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社会保険給付金とは?制度の仕組みや対象者、受け取れる金額をわかりやすく解説

病気やケガ、失業など、働けなくなった時に生活を支えてくれる仕組みが社会保険給付金制度です。会社員として働いている方なら、毎月給料から社会保険料が引かれていることに気づいているでしょう。社会保険料は、制度全体で支え合うための財源(保険料や公費など)として運用され、要件を満たすと給付を受けられる仕組みです。

しかし、社会保険給付金制度は種類が多く、どんな時にいくら受け取れるのか、申請方法はどうすればいいのかなど、わかりにくい部分も多くあります。知らないまま過ごしていると、本来受け取れるはずの給付金を見逃してしまう可能性もあります。

この記事では、社会保険給付金とは何か、どのような種類があるのか、誰が対象者なのか、受け取れる金額や申請方法まで、中学生でも理解できるようにわかりやすく解説していきます。

目次

社会保険給付金とは何ですか?制度の基本をわかりやすく説明

社会保険の各制度に基づき、病気やケガ、失業、出産などで働けなくなった時に、保険者や実施機関(例:協会けんぽ・健保組合、ハローワーク等)から支給される給付のことです。会社員として働いている方が毎月納めている社会保険料を財源として、困った時に生活を支えるための公的な制度となっています。

社会保険給付金とは病気やケガ、失業時に受け取れるお金のこと

社会保険給付金は、働いている人が突然働けなくなった時に生活を守るための重要な仕組みです。病気やケガで入院した時、出産で仕事を休む時、会社を辞めて失業した時など、収入が途絶えてしまう場面で給付金を受け取ることができます。

たとえば、急な病気で1ヶ月入院することになった場合、その間は仕事ができないため給料が支払われません。そんな時に傷病手当金という社会保険給付金を受け取ることで、給料の約3分の2に相当する金額が支給され、生活費や医療費をまかなうことができるのです。

社会保険給付金は、働いている時には実感しにくいかもしれませんが、いざという時に私たちの生活を支える大切なセーフティーネットとなっています。毎月の給料から天引きされている社会保険料は、このような給付を受けるための保険料として納められているのです。

給付金の種類は多岐にわたり、傷病手当金、出産手当金、失業給付、障害年金、遺族年金など、さまざまな状況に応じた給付制度が用意されています。それぞれの給付金には受給条件や金額、申請方法が定められており、自分で申請しなければ受け取ることができない点に注意が必要です。

社会保険給付金は国が定めた公的な制度

社会保険給付金制度は、国が法律で定めた公的な制度です。厚生労働省が管轄しており、健康保険法、雇用保険法、国民年金法、厚生年金保険法などの法律に基づいて運営されています。

この制度は、国民皆保険・皆年金という日本の社会保障制度の根幹をなすものです。すべての国民が何らかの医療保険と年金制度に加入することで、お互いに支え合う仕組みになっています。会社員の場合は健康保険と厚生年金保険、自営業者の場合は国民健康保険と国民年金に加入します。

公的な制度であるため、給付金の支給要件や金額は法律で明確に定められており、条件を満たせば確実に受け取ることができます。民間の保険と違い、加入時の健康状態による審査がなく、会社に就職すれば自動的に加入できる点も大きな特徴です。

また、社会保険給付金は税金だけでなく、加入者が納める保険料によって運営されています。そのため、保険料を納めている人が受給する権利を持つという仕組みになっており、困った時にはしっかりと活用すべき制度なのです。

社会保険給付金と雇用保険の違い

社会保険給付金と雇用保険は混同されやすいですが、実は雇用保険も社会保険の一部です。社会保険は健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つから構成されており、雇用保険はその中の1つの制度です。

社会保険給付金という言葉は、これら5つの保険から支給されるすべての給付金を総称する広い概念です。一方、雇用保険は失業した時や育児・介護で休業する時などに給付を受けられる制度で、失業給付(基本手当)、育児休業給付金、介護休業給付金などが含まれます。

たとえば、病気で働けない時に受け取る傷病手当金は健康保険からの給付金であり、会社を辞めた時に受け取る失業給付は雇用保険からの給付金です。どちらも社会保険給付金の一種ですが、財源となる保険の種類が異なります。

このように、社会保険給付金は包括的な用語であり、その中に雇用保険からの給付も含まれるという関係性を理解しておくと、制度全体の仕組みが把握しやすくなります。

社会保険給付金制度とは何か?厚生労働省が定める仕組みを解説

社会保険給付金制度は厚生労働省が管轄する公的な社会保障制度で、働く人とその家族の生活を守るために設計されています。保険料を納めることで給付を受ける権利が生まれ、困った時には申請することで給付金を受け取ることができる仕組みです。

厚生労働省が管理する社会保険給付金制度の全体像

厚生労働省は、日本の社会保障制度全体を統括する中心的な役割を担っています。社会保険給付金制度は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの複数の保険制度から構成されており、それぞれが異なる目的と給付内容を持っています。

健康保険は病気やケガの治療費をカバーするとともに、働けなくなった時の傷病手当金や出産時の給付を提供します。厚生年金保険は老後の年金だけでなく、障害を負った時の障害年金や、家族が亡くなった時の遺族年金も支給します。雇用保険は失業時の生活保障や、育児・介護休業中の収入補填を行います。

これらの制度は単独で機能するのではなく、相互に補完し合いながら、人生のさまざまなリスクに対応できるように設計されています。たとえば、病気で長期間働けなくなった場合、最初は健康保険の傷病手当金を受け取り、その後も回復しなければ障害年金に移行するという流れになります。

厚生労働省は、これらの制度を適切に運営するために、日本年金機構や全国健康保険協会(協会けんぽ)、各健康保険組合などの実施機関を通じて給付業務を行っています。制度の詳細や最新情報は厚生労働省の公式ウェブサイトで確認することができます。

社会保険料を納めることで給付を受ける権利が生まれる

社会保険給付金を受け取るためには、事前に社会保険料を納めている必要があります。会社員の場合、毎月の給料から健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料が自動的に天引きされており、会社も同額またはそれ以上を負担しています。

この保険料の納付実績が、将来給付を受ける権利の基礎となります。たとえば、傷病手当金を受け取るためには、健康保険に継続して加入していることが条件です。失業給付を受けるためには、離職前の2年間に12ヶ月以上雇用保険に加入していた実績が必要になります。

保険料の金額は、給料(標準報酬月額)に応じて決まります。給料が高い人ほど多くの保険料を納めますが、その分将来受け取れる給付金の額も多くなる仕組みです。これにより、働いている時の生活水準をある程度維持できるような設計になっています。

重要なのは、社会保険料は単なる税金ではなく、自分自身と家族を守るための保険料だということです。毎月の給料から引かれるため負担に感じるかもしれませんが、病気や失業などのリスクに備えるための大切な投資と考えることができます。

会社員と自営業者で異なる社会保険給付金制度

社会保険給付金制度は、働き方によって加入する保険が異なります。会社員は健康保険と厚生年金保険に加入し、自営業者やフリーランスは国民健康保険と国民年金に加入するのが基本です。

会社員が加入する健康保険には、傷病手当金や出産手当金といった給付がありますが、国民健康保険にはこれらの給付制度がありません。つまり、自営業者が病気で働けなくなっても、傷病手当金を受け取ることはできないのです。これは会社員と自営業者の大きな違いの1つです。

年金制度についても違いがあります。会社員が加入する厚生年金保険は、国民年金に上乗せされる形で給付が受けられるため、将来の年金額が多くなります。また、障害年金や遺族年金の金額も、厚生年金に加入している方が手厚い保障を受けられます。

ただし、雇用保険については、会社員が加入する一方、自営業者は原則として加入できません。そのため、自営業者は失業給付や育児休業給付金を受け取ることができず、働けなくなった時のリスクは自分で備える必要があります。このような違いを理解した上で、自分に合った保障を検討することが大切です。

社会保険給付金の種類一覧|受け取れる給付金をすべて紹介

社会保険給付金には多くの種類があり、それぞれ異なる状況に対応しています。ここでは主要な給付金の種類を一覧で紹介し、どのような時に受け取れるのかを解説します。

傷病手当金(病気やケガで働けない時の給付)

傷病手当金は、病気やケガで仕事を休まなければならなくなった時に受け取れる給付金です。健康保険に加入している会社員が、業務外の病気やケガで連続して3日以上仕事を休み、その間給料が支払われない場合に支給されます。

この給付金の大きな特徴は、入院だけでなく自宅療養でも受け取れる点です。医師が仕事を休む必要があると判断し、診断書を発行すれば申請できます。精神的な病気、たとえばうつ病などで休職する場合にも傷病手当金を受け取ることができます。

支給期間は、支給開始日から最長1年6ヶ月です。ただし、この期間は暦日で計算されるため、途中で一時的に出勤した日があっても、その日数分期間が延長されるわけではありません。長期療養が必要な場合には、この期間制限を理解しておくことが重要です。

傷病手当金を受け取るためには、勤務先の人事部門や健康保険組合(協会けんぽの場合は協会けんぽ)に申請書を提出する必要があります。申請書には医師の証明欄があるため、主治医に記入してもらう必要があります。申請は後からでも可能ですが、給料の支払い状況などを確認する必要があるため、早めに手続きを始めることをおすすめします。

出産手当金(出産のために休業する時の給付)

出産手当金は、出産のために仕事を休む女性が受け取れる給付金です。健康保険に加入している女性が出産のため仕事を休み、その間給料が支払われない場合に、出産日以前42日から出産日後56日までの期間について支給されます。

この給付金は、働く女性が安心して出産・産後の休養ができるように設計されています。出産前後の約3ヶ月間は体調の変化が大きく、仕事を続けることが難しい時期です。その間の収入を補填することで、経済的な心配なく母体の回復に専念できます。

双子などの多胎妊娠の場合は、出産日以前の期間が98日に延長されます。また、出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた日数分も支給対象に含まれます。早産の場合でも、実際の出産日から計算されるため、給付を受けることができます。

出産手当金を受け取るためには、出産後に勤務先または健康保険組合に申請します。申請には医師または助産師の証明が必要です。産休中に給料の一部が支払われる場合は、その金額が出産手当金より少なければ差額が支給されます。育児休業給付金とは別の制度ですので、両方を受け取ることができる点も覚えておきましょう。

出産育児一時金(出産時にもらえる給付)

出産育児一時金は、子どもを出産した時に受け取れる一時金です。健康保険に加入している人、またはその被扶養者が出産した場合、子ども1人につき50万円(2023年4月以降)が支給されます。

この給付金は、出産にかかる費用を補助するためのものです。出産は健康保険の適用外となるため、通常の医療費とは異なり全額自己負担となります。しかし、出産には平均で50万円前後の費用がかかるため、この一時金によって経済的負担を軽減することができます。

出産育児一時金の特徴は、出産手当金と違って男性でも受け取れる点です。妻が専業主婦で夫の扶養に入っている場合、夫の健康保険から出産育児一時金が支給されます。また、双子を出産した場合は2人分、つまり100万円が支給されます。

多くの医療機関では「直接支払制度」を利用しており、出産育児一時金が健康保険から直接医療機関に支払われます。そのため、出産時に大金を用意する必要がなく、一時金を超えた分だけを自己負担すれば良い仕組みになっています。出産費用が一時金より少なかった場合は、差額を受け取ることができます。

失業給付(失業した時の給付)

失業給付は、正式には雇用保険の基本手当と呼ばれ、会社を辞めて失業した時に受け取れる給付金です。雇用保険に加入していた人が離職し、働く意思と能力があるにもかかわらず就職できない場合に、再就職までの生活を支援するために支給されます。

失業給付を受け取るためには、離職前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あることが必要です。ただし、会社の倒産や解雇など、自分の意思に反して離職した場合(特定受給資格者)は、離職前の1年間に6ヶ月以上あれば受給できます。

給付金の額は、離職前6ヶ月間の給料の平均額(賃金日額)の50%から80%です。若い人や給料が低かった人ほど給付率が高く設定されています。また、受給できる日数は、離職理由、年齢、被保険者であった期間によって90日から360日まで異なります。

失業給付を受けるためには、ハローワークに求職の申し込みをし、4週間に1回失業の認定を受ける必要があります。この手続きを怠ると給付が停止されるため注意が必要です。また、自己都合で退職した場合は、退職日が2025年4月1日以降であれば原則1ヶ月の給付制限期間があり(一定のケースでは3ヶ月となる場合があります)、すぐには受け取れない点も理解しておきましょう。

障害年金(障害を負った時の給付)

障害年金は、病気やケガで障害を負い、日常生活や仕事に制限が生じた時に受け取れる年金です。国民年金または厚生年金保険に加入している人が、一定の障害状態になった場合、障害基礎年金または障害厚生年金が支給されます。

障害年金は、高齢者が受け取る老齢年金とは異なり、年齢に関係なく若い人でも受け取ることができます。事故で身体に障害が残った場合はもちろん、がんや心臓病、精神疾患など、さまざまな病気が対象となります。障害の程度によって1級から3級(障害基礎年金は1級と2級のみ)に分けられ、等級によって年金額が異なります。

会社員が加入する厚生年金保険からは、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されるため、より手厚い保障を受けられます。また、3級に該当しない軽い障害の場合でも、障害手当金(一時金)が支給される場合があります。

障害年金を受け取るためには、初診日(障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診察を受けた日)に年金に加入していることや、保険料の納付要件を満たしていることが必要です。申請には医師の診断書が必要で、審査には数ヶ月かかることもあります。障害年金は申請しなければ受け取れないため、対象となる可能性がある場合は早めに年金事務所に相談することをおすすめします。

遺族年金(家族が亡くなった時の給付)

遺族年金は、家族を養っていた人が亡くなった時に、残された家族が受け取れる年金です。国民年金または厚生年金保険に加入していた人が亡くなった場合、その人に生計を維持されていた遺族に対して、遺族基礎年金または遺族厚生年金が支給されます。

遺族基礎年金は、亡くなった人に生計を維持されていた子どものいる配偶者、または子どもに支給されます。ここでいう子どもとは、18歳到達年度の末日までの子ども、または20歳未満で障害等級1級・2級の子どもを指します。子どもが成人すれば受給権は消滅します。

一方、遺族厚生年金は、厚生年金保険に加入していた人が亡くなった場合に支給され、遺族基礎年金よりも幅広い遺族が対象となります。妻は年齢に関係なく受け取れますが、夫は55歳以上である必要があります(受給開始は60歳から)。また、子どもがいない妻でも受け取ることができる点が遺族基礎年金との大きな違いです。

遺族年金の額は、亡くなった人の年金加入歴や給料によって異なります。会社員だった人の遺族は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取れる場合があり、より手厚い保障となります。遺族年金も申請が必要な制度ですので、家族が亡くなった時には、年金事務所または市区町村の窓口で手続きを行いましょう。

高額療養費制度(医療費が高額になった時の給付)

高額療養費制度は、医療費の自己負担額が高額になった時に、一定額を超えた部分が払い戻される制度です。1ヶ月(月の1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担額が、所得に応じた上限額を超えた場合、その超えた金額が支給されます。

日本の健康保険では、医療費の自己負担は原則3割ですが、重い病気で入院したり、高額な治療を受けたりすると、3割でも大きな金額になります。たとえば、医療費が100万円かかった場合、3割負担でも30万円を支払わなければなりません。高額療養費制度は、このような場合の経済的負担を軽減するための仕組みです。

自己負担の上限額は、年齢と所得によって異なります。たとえば、70歳未満で年収約370万円から770万円の人の場合、1ヶ月の上限額は約8万円(正確には80,100円+(医療費-267,000円)×1%)です。それを超えた分は高額療養費として払い戻されます。

高額療養費の申請は、医療費を支払った後に健康保険組合や協会けんぽに行います。ただし、事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、病院の窓口での支払いを最初から上限額までに抑えることができます。高額な医療費が予想される場合は、事前に認定証を申請しておくことをおすすめします。また、同じ世帯で1年間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目からは上限額がさらに引き下げられる仕組みもあります。

社会保険給付金制度の対象者とは?誰が受け取れるのか

社会保険給付金を受け取れるのは、基本的には社会保険に加入している人とその家族です。ただし、給付の種類によって対象者の条件が異なるため、詳しく見ていきましょう。

会社員として働いている人は対象者になる

会社員として働いている人は、ほとんどの場合、社会保険給付金制度の対象者となります。正社員はもちろん、パートやアルバイトでも一定の条件を満たせば社会保険に加入し、給付金を受け取る権利が得られます。

具体的には、週の所定労働時間が20時間以上で、月額賃金が8.8万円以上、2ヶ月を超えて雇用される見込みがあり、学生でない場合に社会保険への加入義務が生じます。この条件は、従業員が101人以上の企業が対象ですが、2024年10月からは51人以上の企業にも拡大されています。

社会保険に加入すると、健康保険証が交付され、病気やケガの治療はもちろん、傷病手当金や出産手当金などの給付も受けられるようになります。また、厚生年金保険に加入することで、将来の老齢年金が増えるだけでなく、障害年金や遺族年金の保障も手厚くなります。

雇用保険については、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがあれば加入対象となります。こちらも正社員だけでなく、条件を満たすパート・アルバイトも対象です。雇用保険に加入していれば、失業した時に失業給付を受けることができます。

健康保険や厚生年金に加入している人が受け取れる

社会保険給付金を受け取るためには、それぞれの保険に加入していることが前提条件です。健康保険に加入していれば傷病手当金や出産手当金、厚生年金保険に加入していれば障害年金や遺族年金、雇用保険に加入していれば失業給付を受け取る権利があります。

会社員の場合、入社と同時に自動的に健康保険と厚生年金保険、雇用保険に加入します。これらの保険料は給料から天引きされ、会社も同額またはそれ以上を負担しています。毎月の給与明細を見ると、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料が引かれていることが確認できます。

自営業者やフリーランスの場合は、国民健康保険と国民年金に加入しますが、これらには傷病手当金や出産手当金の制度がありません。また、雇用保険にも加入できないため、失業給付も受けられません。このように、加入している保険によって受けられる給付に違いがあることを理解しておく必要があります。

また、扶養に入っている配偶者や子どもも、一定の給付を受けることができます。たとえば、夫の健康保険に扶養として入っている妻が出産した場合、出産育児一時金を受け取ることができます。ただし、扶養されている人は保険料を納めていないため、傷病手当金や出産手当金は受け取れません。

給付の種類によって異なる対象者の条件

社会保険給付金は、それぞれの給付ごとに細かい受給要件が定められています。保険に加入しているだけでは受け取れず、一定の条件を満たす必要があります。

たとえば、傷病手当金を受け取るためには、業務外の病気やケガで仕事を休むこと、連続して3日以上休むこと、休んだ期間について給料が支払われないことが条件です。業務中や通勤中の病気・ケガは労災保険の対象となるため、傷病手当金は受け取れません。

失業給付の場合は、離職前の一定期間に雇用保険に加入していたことに加え、働く意思と能力があること、求職活動を行っていることが条件です。退職後に専業主婦や専業主夫になる場合や、すでに次の仕事が決まっている場合は、失業給付の対象外となります。

障害年金の場合は、初診日に年金に加入していること、一定の障害状態にあること、保険料の納付要件を満たしていることなど、複数の条件があります。また、遺族年金は、亡くなった人だけでなく、遺族の側にも年齢や収入などの要件があります。このように、給付ごとに異なる条件を確認することが大切です。

社会保険給付金で受け取れる金額はいくら?計算方法を解説

社会保険給付金の額は、働いていた時の給料や加入期間などによって異なります。ここでは主な給付金の計算方法と、実際にどれくらいの金額が受け取れるのかを解説します。

傷病手当金は給料の約3分の2が受け取れる

傷病手当金の1日あたりの支給額は、標準報酬日額の3分の2です。標準報酬日額とは、支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で割った金額のことです。

具体的な計算例を見てみましょう。たとえば、過去12ヶ月の標準報酬月額の平均が30万円だった場合、標準報酬日額は30万円÷30日=1万円となります。傷病手当金の1日あたりの支給額は、1万円×2/3=約6,667円です。1ヶ月(30日)休んだ場合、約20万円が支給されることになります。

傷病手当金は、給料の全額ではなく約3分の2であることに注意が必要です。つまり、休職中は通常の給料の約67%の収入となり、約33%の収入減となります。そのため、長期の療養が必要な場合は、生活費の見直しや貯蓄の活用を検討する必要があるでしょう。

また、休職中に会社から給料の一部が支払われる場合は、その金額が傷病手当金より少なければ差額が支給されます。給料が傷病手当金以上支払われる場合は、傷病手当金は支給されません。支給期間は通算で1年6ヶ月ですので、その間の収入計画を立てることが重要です。

出産手当金の計算方法と受け取れる期間

出産手当金の計算方法は、傷病手当金と同じです。支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で割り、その3分の2が1日あたりの支給額となります。

出産手当金が支給される期間は、出産日(出産が予定日より後になった場合は出産予定日)以前42日から出産日後56日までの範囲内で、仕事を休んだ期間です。多胎妊娠の場合は、出産日以前98日から支給されます。つまり、標準的な場合で98日分(約3ヶ月分)の出産手当金を受け取ることができます。

計算例を見てみましょう。標準報酬月額の平均が30万円の場合、1日あたりの支給額は約6,667円です。98日間休んだ場合、6,667円×98日=約65万円が支給されることになります。実際の給料が月30万円だった場合、3ヶ月分の給料は90万円ですので、その約72%に相当する額が補償されます。

出産手当金は、産前産後休業中の生活を支えるための重要な給付です。この後に育児休業を取得する場合は、雇用保険から育児休業給付金が支給されます(最初の180日間は休業開始時賃金の67%、181日目以降は50%)。出産手当金と育児休業給付金を合わせることで、出産から育児期間中の収入を一定程度確保することができます。

失業給付の金額は働いていた時の給料で決まる

失業給付の1日あたりの金額(基本手当日額)は、離職前6ヶ月の給料の平均額(賃金日額)の50%から80%です。賃金日額が低い人ほど給付率が高く、賃金日額が高い人ほど給付率が低くなる仕組みになっています。

具体的には、賃金日額が一定額以下の場合は80%、一定額を超えると50%から80%の間で段階的に給付率が下がります。また、賃金日額と基本手当日額には上限と下限が設定されており、年齢によって異なります。たとえば、60歳未満の場合、基本手当日額の上限は2024年8月時点で6,945円です。

計算例を見てみましょう。離職前6ヶ月の給料の合計が180万円だった場合、賃金日額は180万円÷180日=1万円です。この場合の給付率を約60%とすると、基本手当日額は1万円×60%=6,000円となります。1ヶ月(30日分)で18万円、3ヶ月で54万円が受給できる計算です。

受給できる日数は、離職理由、年齢、被保険者であった期間によって90日から360日まで異なります。自己都合退職の場合は通常90日から150日、会社都合退職の場合は90日から330日です。長く雇用保険に加入していた人や、年齢が高い人ほど、受給日数が多くなる傾向があります。失業給付は再就職までの生活を支えるための一時的な給付ですので、早期の再就職を目指しながら活用することが大切です。

給付金額は標準報酬月額をもとに計算される

多くの社会保険給付金の金額は、標準報酬月額を基礎として計算されます。標準報酬月額とは、毎月の給料(基本給と各種手当を含む)を一定の幅で区分した金額のことで、社会保険料の計算や給付金の額を決める基準となります。

標準報酬月額は、健康保険では第1級の58,000円から第50級の1,390,000円まで、厚生年金保険では第1級の88,000円から第32級の650,000円まで設定されています。実際の給料が仮に305,000円だった場合、健康保険の標準報酬月額は第22級の300,000円となります。

標準報酬月額は、入社時に決定され、その後は毎年1回(4月、5月、6月の給料の平均をもとに)見直されます。また、昇給や降給で給料が大幅に変わった場合は、随時改定が行われます。この標準報酬月額が、傷病手当金や出産手当金の計算基礎となるため、自分の標準報酬月額を知っておくと、将来受け取れる給付金の額を概算することができます。

標準報酬月額は、毎月の給与明細や、年に1回送られてくる「ねんきん定期便」で確認することができます。また、日本年金機構の「ねんきんネット」に登録すれば、いつでもオンラインで確認可能です。自分の標準報酬月額を把握しておくことで、病気や失業などの際に受け取れる給付金の見込み額を知り、生活設計に役立てることができます。

社会保険給付金制度における失業時の給付とは

失業時には雇用保険から基本手当(失業給付)が支給されます。再就職までの生活を支える重要な給付ですので、詳しく見ていきましょう。

雇用保険の基本手当(失業手当)の仕組み

雇用保険の基本手当は、一般に失業手当や失業保険と呼ばれる給付金です。会社を辞めて失業した人が、次の仕事を探している期間の生活を支援するために支給されます。

基本手当の目的は、失業者の生活の安定を図りながら、求職活動を支援することにあります。そのため、単に仕事を辞めただけでは受け取れず、積極的に仕事を探していることが条件となります。ハローワークに求職の申し込みをし、定期的に失業の認定を受けながら、求職活動を続ける必要があります。

基本手当の給付率は、離職時の年齢と賃金日額によって50%から80%の範囲で決定されます。一般的には、年齢が若く賃金日額が低い人ほど給付率が高くなります。これは、若年層や低所得者の生活保障をより手厚くするための配慮です。

基本手当を受給している間は、4週間に1回ハローワークに行き、失業認定を受ける必要があります。この際、求職活動の実績を報告しなければなりません。アルバイトをした場合や、病気で求職活動ができなかった場合なども申告する必要があり、虚偽の申告は不正受給となり、給付金の返還や罰則の対象となります。

失業給付を受け取るための条件

失業給付を受け取るためには、いくつかの条件を満たす必要があります。最も重要な条件は、離職前の一定期間に雇用保険に加入していたこと、そして働く意思と能力がありながら就職できない状態にあることです。

具体的な加入期間の要件は、離職の理由によって異なります。自己都合で退職した場合は、離職前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上必要です。一方、会社の倒産や解雇など、やむを得ない理由で離職した場合(特定受給資格者)は、離職前の1年間に通算6ヶ月以上あれば受給できます。

「働く意思と能力がある」という条件も重要です。病気やケガですぐに働けない状態、妊娠・出産・育児のためすぐに働けない状態、学業に専念する場合などは、失業給付の対象外となります。ただし、これらの理由で働けない場合は、受給期間の延長を申請することができ、後で条件を満たした時に受給することが可能です。

また、自営業を始めた場合や、会社の役員に就任した場合も、失業状態とは認められません。アルバイトをする場合は、週の労働時間が20時間未満であれば失業給付を受けながら働くことができますが、収入額によっては給付が減額されたり、支給が先送りされたりすることがあります。ハローワークに必ず報告し、適切な手続きを取ることが大切です。

失業給付の受給期間と金額

失業給付を受け取れる期間(所定給付日数)は、離職理由、年齢、雇用保険の加入期間によって異なります。自己都合退職の場合は90日から150日、会社都合退職の場合は90日から330日まで、幅広く設定されています。

自己都合で退職した場合、被保険者期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日となります。一方、会社都合で退職した場合は、年齢と被保険者期間に応じて細かく区分されており、たとえば45歳以上60歳未満で被保険者期間が20年以上あれば、330日間受給できます。

受給期間(失業給付を受けられる期間の上限)は、原則として離職日の翌日から1年間です。この1年の間に、所定給付日数分の給付を受け取る必要があります。ただし、病気やケガ、妊娠・出産などですぐに働けない場合、病気・けが・妊娠・出産などですぐに働けない場合、申請により受給期間を延長できます(離職日の翌日から最長4年以内まで延長可能)。申請の要件・期限は状況により異なるため、早めにハローワークに確認してください。

失業給付の総額は、基本手当日額×所定給付日数で計算できます。たとえば、基本手当日額が6,000円で所定給付日数が90日の場合、総額は54万円となります。基本手当日額が同じでも、所定給付日数が長ければ総額は多くなります。長く働いていた人や、会社都合で退職した人ほど手厚い保障を受けられる仕組みです。

ハローワークでの手続きが必要

失業給付を受け取るためには、ハローワーク(公共職業安定所)での手続きが必須です。会社を辞めたら、できるだけ早くハローワークに行き、求職の申し込みと失業給付の申請を行いましょう。

手続きには、離職票(会社から受け取る)、マイナンバーカードまたは通知カード、身分証明書、証明写真、本人名義の預金通帳が必要です。ハローワークで求職申込書に記入し、離職票とともに提出すると、受給資格の決定が行われます。その後、雇用保険受給説明会に参加し、失業認定日が指定されます。

自己都合で退職した場合は、申請から7日間の待機期間の後、さらに2ヶ月または3ヶ月の給付制限期間があります。この期間は給付を受けられません。会社都合の場合は、7日間の待機期間の後、すぐに給付が開始されます。いずれの場合も、4週間に1回、指定された失業認定日にハローワークに行き、求職活動の実績を報告する必要があります。

失業認定を受けるためには、原則として前回の認定日から今回の認定日までの間に、2回以上の求職活動実績が必要です。求職活動には、求人への応募、ハローワークが実施するセミナーへの参加、民間の職業紹介事業者への登録などが含まれます。単にインターネットで求人を見ただけでは認められませんので、計画的に求職活動を行うことが大切です。

社会保険給付金の申請方法|必要書類と手続きの流れ

社会保険給付金は、自動的に支給されるものではありません。必ず自分で申請する必要があります。ここでは主な給付金の申請方法を解説します。

傷病手当金の申請に必要な書類と手続き

傷病手当金を申請するには、健康保険傷病手当金支給申請書を提出する必要があります。この申請書には、本人が記入する欄、事業主(会社)が記入する欄、医師が記入する欄があり、それぞれの証明が必要です。

申請の流れは次の通りです。まず、病気やケガで仕事を休むことになったら、会社に連絡し、傷病手当金を申請したい旨を伝えます。会社から申請書をもらうか、協会けんぽや健康保険組合のウェブサイトからダウンロードします。自分の基本情報や休業期間などを記入したら、医師に診断書欄(療養担当者意見書)を記入してもらいます。

医師の証明を受けたら、次に会社の人事部門に申請書を提出し、事業主証明欄(賃金の支払い状況など)を記入してもらいます。すべての記入が終わったら、会社を通じて、または直接、健康保険組合や協会けんぽに提出します。申請は休業期間ごとに行うことができ、1ヶ月ごとに申請する人が多いです。

申請から支給までは、通常2週間から1ヶ月程度かかります。初回の申請時には審査に時間がかかることもあります。傷病手当金には2年の時効がありますので、遡って申請することも可能ですが、できるだけ早めに手続きを始めることをおすすめします。

出産手当金・出産育児一時金の申請方法

出産手当金の申請方法は、傷病手当金と似ています。健康保険出産手当金支給申請書に、本人、医師または助産師、事業主がそれぞれ必要事項を記入し、健康保険組合または協会けんぽに提出します。

出産手当金は、産後に申請するのが一般的です。出産後に医師または助産師に出産の証明をしてもらい、会社に事業主証明をしてもらってから提出します。産前分と産後分を分けて申請することも、まとめて申請することも可能です。申請期限は産休開始日の翌日から2年間です。

出産育児一時金の申請は、さらに簡単です。多くの医療機関では「直接支払制度」を導入しており、出産前に医療機関で合意文書に署名するだけで、健康保険から医療機関に直接一時金が支払われます。出産費用が50万円より少なかった場合は、差額を後から申請して受け取ることができます。直接支払制度を利用しない場合や、利用できない医療機関で出産した場合は、出産後に自分で申請書を提出します。

出産育児一時金の申請には、医療機関が発行する出産証明書や領収書が必要です。申請期限は出産日の翌日から2年間ですが、できるだけ早めに申請することをおすすめします。出産手当金も出産育児一時金も、会社の人事部門に相談すれば、手続きをサポートしてもらえることが多いので、わからないことがあれば遠慮せずに尋ねましょう。

失業給付の申請手続きとハローワークでの流れ

失業給付の申請は、ハローワークで行います。会社を退職したら、会社から離職票を受け取り、できるだけ早くハローワークに行って求職の申し込みと受給資格の決定を受けましょう。

ハローワークでの手続きの流れは次の通りです。まず、受付で求職申込書に記入し、離職票とともに提出します。この時、マイナンバーカード、身分証明書、証明写真(縦3cm×横2.5cm)、印鑑、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードを持参します。受給資格が決定されると、雇用保険受給資格者証が交付され、雇用保険受給説明会の日時が指定されます。

説明会に参加すると、失業認定日が指定されます。自己都合退職の場合は、7日間の待機期間と2ヶ月または3ヶ月の給付制限期間の後、初回の失業認定日に指定された日にハローワークに行きます。会社都合退職の場合は、待機期間の後、比較的早い時期に初回の認定日が設定されます。

失業認定日には、失業認定申告書に求職活動の状況などを記入して提出します。認定を受けると、通常5営業日程度で指定した口座に基本手当が振り込まれます。その後も、原則として4週間に1回、失業認定日にハローワークに行き、同様の手続きを繰り返します。すべての所定給付日数を受け取るか、再就職するまでこの流れが続きます。

<h3>申請期限に注意が必要な給付金</h3>

社会保険給付金には、それぞれ申請期限が設定されています。期限を過ぎると給付を受けられなくなってしまうため、注意が必要です。

傷病手当金と出産手当金の申請期限は、支給開始日から2年間です。たとえば、2024年1月1日から休業を開始した場合、2026年1月1日までに申請しないと、その分の給付を受ける権利が消滅してしまいます。ただし、実際には休業期間ごとに時効が進行するため、1ヶ月ごとや2ヶ月ごとに定期的に申請することをおすすめします。

出産育児一時金の申請期限も、出産日の翌日から2年間です。直接支払制度を利用する場合は医療機関が手続きを行うため問題ありませんが、自分で申請する場合や差額を受け取る場合は、忘れずに期限内に申請しましょう。

失業給付の場合、受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。この1年の間に、所定給付日数分を受け取る必要があります。病気などで働けない場合は受給期間の延長ができますが、延長の申請は原則として離職日の翌日から30日経過後、1ヶ月以内に行う必要があります。手続きが遅れると延長できなくなる可能性があるため、早めの対応が重要です。障害年金や遺族年金にも、障害認定日や死亡日から起算して時効がありますので、該当する可能性がある場合は、早めに年金事務所に相談することをおすすめします。

社会保険給付金制度を利用する際の注意点とは

社会保険給付金制度を正しく利用するためには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。知らずに損をしたり、トラブルに巻き込まれたりしないよう、重要なポイントを確認しましょう。

申請しないと受け取れない給付金が多い

社会保険給付金の多くは、申請主義を採用しています。つまり、自分で申請しなければ、たとえ受給資格があっても給付金を受け取ることができません。

たとえば、傷病手当金は、病気で休業していても自動的には支給されません。自分で申請書を用意し、医師の証明を受け、会社の証明を得て、健康保険組合に提出する必要があります。出産手当金や高額療養費も同様で、申請しなければ給付されません。

このような申請主義の制度では、制度を知らなかったり、手続きが面倒だったりして申請しない人が一定数います。しかし、これらの給付金は、保険料を納めている人が受け取る正当な権利です。条件を満たしているのに申請しないのは、非常にもったいないことです。

会社の人事部門や健康保険組合、ハローワーク、年金事務所などでは、給付金の説明や申請のサポートを行っています。わからないことがあれば、遠慮せずに相談しましょう。また、インターネットで制度の詳細を調べたり、申請書をダウンロードしたりすることもできます。自分から積極的に情報を集め、必要な給付金はしっかりと申請することが大切です。

申請期限を過ぎると給付が受けられなくなる

社会保険給付金には、それぞれ申請期限(時効)が設定されています。期限を過ぎると、たとえ受給資格があっても給付を受けられなくなってしまうため、期限管理は非常に重要です。

多くの給付金の時効は2年間です。傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金、高額療養費などは、支給事由が発生した日から2年で時効となります。ただし、傷病手当金のように長期間にわたる給付の場合、各支給日ごとに時効が進行するため、早めに定期的に申請することが重要です。

失業給付の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。この期間内に所定給付日数を受け取らなければ、残りの給付は受けられなくなります。病気などで働けない場合の受給期間延長も、申請期限があるため注意が必要です。

障害年金や遺族年金にも時効があり、原則として5年間です。ただし、遡及して受給できるのは最大5年分であり、それ以前の分は時効で消滅します。これらの年金は、条件を満たした時点でできるだけ早く申請することをおすすめします。申請を先延ばしにしていると、受け取れるはずの給付を失ってしまう可能性があるため、該当する事由が発生したら速やかに手続きを始めましょう。

虚偽の申請は不正受給になり罰せられる

社会保険給付金の申請において、虚偽の申告や不正な手段で給付を受けることは犯罪です。不正受給が発覚した場合、給付金の返還だけでなく、刑事罰や行政罰が科される可能性があります。

よくある不正受給の例としては、失業給付を受けながら働いていることを申告しない、傷病手当金を受けながら実際には働いている、出産手当金の休業期間を偽って申告するなどがあります。これらは、調査によって発覚すると、受け取った給付金の全額返還に加え、最大で受給額の2倍の納付が命じられることがあります。

また、刑事罰として、詐欺罪で懲役刑や罰金刑が科される可能性もあります。実際に、失業給付の不正受給で逮捕・起訴された事例は多数あります。一時的な利益のために不正を行うと、将来にわたって大きな不利益を被ることになります。

正直に申告することが、制度を健全に維持し、本当に困っている人が給付を受けられるようにするために重要です。申請内容に誤りがあった場合は、気づいた時点ですぐに訂正の申し出をしましょう。故意ではない誤りであれば、適切に訂正することで問題なく対処できます。制度を正しく理解し、誠実に利用することが大切です。

給付金には税金がかかる場合とかからない場合がある

社会保険給付金の中には、所得税や住民税の課税対象となるものと、非課税となるものがあります。給付金の種類によって税金の扱いが異なるため、確定申告の必要性を含めて理解しておく必要があります。

非課税となる主な給付金は、傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金、失業給付(基本手当)、遺族年金などです。これらの給付金は、所得として計算されないため、確定申告の必要もありません。高額療養費も、医療費の払い戻しという性質上、所得には含まれません。

一方、課税対象となるのは、老齢年金や障害年金の一部です。老齢厚生年金や老齢基礎年金は雑所得として課税され、一定額を超える場合は確定申告が必要になります。障害年金については、障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)と遺族年金は非課税です。老齢年金は雑所得として課税対象になります。

育児休業給付金や介護休業給付金も非課税です。ただし、これらの給付金を受けている間は収入が減るため、年末調整や確定申告で配偶者控除や扶養控除の対象となる可能性があります。給付金の課税・非課税の区分を正しく理解し、必要に応じて税務申告を行いましょう。不明な点があれば、税務署や税理士に相談することをおすすめします。

社会保険給付金とは何ですか?よくある質問と回答

社会保険給付金制度について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問を解消し、制度を正しく理解するために参考にしてください。

社会保険給付金は誰でも受け取れますか?

社会保険給付金は、基本的には社会保険に加入している人が受け取ることができます。会社員として働いていて、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などに加入していれば、それぞれの給付を受ける権利があります。

ただし、単に加入しているだけでなく、各給付金の受給要件を満たす必要があります。たとえば、傷病手当金を受け取るには、業務外の病気やケガで連続3日以上休業し、給料が支払われないことが条件です。失業給付を受けるには、一定期間雇用保険に加入していたことや、働く意思と能力があることが条件です。

自営業者やフリーランスの場合、国民健康保険と国民年金には加入しますが、傷病手当金や出産手当金の制度はありません。また、雇用保険にも加入できないため、失業給付も受けられません。ただし、出産育児一時金や高額療養費、障害年金、遺族年金などは受け取ることができます。

扶養に入っている配偶者や子どもは、本人の保険料を納めていないため、傷病手当金や出産手当金は受け取れません。しかし、出産育児一時金は、被扶養者が出産した場合にも支給されます。このように、働き方や加入している保険によって受け取れる給付金が異なるため、自分がどの保険に加入しているかを確認しておくことが大切です。

社会保険給付金の申請に期限はありますか?

はい、社会保険給付金には申請期限(時効)があります。多くの給付金は2年の時効があり、期限を過ぎると受け取る権利が消滅してしまいます。

傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金、高額療養費などは、いずれも2年の時効です。たとえば、傷病手当金は、各支給日から2年が経過すると、その支給分の権利が消滅します。長期療養の場合、最初の方の給付金は時効になってしまう可能性があるため、定期的に申請することが重要です。

失業給付の場合、受給期間が原則として離職日の翌日から1年間と定められています。この期間内に所定給付日数を受け取らなければ、残りの給付は受けられなくなります。病気などで働けない場合は、受給期間の延長を申請できますが、延長の申請にも期限があります。

障害年金や遺族年金の時効は5年間です。ただし、遡及して受給できるのも5年分が上限であり、それ以前の分は受け取れません。これらの年金は、条件を満たした時点でできるだけ早く申請することが望ましいです。申請期限を過ぎてしまうと、本来受け取れるはずの給付金を失ってしまうため、該当する事由が発生したら速やかに手続きを始めましょう。

退職後でも社会保険給付金は受け取れますか?

はい、退職後でも一定の条件を満たせば社会保険給付金を受け取ることができます。特に、傷病手当金や出産手当金は、退職後も継続して受給できる場合があります。

傷病手当金を受給中に退職した場合、以下の条件を満たせば退職後も継続して受給できます。1つ目は、退職日まで継続して1年以上健康保険に加入していたこと、2つ目は、退職日に傷病手当金を受けているか、受けられる状態にあったことです。この条件を満たせば、退職後も最長1年6ヶ月(支給開始日から起算)まで受給できます。

出産手当金も同様に、退職日まで継続して1年以上健康保険に加入していて、退職日に出産手当金を受けているか受けられる状態にあれば、退職後も受給できます。退職日に出勤してしまうと「受けられる状態」ではなくなるため、注意が必要です。

失業給付は、まさに退職後に受け取る給付金です。離職前に一定期間雇用保険に加入していれば、ハローワークで手続きをすることで受給できます。また、退職時に加入していた健康保険を任意継続することもでき、最長2年間継続できます。ただし、保険料は全額自己負担となります。退職を検討している場合は、これらの制度を理解し、計画的に手続きを進めることをおすすめします。

社会保険給付金の申請は難しいですか?

社会保険給付金の申請は、複雑に感じるかもしれませんが、適切なサポートを受ければ難しくありません。申請書の記入例や説明資料が用意されており、わからないことがあれば、窓口や電話で相談できる体制が整っています。

傷病手当金や出産手当金の申請では、会社の人事部門がサポートしてくれることが多いです。申請書を渡してくれたり、記入方法を教えてくれたり、事業主証明欄を記入してくれたりします。医師の証明が必要な部分は、診察時に主治医に依頼すれば記入してもらえます。

失業給付の申請では、ハローワークの職員が丁寧に手続きを説明してくれます。雇用保険受給説明会では、申請の流れや失業認定の方法、求職活動の進め方などを詳しく教えてもらえます。初めての人でも理解できるように、わかりやすく説明してくれるので安心です。

障害年金や遺族年金の申請は、やや複雑な部分もありますが、年金事務所で相談すれば、必要な書類や手続きの流れを教えてもらえます。また、社会保険労務士に相談・依頼することもできます。多くの健康保険組合や協会けんぽのウェブサイトには、申請書のダウンロードページや記入例が掲載されているので、事前に確認しておくとスムーズです。申請を躊躇せず、困った時には遠慮なく専門窓口に相談しましょう。

まとめ|社会保険給付金制度とは何か、種類一覧と受け取り方

社会保険給付金制度とは、病気やケガ、失業、出産など、働けなくなった時に生活を支えるための公的な仕組みです。厚生労働省が管轄し、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などから、さまざまな給付金が支給されます。

社会保険給付金の主な種類には、傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金、失業給付、障害年金、遺族年金、高額療養費などがあります。それぞれ異なる状況に対応しており、受給要件や金額も異なります。会社員として働いている人は、これらの給付を受ける権利があり、万が一の時に生活を守ることができます。

給付金の額は、働いていた時の給料(標準報酬月額)や加入期間によって決まります。傷病手当金や出産手当金は給料の約3分の2、失業給付は給料の50%から80%が支給されます。これらの給付金によって、働けない期間の生活費をある程度まかなうことができます。

社会保険給付金を受け取るためには、自分で申請する必要があります。申請には期限があり、期限を過ぎると受け取れなくなってしまうため注意が必要です。傷病手当金や出産手当金は会社と医師の証明が必要で、失業給付はハローワークでの手続きが必須です。それぞれの申請方法を理解し、必要な時には速やかに手続きを始めましょう。

社会保険給付金制度を利用する際は、正直に申告することが重要です。虚偽の申請は不正受給となり、厳しい罰則が科されます。また、給付金によっては税金がかかる場合とかからない場合があるため、正しく理解しておく必要があります。

毎月の給料から引かれている社会保険料は、こうした給付金を受け取るための大切な保険料です。制度を知らなければ、本来受け取れるはずの給付を見逃してしまう可能性があります。社会保険給付金制度は、働く人とその家族を守るためのセーフティーネットです。いざという時に備えて、どのような給付があるのか、どうすれば受け取れるのかを理解しておくことが大切です。

困った時には、会社の人事部門、健康保険組合、協会けんぽ、ハローワーク、年金事務所などに相談しましょう。専門家のサポートを受けながら、自分の権利をしっかりと活用してください。社会保険給付金制度を正しく理解し、必要な時に適切に利用することで、安心して働き続けることができます。

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