毎日かかってくる督促の電話。ポストに届く催告書。「いつになったら終わるんだろう」と、眠れない夜を過ごしている方も多いのではないでしょうか。
債務整理を考えてはいるけれど、弁護士に頼む費用が払えるかどうか分からない。そもそも弁護士と司法書士のどちらに相談すればいいのかも分からない。そんな不安から、一歩が踏み出せずにいる方は少なくありません。
ただ、少し安心していただきたいのは、弁護士に依頼すると受任通知を送付した時点から、貸金業法の規定にもとづいて督促・取立ては法的に禁止されます。つまり、依頼した翌日から電話が止まる可能性があるのです。
さらに、弁護士費用は「返済がストップした後に積み立てて支払う」という仕組みが一般的です。手持ちがゼロでも手続きをスタートできる方法もあります。この記事では、債務整理を弁護士に依頼する費用の相場から選び方、支払い方法、手続きのタイムラインまでをまとめて解説します。読み終わったあとには「自分はどうすればいいか」が具体的に見えてくるはずです。
債務整理を弁護士に依頼すると何が変わるのか

弁護士への依頼がどんな効果をもたらすのかを最初に知っておくと、費用や選び方の話もずっと腑に落ちやすくなります。「どうせ手続きに時間がかかるんでしょ」という先入観は、ここで一度リセットしてみてください。
受任通知を送った日から督促・取立てが止まる
弁護士が依頼を受けると、まず債権者(お金を貸している会社)に対して「受任通知」を送ります。この通知が届いた瞬間から、貸金業法21条の規定によって債権者は本人への直接連絡を禁止されます。電話もハガキも、原則として一切できなくなります。
受任通知の発送は早ければ依頼した数日以内に行われます。長年悩まされてきた督促の電話が止まる体験は、多くの方にとって「こんなに早く変わるとは思わなかった」という驚きになるようです。精神的な重荷がひとつ取れるだけで、状況を冷静に整理する余裕が生まれます。
日常的に受けていた取立て電話の回数が多ければ多いほど、受任通知を送った後の静けさを体感したときの安堵感は大きいはずです。「こんなに早く変わるなら、もっと早く相談しておけばよかった」という声はよく聞かれます。精神的なストレスを長期間抱え続けることは、仕事や健康にも影響します。まず督促を止めることが、問題解決の出発点です。
ただし、受任通知を送れるのは弁護士(および一定条件を満たした認定司法書士)のみです。自分で交渉しようとしても、督促を止める法的な効力はありません。この点だけでも、専門家に依頼する価値は十分あります。なお、具体的な状況については必ず弁護士に個別相談されることをおすすめします。
返済がストップしている間に費用を準備できる仕組み
「弁護士費用が払えないから相談できない」という方がいますが、実はその順番が逆です。弁護士に依頼すると、返済がストップします。そのストップした分のお金を毎月積み立てていき、ある程度まとまった額になったら弁護士費用に充てる、というのが多くの事務所で採用されているモデルです。
たとえば、月3社合計6万円の返済をしていた場合、依頼後はその6万円が手元に残ります。3か月で18万円。これを弁護士費用に充てながら手続きを進める流れです。手持ちがなくても動き出せる理由はここにあります。
この「返済ストップ→積立→費用支払い」という流れを事前に知っている方は意外と少なく、「まとまったお金がないから相談できない」と思い込んで何年も動けないままでいるケースが実際に多くあります。弁護士費用は依頼前に全額用意する必要はありません。まずは無料相談で自分の状況を話してみることが、最初のステップです。
一部の事務所では着手金ゼロ・完全成功報酬型の料金体系を採用しているところもあります。費用の支払いについては後述する法テラスの活用法とあわせて、どの方法が自分に合うかを確認していきましょう。
債務整理の種類と弁護士費用の相場
債務整理といっても、手続きの種類によって内容も費用も大きく異なります。自分の借金の規模や状況に合った方法を選ぶことが、解決への最短ルートになります。まずは各手続きの費用感をざっくりつかんでおきましょう。
任意整理の費用(1社あたりの着手金・報酬金の目安)
任意整理は、裁判所を通さずに弁護士が債権者と直接交渉して、将来の利息をカットしたり返済期間を延ばしたりする手続きです。手続きの中で最も利用者が多く、費用も比較的抑えられます。
費用の相場は、1社あたり着手金が2〜3万円、成功報酬が減額分の10%前後というのが一般的な水準です。たとえば3社を整理する場合、着手金だけで6〜9万円程度を見込んでおく必要があります。報酬金については過払い金が発生した場合に別途かかるケースもあります。実費(郵便代など)は5,000円程度と非常に安く抑えられます。
任意整理は財産を失うリスクがなく、整理する債権者を自分で選べるため、たとえば車のローンや奨学金だけは除いて整理したい、という使い分けも可能です。住宅ローン以外の借金があり、ある程度の収入がある方に向いています。裁判所を通さないぶん手続きがシンプルで、弁護士費用の総額が最も抑えやすい方法でもあります。
ただし、任意整理はあくまで交渉による合意です。借金の元本自体が大幅に減るわけではなく、将来利息のカットと返済期間の延長が主な効果です。毎月の返済額を減らすことはできますが、元本が多すぎる場合は任意整理では解決しきれないことも念頭に置いておきましょう。
個人再生の費用(住宅ローン特則ありの場合も含む)
個人再生は、裁判所に申し立てて借金を大幅に減額してもらい、残額を原則3〜5年で返済する手続きです。自己破産と違い、マイホームを手放さずに手続きを進められる「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」があることが大きな特徴です。
費用の相場は弁護士費用として50〜80万円程度、そこに裁判所への予納金が加わります。住宅ローン特則を利用する場合はさらに数万円加算されるケースもあります。任意整理と比べると費用は高くなりますが、借金の減額幅も大きく、数百万円の借金が数十万円になるケースもあります。
個人再生を検討すべき状況としては、借金が大きすぎて任意整理では返しきれない、でも仕事があって一定の収入があり自己破産は避けたい、というケースが典型的です。家を守りながら借金を圧縮したい方にとっては有力な選択肢です。
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。給与所得者など安定した収入がある方は後者を利用できます。どちらが適しているかは弁護士との相談で判断することになります。
自己破産の費用(同時廃止と管財事件の違い)
自己破産は、裁判所に申し立てて借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。返済能力がない状態を裁判所が認定すると、借金がゼロになります。ただし、一定以上の財産がある場合は売却して債権者に分配する手続きが入ります。
費用は手続きの種類によって異なります。財産がほとんどなく、手続きがシンプルな「同時廃止」の場合、弁護士費用が20〜30万円前後、裁判所への予納金が1万円程度で、合計30〜40万円程度が目安です。一方、財産がある「管財事件」になると弁護士費用が40〜50万円、予納金が20万円以上となり、合計70万円前後になるケースもあります。
自己破産を選んだ場合、借金の返済義務はなくなりますが、一定期間はクレジットカードの利用や新たなローン契約が難しくなります。また、一部の職業で就業に制限がかかる期間があります(弁護士・司法書士・警備員など)。ただしその制限は免責決定が確定すれば解消されます。具体的な影響については弁護士への個別相談で確認することをおすすめします。
裁判所費用は別途かかる?手続き別の実費一覧
弁護士費用とは別に、裁判所に支払う「予納金」と呼ばれる実費が発生します。手続きごとの目安は以下のとおりです。
・任意整理:裁判所を使わないため予納金なし(実費は郵便代程度で5,000円前後) ・個人再生:予納金として1〜2万円程度(申立手数料)+再生委員が選任される場合は15〜20万円程度が加算 ・自己破産(同時廃止):予納金1万円程度 ・自己破産(管財事件):予納金20万円〜(財産の規模によって変動)
これらの実費は弁護士費用に含まれていない場合がほとんどです。見積もりを取る際には「裁判所費用は別ですか?」と必ず確認するようにしてください。総額で比較しないと、「弁護士費用が安い」と思って選んだ事務所の実費が高く、結局割高になったというケースもあります。
弁護士費用が払えないときの3つの方法
「費用の相場はわかった。でも今すぐ払えるお金がない」という方のために、現実的な対処法を3つ紹介します。どれも実際に多くの方が利用している方法です。諦める前に、必ず確認してみてください。
分割払い:返済ストップ後の積立で対応する
多くの弁護士事務所では、着手金・報酬金ともに分割払いに対応しています。前述のとおり、弁護士に依頼した後は返済がストップするため、それまで債権者への返済に充てていたお金を毎月事務所に積み立てていく形が一般的です。
たとえば、毎月5社に合計10万円返済していたとすると、依頼後は10万円が手元に残ります。弁護士費用の合計が30万円だとすれば、3か月分の積立で費用を賄える計算です。実際には手続きに数か月かかるため、その間に費用を積み立てながら進めるケースがほとんどです。
初回相談の際に「今すぐ支払えるお金がない」と率直に伝えても問題ありません。多くの事務所は状況に応じた返済プランを一緒に考えてくれます。むしろ、支払い計画を丁寧に説明してくれる事務所かどうかが、信頼できる事務所かどうかの判断材料のひとつになります。
法テラスの費用立替制度を使う(月5,000円〜返済可)
法テラス(日本司法支援センター)には、一定の収入・資産要件を満たす方を対象に、弁護士費用を立て替えてくれる「民事法律扶助制度」があります。立て替えてもらった費用は、月5,000円〜1万円程度の分割で法テラスに返済していく仕組みです。手数料や利息はかかりません。
収入要件の目安としては、単身者で手取り月収18万2,000円以下、夫婦2人世帯で25万1,000円以下(同居家族の人数や居住地によって変動あり)となっています。資産要件については、単身者で180万円以下、夫婦で250万円以下が目安です。借金問題を抱えている方の多くがこの要件をクリアしています。
生活保護を受給している方の場合、立替費用の返還が免除されるケースもあります。「自分が対象になるかどうかわからない」という方は、法テラスの無料電話相談(0120-007-110)で確認できます。まず問い合わせてみることをおすすめします。
ひとつ注意点として、法テラスを利用する場合は法テラスが提携している弁護士に依頼することになります。特定の事務所を希望する場合は事前に確認が必要です。また、審査に少し時間がかかるため、督促が今すぐ止まらないという点はご留意ください。急を要する場合は、事務所への直接依頼と法テラスの活用を組み合わせる方法も相談してみてください。
着手金なし・成功報酬型の事務所を探す
着手金ゼロで受任し、手続きが成立した後に報酬をもらう「完全成功報酬型」の事務所も存在します。初期費用がかからないため、まとまったお金がない状態でも手続きをスタートしやすい点がメリットです。
ただし、成功報酬が高めに設定されているケースもあるため、最終的な総費用で比較することが大切です。複数の事務所に見積もりを依頼して比較することをおすすめします。「着手金なし」という言葉だけで決めず、最終的にいくら払うことになるかを確認してから選ぶようにしてください。
なお、費用の安さだけで事務所を選ぶのは避けてください。費用が安い代わりに担当弁護士との連絡が取りにくかったり、手続きが長引いたりするケースも報告されています。費用とサービスの質のバランスを見て選ぶことが大切です。
弁護士と司法書士、どちらに依頼すべきか
「弁護士と司法書士、費用が安いのはどっち?」という疑問はよく聞かれますが、正直なところ費用よりも業務範囲の違いを先に理解することのほうが重要です。自分の状況に合わない専門家を選ぶと、後から弁護士に切り替えるコストが余分にかかる可能性があります。
140万円ルールとは?業務範囲の違いを整理する
司法書士(認定司法書士)が債務整理で代理できる範囲には、法律上の上限があります。2016年の最高裁判決により「個別の債権額(借金の元金)が1社あたり140万円を超える場合、司法書士は代理権を持たない」という基準が明確になりました。
ポイントは「借金の総額」ではなく「1社ごとの額」で判断するという点です。たとえば、A社に130万円、B社に80万円の借金がある場合、どちらも140万円以下なので、認定司法書士が代理して任意整理を進めることができます。一方、A社に150万円の借金がある場合は弁護士でなければ代理ができません。
また、個人再生や自己破産では、裁判所への申立て書類の作成は司法書士でも行えますが、裁判所との交渉や手続き全般を代理できるのは弁護士のみです。個人再生委員との面接への同席、裁判官への意見陳述なども弁護士だけに認められています。
かつて140万円の解釈をめぐって司法書士と依頼者の間でトラブルが生じたケースもありました。たとえば、140万円を超える過払い金の請求を司法書士に依頼したところ、裁判には出廷できないと言われ、結果として本来より低い金額で和解せざるを得なかった事例が報告されています。最初から正確な業務範囲を理解した上で依頼先を選ぶことが、このようなトラブルを防ぐ第一歩です。
弁護士に依頼すべきケース(自己破産・個人再生・高額債務)
以下のいずれかに当てはまる場合は、最初から弁護士に相談することをおすすめします。
・自己破産または個人再生を検討している ・1社あたりの借金が140万円を超えている ・過払い金が発生している可能性があり、その額が大きい ・債権者の数が多く、複雑な状況になっている ・勤務先や家族に知られずに手続きを進めたい(代理権が重要) ・将来的に裁判になる可能性がある ・途中で手続きの種類を変更する可能性がある
自己破産や個人再生は裁判所が関与する手続きであり、弁護士が代理人として全工程に関わることで、手続きがスムーズに進みます。司法書士に依頼すると書類作成のサポートは受けられますが、裁判所とのやり取りは本人が自分で行う必要があります。仕事が忙しい方や、手続きに自信がない方には大きな負担になります。
司法書士でも対応できるケース(少額・任意整理のみ)
一方、以下のような状況であれば、認定司法書士への依頼も選択肢になります。
・任意整理のみを検討しており、個人再生・自己破産は不要 ・1社あたりの借金がすべて140万円以下 ・複雑な財産関係がない ・比較的費用を抑えたい
ただし、途中で方針が変わって個人再生や自己破産に切り替えたい場合、改めて弁護士に依頼し直す必要があり、追加の費用と時間がかかります。「今は任意整理でいいか」と思っていても、後から状況が変わる可能性がある場合は、はじめから弁護士に相談しておくほうが結果的に安心です。
また、同じ事務所に全社まとめて依頼するのが原則です。「140万円以下の会社だけ司法書士に、超えている会社は弁護士に」と分けて依頼することは実務上難しいケースがほとんどです。債務全体を把握した上でベストな解決策を提案できる専門家に一括で依頼するのが理想です。
信頼できる弁護士事務所の選び方と注意点
債務整理を扱う弁護士事務所は全国に数多くあります。費用や実績の違いもありますが、中には注意が必要な事務所も存在します。ここでは信頼できる事務所を見極めるための具体的な判断基準をお伝えします。
良い事務所を見分ける7つのチェックポイント
事務所選びで確認したいポイントを7つまとめます。
・チェック1:初回相談が無料かどうか 多くの良心的な事務所は初回相談を無料で実施しています。有料の場合も、料金が明確に提示されているかを確認してください。
・チェック2:費用の内訳を書面で説明してくれるか 着手金・報酬金・実費・裁判所費用をそれぞれ明示してくれる事務所は信頼できます。「総額でいくらか」を口頭だけで答える事務所には注意が必要です。
・チェック3:担当弁護士が直接面談してくれるか 大手事務所では、相談は弁護士が行っても実務は事務員が担当するケースがあります。担当弁護士が誰で、どの程度関与してくれるかを確認しましょう。
・チェック4:複数の手続きの選択肢を提示してくれるか 任意整理だけでなく、個人再生・自己破産なども含めて状況を見て最適な方法を提案してくれる事務所が理想的です。一つの方法しか提示しない場合は慎重に。
・チェック5:過去の実績や口コミが確認できるか 事務所のウェブサイト、Googleのクチコミ、弁護士ドットコムなどで評価を調べてみましょう。実績数や対応の丁寧さについての口コミは判断材料になります。
・チェック6:弁護士の登録番号が公開されているか 弁護士には必ず弁護士会への登録番号があります。サイトや名刺に登録番号が明記されているかを確認してください。
・チェック7:「絶対に解決できます」などの断言表現がないか 法的手続きに絶対はありません。過度な断言や誇大な表現を使う事務所には注意が必要です。
面談なし・費用不明示の事務所は避けるべき理由
電話やメールだけで手続きを進めようとする事務所や、問い合わせ時点で費用を一切教えてくれない事務所には慎重になってください。債務整理は個人の財産・収入・債権者の構成によって対応が異なります。面談なしで「いくら減額できます」と答えるのは、正確な情報にもとづかない営業トークに近いといえます。
信頼できる事務所は、面談を通じてまず状況をしっかり把握してから、費用と見通しを提示します。急かすような言い方や「今日中に決めてください」という言葉が出たら、一度立ち止まって考えてください。
また、委任契約書を交わさずに手続きを始めようとする事務所も問題があります。依頼内容・費用・支払い方法・解除条件などが明記された契約書を必ず取り交わすようにしてください。口約束のみのやり取りはトラブルの原因になります。
誇大広告・悪質事務所のパターンと見分け方
過去には「司法書士が140万円を超える案件を受けてトラブルになった」「高額な着手金を取ったまま手続きを放置した」などの事例が報告されています。悪質な事務所のパターンをいくつか挙げます。
・「借金ゼロ保証」「必ず免責されます」などの過剰な保証 ・費用の見積もりが口頭のみで書類がない ・着手金の振込先が弁護士名義ではなく個人口座 ・弁護士の氏名や登録番号が確認できない ・契約書を交わさずに手続きを進めようとする ・「今すぐ決めないと手続きが遅れる」などの焦らせる言動
少しでも不安を感じたら、別の事務所にセカンドオピニオンを求める権利があります。一つの事務所で決める必要はありません。複数の無料相談を活用して比較することを強くおすすめします。弁護士会の苦情相談窓口に問い合わせることも可能です。
手続き別・解決までのタイムライン
「いつになったら楽になれるのか」という不安を抱えている方は多いと思います。手続きごとの流れと期間の目安を知っておくと、先の見通しが立ちやすくなります。
任意整理の流れと期間の目安(平均3〜6か月)
任意整理のおおよその流れと期間は以下のとおりです。
・相談・依頼(1日〜1週間) 事務所に相談し、依頼が決まったら委任契約を結びます。必要書類(借入れに関する書類、収入を証明するもの等)を準備します。
・受任通知の発送(依頼後数日〜1週間以内) 弁護士が各債権者に受任通知を送付し、督促がストップします。
・取引履歴の取り寄せ・引き直し計算(1〜2か月) 各債権者から取引履歴を取り寄せ、正確な残債額を計算します。過払い金が発生しているかどうかもこの段階で判明します。
・債権者との交渉(1〜3か月) 弁護士が債権者と交渉し、将来利息のカット・返済期間の延長などを取り決めます。債権者によっては交渉が長引くこともあります。
・和解成立・返済開始 和解が成立したら、弁護士の指定口座に毎月入金し、弁護士が各社に分配します。
全体の期間は平均3〜6か月程度ですが、債権者の数が多い場合や交渉が難航する場合はもう少しかかることもあります。和解成立後の返済期間は通常3〜5年です。返済期間中は弁護士事務所経由で振込みを続けます。
個人再生・自己破産の流れと期間の目安
個人再生と自己破産は裁判所が関与するため、任意整理よりも期間が長くなります。
個人再生の場合、申立てから認可決定まで6か月〜1年程度かかることが一般的です。住宅ローン特則を利用する場合は手続きが複雑になるため、さらに時間がかかることがあります。認可後は通常3〜5年間の返済計画を実行します。再生委員が選任された場合は、面接や書類提出などで本人の対応が必要になる場面もあります。
自己破産の場合、同時廃止であれば申立てから免責許可まで3〜6か月程度です。管財事件になると1年前後かかることもあります。免責が確定した時点で借金の支払い義務がなくなります。手続き中は一部の行為(海外渡航、高額の財産取得など)に制限がかかります。
どちらの手続きも、弁護士が依頼を受けた時点から督促はストップします。手続き期間中の精神的な安心感は、任意整理と同じです。
相談から督促ストップまでの最短ルート
「今すぐ電話を止めたい」という方のために、最短のルートを整理します。
・今日:無料相談を予約(電話1本、またはフォームから) ・数日以内:事務所で面談・委任契約 ・契約後数日〜1週間以内:受任通知発送 → 督促ストップ
つまり、今日動けば早ければ1週間以内に督促が止まる可能性があります。「手続きが長いから少し様子を見よう」と思っている間も、延滞損害金は積み上がり続けます。最初の一歩を踏み出すタイミングが早ければ早いほど、解決も早まります。
また、早めに動き出すことで過払い金が発生しているかどうかも確認できます。古い借入れがある方は、利息制限法の上限を超えた金利で払い続けていた可能性があり、整理してみると「借金がゼロになるどころか、むしろお金が返ってくる」ということもあります。
無料で相談できる窓口と使い方
「まだ依頼するか決めていない」「まず話だけ聞いてみたい」という段階でも、費用ゼロで専門家に話を聞いてもらえる窓口がいくつかあります。相談すること自体に費用はかかりません。気軽に利用してみてください。
法テラス(日本司法支援センター)の使い方
法テラスは国が設立した法的支援機関で、収入が一定以下の方を対象に無料法律相談を提供しています。電話番号は0120-007-110(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)で、オペレーターが最寄りの相談窓口や手続きを案内してくれます。
法テラスを通じて相談した場合、弁護士費用の立替制度(前述の民事法律扶助)への申請もスムーズに進められます。「まず費用の立替が使えるかどうか確認したい」という方は、ここを最初の入口にするのがおすすめです。
電話が難しい方は、法テラスの公式ウェブサイトからメール相談やオンライン相談を利用することもできます。プライバシーに配慮した形で相談できる環境が整っています。
弁護士会の無料法律相談を活用する
各都道府県の弁護士会でも、無料または低廉な費用で法律相談を行っています。日本弁護士連合会のウェブサイト(nichibenren.or.jp)から各地の弁護士会への連絡先を調べることができます。
弁護士会の相談は中立的な立場で行われるため、特定の事務所への誘導がありません。「どの事務所に行けばいいかわからない」という段階で、まず一般的な見通しを聞きたい場合に向いています。自治体が主催する無料法律相談会(市区町村の役所で定期開催)も同様に活用できます。
私設事務所の初回無料相談で複数事務所を比べる
ほとんどの弁護士事務所は、初回の相談を無料で受け付けています。1か所だけでなく、2〜3か所に相談してみることをおすすめします。費用の提示、担当弁護士の説明のわかりやすさ、対応の丁寧さなどを比較することで、信頼して任せられる事務所を見つけやすくなります。
相談時に「まだ依頼を決めていない」と伝えても問題ありません。誠実な事務所は、その場でサインを迫るようなことはしません。「今日決める必要はありません」と言える事務所のほうが、かえって信頼できると考えてよいでしょう。
相談の際には、借入れの件数・各社の残債額・毎月の返済額・収入の状況・財産(不動産・車など)の有無をまとめたメモを持参すると、より具体的なアドバイスをもらいやすくなります。完璧に整理できていなくても大丈夫です。「だいたいこのくらい」という情報でも十分に相談できます。
債務整理後の生活はどうなる?信用情報と再建の見通し
債務整理を決断する際に「整理した後の生活がどうなるか」を心配する方は多くいます。信用情報への影響は確かにありますが、それは「やり直せない」ことを意味しません。整理後の生活再建について、現実的な見通しを整理します。
債務整理を行うと、信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターなど)に事故情報が登録されます。登録期間は手続きの種類によって異なりますが、任意整理で約5年、個人再生・自己破産で約5〜10年が一般的な目安です。この期間中は、新たなクレジットカードの作成やローン契約が難しくなります。
ただし、登録期間が終われば信用情報はリセットされます。「一生クレジットカードを使えない」ということはありません。また、デビットカードや家族カード(家族が主契約者のもの)は手続き中・後でも利用できる場合があります。日常的な生活に大きな支障をきたすケースは、思われているよりも少ないのが実情です。
自己破産については「官報に掲載される」という点が気になる方もいますが、実際に官報を日常的にチェックしている一般の方はほとんどいません。勤務先や近所に知られることは、通常はありません。
財産面では、自己破産の場合に一定以上の財産(持ち家・車など)を手放すことがあります。ただし、生活必需品や一定額以下の現金・預金は手元に残せる「自由財産」として保護されています。個人再生であれば、前述のとおりマイホームを守ることも可能です。
多くの方が債務整理後に「肩の荷が下りた」「毎月の生活が楽になった」と感じています。借金の重荷から解放されることで、仕事や家庭への集中力が戻るという方も少なくありません。整理後の生活再建は、解決してから始まります。まず手続きを終えることを優先してください。その先に新しい出発点があります。
まとめ:督促を止める第一歩は無料相談から
この記事では、債務整理を弁護士に依頼する費用・支払い方法・弁護士と司法書士の違い・選び方・解決までのタイムラインを解説しました。最後に要点を整理します。
・弁護士に依頼すると受任通知送付後から督促が法的に禁止される。早ければ1週間以内に電話が止まる ・弁護士費用は返済ストップ後の積立で賄う事務所が多く、手持ちゼロでも動き出せる ・費用が払えない場合は法テラスの立替制度(月5,000円〜返済、利息なし)か、着手金なしの事務所を活用する ・1社あたり140万円超の借金がある場合や、個人再生・自己破産を検討している場合は弁護士一択 ・任意整理は1社あたり3〜5万円程度、個人再生は50〜80万円、自己破産は30〜100万円が相場。裁判所への予納金は別途確認を ・面談なし・費用不明示・強引なクロージングをする事務所には注意が必要 ・相談すること自体は無料。複数の窓口や事務所を比較してから決めてよい
「まだ自分は債務整理するほどじゃないかも」と思っている方でも、一度無料相談を受けてみることをおすすめします。専門家に話してみると「思っていたより選択肢があった」と気づく方が多いです。問題は放置すると延滞損害金で悪化します。今の状況を打開する最初の一歩は、無料相談の予約を入れることです。
督促の電話に怯える毎日を終わらせる方法は、必ずあります。費用の不安は手続きを始めた後に解決できます。まずは話だけでも聞いてもらうことから始めてみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の状況によって適切な手続きや費用は異なりますので、必ず弁護士への個別相談のうえでご判断ください。
