選びます。たとえば、週2日、1日3時間のアルバイトなら、失業保険の受給に影響が少なくなります。
  • 収入を正確に記録する:アルバイトをした日の労働時間と収入を、メモやスマホのカレンダーに記録しておきます。失業認定日に申告する際、正確な情報が必要になります。
  • 訓練に支障をきたさない範囲で働く:アルバイトのせいで訓練に遅刻したり、欠席したりすることがないようにします。出席率が下がると、失業保険が打ち切られる可能性があります。

訓練期間中のアルバイトは、生活費を補うための有効な手段ですが、ルールを守らないと失業保険の受給資格を失うリスクがあります。必ず正確に申告し、訓練に支障をきたさない範囲で行うようにしましょう。


さらに給付額を上乗せする!専門職への就職による追加給付

職業訓練を修了し、無事に就職できた場合、さらに給付額を上乗せできる制度があります。これが教育訓練給付金の追加支給です。この制度を活用すれば、受講料の還付率を50%から80%に引き上げることができ、さらに就職後の賃金上昇によって追加のインセンティブを受け取ることも可能です。

転職後の賃金5%アップで獲得できる10%の追加インセンティブ

専門実践教育訓練給付金を利用した場合、訓練修了時には受講料の50%が還付されます。しかし、修了後1年以内に資格を取得するか、就職した場合、追加で30%が還付されるため、合計で80%の還付を受けることができます。

たとえば、総額100万円のデータサイエンス講座を受講し、修了した場合、まず50万円が還付されます。その後、修了後1年以内にデータアナリストとして就職した場合、追加で30万円が還付され、合計80万円が戻ってきます。実質負担は20万円で済むため、高度なスキルを格安で習得できることになります。

さらに、2025年の制度改正により、転職後の賃金が離職前より5%以上上昇した場合、追加で10%の給付を受けられるという新しいインセンティブが導入されました。これは、「教育訓練給付金による人材の質向上が、賃金上昇につながった」と評価するための制度で、キャリアアップを支援するための追加措置です。

たとえば、離職前の年収が400万円で、訓練修了後の就職先の年収が420万円(5%増)以上の場合、追加で10万円(受講料100万円の10%)が給付されます。これにより、実質負担は10万円まで下がり、受講料の90%が還付されることになります。

この追加給付を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 専門実践教育訓練給付金の対象講座を修了していること
  2. 修了後1年以内に就職していること
  3. 就職先の年収が、離職前の年収より5%以上増加していること
  4. 就職先が、訓練で習得したスキルを活用できる職種であること

この条件を満たすためには、就職先の選定が重要です。単に「就職できればいい」というのではなく、「訓練で学んだスキルを活かせる仕事で、かつ年収が上がる仕事」を選ぶ必要があります。そのためには、訓練期間中から就職活動を計画的に進め、ハローワークや転職エージェントを活用することが重要です。

また、追加給付を受けるためには、就職後に「就職証明書」と「賃金証明書」をハローワークに提出する必要があります。賃金証明書は、就職先の企業が発行するもので、離職前の年収と就職後の年収を比較するための書類です。この書類を提出することで、追加給付の審査が行われます。

教育訓練給付金の追加支給は、職業訓練を受講する大きなメリットの一つです。特に、キャリアチェンジや年収アップを目指している方にとっては、この制度を最大限に活用することで、経済的な負担を最小限に抑えながら、理想のキャリアを実現できます。

まとめ

失業保険と職業訓練を併用することで、経済的な不安を解消しながら、将来につながるスキルを身につけることができます。2025年4月からの新ルールにより、自己都合退職でも待機期間なしで受給できるようになり、リスキリングを目的とした離職者への支援が大幅に拡充されました。

公共職業訓練を選べば、受講料無料で失業保険を延長しながら基礎から学べます。専門実践教育訓練を選べば、受講料の最大80%が還付され、さらに教育訓練支援給付金を併用すれば、訓練期間中の生活費も確保できます。どちらを選ぶかは、自分のキャリアプランと経済状況によって変わりますが、いずれにせよ、手続きのタイミングを守ることが最も重要です。

受講開始の1ヶ月前までに手続きを完了させ、キャリアコンサルティングとジョブ・カード作成を計画的に進めましょう。訓練期間中は出席率を維持し、アルバイトをする場合は必ず申告するなど、ルールを守ることで、失業保険の給付を途切れさせることなく、安心してスキルアップに集中できます。

さらに、訓練修了後に就職し、年収が5%以上アップすれば、追加で10%の給付を受けることができます。これにより、実質的な負担をさらに減らし、経済的にも成功するキャリアを実現できます。

失業は人生の大きな転機ですが、同時に新しいキャリアを築くチャンスでもあります。この記事で紹介した制度を上手に活用し、経済的な不安を解消しながら、理想の未来を手に入れましょう。

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