督促の電話が鳴るたびに、胃がきゅっと締め付けられる。そんな日々が続いているなら、債務整理を検討することは、決して逃げではありません。むしろ、問題を正面から解決するための、現実的な一歩です。
ただ、いざ動こうとしても「どこに頼めばいいのか」「費用が払えるのか」「家族にバレないか」といった不安が次々と浮かんできます。ネットで検索すれば事務所のランキング記事がずらりと並びますが、どれも「おすすめ1位」を名乗っているので、かえって混乱してしまうのが実態です。
ランキングを見て事務所を選んでも、自分の状況に合っているかどうかは別の話です。借入総額・収入・家族構成・保証人の有無によって、向いている手続きも、頼むべき専門家も、必要な費用もすべて変わります。そこを無視して「評判が良さそうだから」と選んでしまうと、手続き後に「もっと良い方法があったのでは」と後悔することになりかねません。
この記事では、ランキングではなく「状況別の選び方」を整理します。手続きの種類・弁護士と司法書士の違い・費用の仕組み・費用が払えない場合の対処法まで、依頼前に知っておくべきことをひとつひとつ確認していきます。
読み終えるころには、自分がどの手続きを、誰に、どれくらいの費用で頼めばいいかの見当がつくはずです。焦って事務所を決める必要はありません。まず情報を整理するところから始めましょう。
まず確認 債務整理の種類と自分に合う手続きの見分け方

事務所を選ぶ前に、まず「どの手続きを使うか」を大まかに把握しておく必要があります。手続きの種類によって、依頼先の選び方も費用も大きく変わるからです。また、どの手続きが向いているかは状況によって異なるため、「自分がどこにいるか」を最初に確認しておくと、その後の判断がスムーズになります。
手続きの種類を知らずに相談すると、事務所側の都合に合わせた提案を受け入れてしまうリスクがあります。基本的な知識を持って相談に臨むことが、自分に合った手続きを選ぶ第一歩です。
任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の違いを一覧で整理
債務整理には大きく4つの手続きがあります。それぞれの概要を整理しておきましょう。
任意整理は、裁判所を使わずに債権者と直接交渉して、将来利息のカットや返済計画の見直しを行う方法です。手続きがシンプルで費用も比較的安く、影響範囲を特定の借金だけに絞れるのが特徴です。「このカード会社だけ整理したい」「車のローンは残したい」という場合でも使えます。ただし、元本自体は原則として減らないため、借入総額が非常に大きいと効果が限定的になります。手続き期間は概ね3〜6カ月です。
個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額(最大5分の1程度)し、残りを3〜5年で分割返済する手続きです。住宅ローンを除外して自宅を守りながら手続きを進める「住宅ローン特則」があり、マイホームを持つ人にとっては重要な選択肢になります。収入が継続的にある方が対象で、減額後に返済を続ける前提の手続きです。費用は4つのうち最も高く、手続きも複雑ですが、借入総額が多い場合には任意整理よりも大幅な解決が見込めます。手続き期間は概ね6〜12カ月です。
自己破産は、返済が不可能な状態を裁判所に認めてもらい、借金の支払い義務をゼロにする手続きです。最も抜本的な解決方法ですが、一定の財産は処分され、官報に氏名が掲載されます。免責が認められれば借金はなくなりますが、その後の信用情報への影響は数年続きます。「財産もなく、収入もほぼない」という状況では、現実的な選択肢の一つです。手続き期間は同時廃止で概ね3〜6カ月、管財事件で1年前後です。
特定調停は、裁判所の調停委員を介して債権者と返済条件を交渉する手続きです。費用が安く自分で進められる反面、専門家が代理しないため交渉力が弱く、成立しない場合もあります。督促を止める効力も弁護士の受任通知ほど強くないため、他の手続きを選べる状況であれば優先順位は下がります。費用を極力抑えたい方が検討する手段です。
状況別チェックリスト 自分はどの手続きが向いているか
どの手続きが向いているかは、借入総額・月収・財産の有無・借入先の数によって変わります。以下のチェックポイントを確認してみてください。
任意整理が向いている状況:
- 借入先が3〜5社以下で、うち一部は整理したくない(車のローンや奨学金など)
- 収入はあるが、利息込みの返済が毎月きつい
- 信用情報への影響は覚悟しているが、裁判所を通じた手続きは避けたい
- 借入総額が比較的小さく(100〜200万円前後)、任意整理後も返済の見通しが立つ
個人再生が向いている状況:
- 借入総額が500万円以上あり、任意整理では対応しきれない
- 住宅ローンを抱えており、自宅を手放したくない
- 収入は継続的にあり、大幅な減額後であれば返済できる見込みがある
- 自己破産を避けたいが、任意整理では解決できない規模の借金がある
自己破産が向いている状況:
- 収入がほとんどなく、どの手続きでも返済の見通しが立たない
- 借入総額が非常に多く、個人再生後の返済額でも生活が成り立たない
- 車や不動産などの処分される財産が少なく、失うものが限定的
- ギャンブル・浪費以外の理由(病気・失業など)で返済不能になっている
迷う場合は、最初の無料相談で専門家に状況を話せば、向いている手続きを判断してもらえます。自分で決め切る必要はありません。「複数の選択肢を提示してもらえる事務所」を選ぶことが、この段階では一番大切です。「任意整理しかできません」と最初から断言する事務所よりも、状況に応じた提案をしてくれる事務所の方が信頼できます。
弁護士と司法書士 どちらに依頼すべきかの判断基準
債務整理の相談先として「弁護士」と「司法書士」の両方が選択肢に挙がります。費用に差があるため「司法書士のほうが安い」と思われがちですが、手続きの種類や借入状況によっては、司法書士に頼むことでかえって不便が生じる場合もあります。選ぶ前にその違いを正確に把握しておきましょう。
司法書士に頼める範囲と140万円ルールの意味
司法書士が代理人として債権者と交渉できるのは、1社あたりの借入額が140万円以下の案件に限られます。これは司法書士法で定められた権限の範囲で、「140万円ルール」と呼ばれます。
たとえばカードローンを3社から借りており、それぞれの残高が80万円・60万円・50万円だった場合、いずれも140万円以下なので司法書士への依頼が可能です。一方、1社だけで200万円の残高がある場合、その案件については司法書士は書類作成の補助しかできず、交渉の代理は弁護士でないと対応できません。
この140万円という基準は、借入の「残高」だけでなく、過払い金がある場合の請求額にも適用されます。過払い金請求の金額が140万円を超えるなら、司法書士は対応できません。この点は相談時に確認しておきましょう。
なお、140万円ルールを超えているかどうかは借入先ごとに判断されます。たとえばA社200万円・B社50万円という場合、A社については弁護士にしか代理を依頼できず、B社は司法書士でも対応可能です。ただし、2社を別々の専門家に依頼するのは非効率なため、こうした状況では弁護士にまとめて依頼するのが現実的な選択です。
個人再生・自己破産で司法書士に依頼したときに起きること
司法書士が書類作成のみ対応できる手続き(個人再生・自己破産)では、本人が裁判所に出頭しなければなりません。弁護士であれば代理人として出頭できますが、司法書士にはその権限がありません。
裁判所への出頭が難しい事情がある場合や、手続きをできるだけ自分が関与せずに進めたい場合は、弁護士への依頼が現実的です。個人再生や自己破産を検討しているなら、最初から弁護士に相談する方が手続きがスムーズに進みます。
司法書士に依頼した後で「やはり弁護士に頼み直したい」となった場合、費用が二重にかかる可能性があります。特に個人再生・自己破産を選ぶ可能性がある場合は、最初から弁護士を選ぶことを検討してください。
費用は大きく変わるか 弁護士vs司法書士のコスト比較
「司法書士のほうが安い」というイメージはおおむね正しいですが、差は1〜2割程度です。手続きの種類と事案の複雑さによっては、トータルコストが逆転することもあります。
特に注意が必要なのが自己破産の管財事件です。弁護士が代理する場合は少額管財として予納金が20万円程度で済むケースが多い一方、司法書士が書類作成のみ対応する通常管財では、予納金が50万円前後必要になることがあります。この差額だけで弁護士費用との差を超えてしまう場合があるため、「司法書士のほうが安い」とは一概に言えません。
任意整理に限って言えば、司法書士と弁護士の費用差はそれほど大きくありません。報酬の設定は事務所ごとに異なるため、費用だけで専門家の種類を選ぶよりも、「自分の手続きに必要な権限を持っているか」を先に確認する方が重要です。
事務所選びで見るべき7つのチェックポイント
「良い事務所」を選ぶ基準は、口コミやランキングだけでは判断できません。相談の段階で確認できる具体的な項目があります。次の7点を事務所選びのチェックリストとして活用してください。これらを確認するだけで、依頼後のトラブルをかなりの確率で防ぐことができます。
費用の透明性 着手金・報酬金・減額報酬を書面で確認する
費用の提示が曖昧な事務所には注意が必要です。着手金・報酬金・減額報酬(減らした金額の一定割合)の3つが個別に明示されているかどうかを確認しましょう。「総額でいくらになりますか」と直接聞いて、明確な回答が返ってこない場合は他の事務所を検討するべきです。
費用に関しては、書面(見積書や委任契約書)で確認することが基本です。口頭での説明だけで話が進む事務所は避けたほうが無難です。特に「成功報酬」の計算方法が不明確な事務所では、後から高額な請求を受けるトラブルが起きやすいため注意が必要です。
また、費用の支払いタイミングも確認してください。着手金はいつ払うのか、報酬金はどの時点で発生するのかを把握しておくことで、資金繰りの見通しも立てやすくなります。
対面面談の有無と担当者の一貫性
電話やオンラインのみで手続きを完結する事務所が増えていますが、YMYL領域に関わる手続きである以上、最初の相談だけでも対面で話せる体制があるかを確認しておきましょう。特に複雑な事情がある場合は、対面での丁寧なヒアリングが手続き選択の精度を左右します。
また、最初に相談した担当者がそのまま担当してくれるのか、途中で別のスタッフに引き継がれないかも確認が必要です。窓口は弁護士だが実際の業務はアシスタントが担う事務所では、状況の変化への対応が遅くなる場合があります。「最初から最後まで同じ担当者が対応してもらえますか」と聞いてみてください。
相談時に「デメリットを説明してくれるか」を必ず確認する
信頼できる事務所は、メリットと同時にデメリットも説明します。たとえば任意整理であれば「整理した会社のカードは二度と使えなくなる可能性が高い」「保証人がいる場合は保証人に請求がいく」「整理しない借金の返済は続ける必要がある」といった点を、自分から話してくれる事務所は誠実な対応をしている証拠です。
こちらから質問しないと何も教えてくれない、あるいはデメリットを聞いても「大丈夫ですよ」としか答えない場合は慎重に判断してください。依頼後に「聞いていなかった」という状況を防ぐためにも、相談時に「デメリットも教えてください」と明示的に聞くことが重要です。誠実な事務所であれば、きちんと時間を取って説明してくれます。
解決実績と口コミの正しい読み方
事務所のウェブサイトに掲載されている解決実績は参考にはなりますが、それだけで信頼性を判断するのは早計です。実績件数が多くても、その内訳(任意整理が多いのか、破産が多いのか)によって自分の案件に合う事務所かどうかは変わります。
口コミはGoogle マップやポータルサイトのレビューを確認する際、高評価のものだけでなく低評価の内容も読んでください。「連絡が取れなくなった」「最初と費用が変わった」「担当者が頻繁に変わった」といったネガティブな口コミが複数ある場合は、注意が必要です。
相談件数と実際の依頼件数のバランスにも注目してみましょう。「相談実績10,000件」とうたっていても、実際の解決件数の記載がない場合は、宣伝的な数字である可能性があります。「依頼を受けてから解決した件数」が明示されている事務所の方が、実力を正直に示していると判断できます。
債務整理の費用はいくらかかるか 手続き別の相場と総額の計算方法
費用への不安から相談をためらう人は少なくありません。しかし仕組みを知れば、費用は事前にある程度見積もれます。手続き別の相場をもとに、総額の考え方を整理します。依頼前に「だいたいいくらかかるか」を把握しておくだけで、相談時の判断がずいぶんと楽になります。
任意整理の費用内訳と1社あたりの目安
任意整理の費用は、1社あたりの着手金と、交渉結果に応じた報酬金(減額報酬)で構成されます。相場は1社あたり2〜5万円程度で、これに減額した金額の数パーセントが報酬金として加算されます。依頼先が弁護士か司法書士かによって若干の差はありますが、手続き費用として大きな差はありません。
任意整理は裁判所を使わないため、印紙代や予納金などの裁判所費用は発生しません。依頼する社数が多いほど総費用は増えますが、逆に「この1社だけ整理したい」という絞り込みができるのも任意整理の特長です。費用を抑えたい場合は、本当に整理が必要な借入先を絞り込むことが有効です。
一方で、費用が安すぎる事務所にも注意が必要です。1社あたりの着手金が著しく低い場合、減額報酬の割合が高めに設定されていることがあります。交渉前に「総額いくらになりますか」と確認しておくことで、後からの費用増加を防ぐことができます。
個人再生・自己破産の費用相場と予納金の仕組み
個人再生の費用は、弁護士・司法書士への報酬(20〜50万円程度)に加え、裁判所費用として20万円前後が必要です。合計で50〜80万円程度が目安になります。東京地方裁判所など特定の裁判所では個人再生委員が必ず選任されるため、委員への報酬(15〜25万円程度)が加わる場合もあります。地方裁判所によって費用が変わる点は覚えておきましょう。
自己破産は手続きの種類によって費用が大きく異なります。財産がほとんどない「同時廃止」であれば、弁護士費用20〜35万円程度と裁判所への予納金3〜5万円程度で済みます。一方、財産がある「管財事件」では予納金だけで20〜50万円以上かかる場合があります。
予納金とは、裁判所や管財人への費用として事前に支払う公的な費用です。弁護士費用とは別に発生するため、最初から総額を確認しておく必要があります。「弁護士費用は安い」と思って契約したものの、予納金を含めると想定以上の費用になったというケースもあるため注意が必要です。相談時には「予納金を含めた総額を教えてください」と具体的に聞くことをおすすめします。
具体例で確認 借金3社・計200万円を整理するときの総額
たとえば消費者金融3社から合計200万円を借りており、任意整理を選んだ場合を考えてみましょう。各社の借入残高は70万円・80万円・50万円とします。
各社への着手金が3万円とすると、3社分で9万円。交渉の結果、将来利息分として計40万円の削減ができたとして、減額報酬を10%とすれば4万円。合計で13万円前後の費用になる計算です。事務所や交渉結果によって変わりますが、おおよその感覚をつかむ参考にしてください。
同じ状況で個人再生を選ぶ場合は、裁判所費用が加わり50万円以上になる見込みです。ただし元本が最大5分の1に圧縮されるため、200万円の借金が40万円程度まで減る可能性があります。手続き費用は高くなりますが、圧縮後の返済総額を考えると合理性がある場合も多くあります。
どの手続きが費用と効果のバランスが取れているかは、借入状況によって変わります。複数の手続きを比較提案してくれる事務所で無料相談を受けてみることをおすすめします。1〜2カ所で話を聞いてみるだけで、見通しがかなり変わります。
費用が今すぐ払えない場合の3つの選択肢
「相談したくても、弁護士費用を用意できない」という状況は珍しくありません。借金があるから相談したいのに、その費用も払えないというのは、多くの人が直面するジレンマです。しかし、費用を用意できなくても相談・手続きを進める方法はあります。「お金がないから相談できない」という状況は、実は解消できることが多いです。
着手金無料・分割払い対応事務所の探し方
近年、着手金無料や分割払い対応を掲げる事務所が増えています。無料相談の段階で「費用の分割払いに対応していますか」と聞けば、ほとんどの事務所は正直に回答してくれます。
ただし、「着手金無料」とうたっていても報酬金が高めに設定されている場合があります。最終的な総額で比較することが重要です。また、分割払いの回数・月額・初回支払いのタイミングも事前に確認しておきましょう。「月々いくら払えばいいですか」という聞き方をすれば、自分の生活費と照らし合わせながら無理なく進められるか判断できます。
分割払いの月額が高すぎて払えない場合は、回数を増やしてもらえるか交渉することも可能です。費用の問題を自分だけで抱え込まず、相談時に正直に話すことが、スムーズに手続きを進める近道です。
法テラスを使える条件と手続きの流れ
法テラス(日本司法支援センター)は、国が設立した公的な法律支援機関です。収入や資産が一定の基準を下回る場合に、弁護士・司法書士への費用を立て替えてもらえる制度があります。
利用できる収入の目安は、単身者で手取り月収約20万円以下、3人家族なら夫婦の収入合算で約27万2,000円以下が基準の一つです。住宅ローンや医療費の控除制度もあるため、基準を少し超えていても利用できるケースがあります。「収入があるから使えない」と思い込まず、まず確認することをおすすめします。
法テラスで立て替えてもらった費用は、手続き終了後に月々5,000〜10,000円程度の分割で返済していく仕組みです。自己破産が認められた場合は、立替費用の返済が免除される制度もあります。法テラスを通じた任意整理の費用は1社あたり2万円前後と、通常の事務所相場と比べてかなり安く設定されているため、費用面の負担が大きく下がります。
手続きの流れは、まず法テラスに電話か来所で相談し、収入・資産の基準を満たしているか確認してもらうところから始まります。審査が通れば、担当の弁護士や司法書士が紹介され、費用を立て替えた上で手続きを進めてもらえます。自分で弁護士を探す必要がない点も、法テラスを使うメリットの一つです。
受任通知後に費用を積み立てる逆転の発想
弁護士や司法書士に依頼すると、まず「受任通知」が各債権者に送付されます。受任通知が届くと、債権者は原則として本人への直接請求や督促ができなくなります。毎日の督促電話や郵便が止まるだけで、精神的な負担がかなり軽くなる方が多くいます。
この時点から手続き完了まで数カ月かかりますが、この期間中は返済をいったん止めることが一般的です。これまで毎月の返済に使っていた金額を、そのまま弁護士費用の積み立てに充てていくことができます。たとえば毎月5万円を返済に回していたなら、それを3カ月積み立てれば15万円になります。この方法であれば、「今すぐ費用が用意できない」という状況でも手続きを始められます。
相談時に「今は費用を用意できない状況です」と正直に伝えてみてください。ほとんどの事務所は対応策を提示してくれます。費用が払えないことを理由に相談を諦める必要はありません。
家族や職場にバレずに手続きを進めるには
債務整理に踏み切れない理由のひとつに「家族や職場にバレたくない」という不安があります。結論から言えば、手続きの種類によってバレるリスクは大きく異なります。正確な情報を持っておくことで、不必要な不安を減らすことができます。
任意整理でバレにくい理由と裁判所通知の仕組み
任意整理は裁判所を使わない手続きのため、官報(国が発行する広報紙)への掲載がありません。また、職場に通知が届くこともありません。債権者と弁護士・司法書士の間でやり取りが完結するため、外部に情報が出るタイミングが少なく、4つの手続きの中で最もバレにくいといえます。
個人再生・自己破産は裁判所を通じた手続きであるため、官報に氏名・住所が掲載されます。ただし、官報を日常的にチェックしている一般人はほとんどいないため、実際にバレるリスクは限定的です。職場への通知は基本的にありませんが、会社によっては採用時の書類審査などで信用情報が確認される場合があります。
なお、自己破産後に一定の職業(警備員・生命保険募集人など)に就く場合は、資格制限が一時的に生じます。この点は事前に確認しておきましょう。手続き終了後は制限が解除されます。現在の仕事が制限対象になるかどうかは、相談の段階で必ず専門家に確認してください。
郵便物・差出人の扱いと事務所への確認事項
手続きを進める中で気になるのが、事務所からの郵便物です。封筒の差出人名に「法律事務所」「法務事務所」などの文字が書かれていると、家族に気づかれる可能性があります。
多くの事務所では、郵便物の差出人表記を変更したり、本人の携帯電話宛にのみ連絡を取るといった配慮をしています。相談時に「郵便物の差出人表記を変えてもらえますか」「連絡は携帯電話だけにしてほしい」と具体的に希望を伝えれば、対応してくれる事務所がほとんどです。
また、債権者からの郵便物が自宅に届く場合もあります。任意整理を進めている期間中、債権者から書類が届くことがありますが、こうした郵便物の扱いについても事前に確認しておきましょう。希望を伝えやすい雰囲気かどうかも、事務所を選ぶ際の判断材料になります。
女性が相談する際に確認しておきたいこと
債務整理の相談に踏み出す際、性別に関係なく不安は同じですが、女性特有の事情が背景にある場合もあります。依頼前に把握しておきたい点を整理します。
女性特有の借金背景と相談しやすい事務所の見極め方
女性の借金の背景には、生活費の補填・パートナーへの援助・育児や介護による収入減・美容や趣味への支出など、他者には話しにくい事情が含まれることがあります。弁護士や司法書士は秘密保持義務を負っており、相談内容が外に漏れることはありません。ただし、話しやすい担当者かどうかは事務所によって違います。
女性専用の相談窓口や、女性の弁護士・司法書士が在籍している事務所もあります。初回の無料相談で「女性スタッフに担当してもらえますか」と聞いても問題ありません。話しやすさは相談の質にも影響するため、遠慮せず確認してください。
また、相談の際に感情的になってしまっても構いません。借金の経緯を詳しく話せるかどうかが、より適切な手続きの選択につながります。「どんな経緯で借金が増えたか」を正直に伝えることで、事務所側も最適な方針を提案しやすくなります。
配偶者への影響 任意整理で保証人問題を回避する考え方
任意整理の大きなメリットのひとつは、保証人への影響を回避しやすい点にあります。個人再生や自己破産では、保証人付きの借金は保証人に請求が移ります。しかし任意整理では、保証人がついている借入先を整理対象から外すことで、保証人(多くの場合は配偶者や親族)への請求を回避できます。
配偶者が保証人になっている借金がある場合は、どの手続きを選ぶかが保証人への影響を左右します。相談の際には「配偶者への影響を最小限にしたい」という希望を明確に伝えることが重要です。事務所側もそれを踏まえた手続き選択を提案してくれます。
なお、夫婦で共同の借金を抱えている場合や、配偶者も借金問題を抱えている場合は、一緒に相談できる事務所を選ぶことで、まとめて整理できることもあります。こうした複合的なケースも、無料相談の段階で話してみてください。「相手の分も一緒に相談できますか」と聞けば、対応可能な事務所かどうかわかります。
債務整理後の生活はどうなるか 信用情報と再建の見通し
手続きを終えた後の生活への不安は、踏み出せない理由の一つです。「ブラックリストに載ったら、この先どうなるのか」という疑問は当然です。正確な情報をもとに見通しを立てておきましょう。
債務整理を行うと、信用情報機関(CIC・JICC・KSCなど)に事故情報として登録されます。登録期間の目安は手続きの種類によって異なり、任意整理では概ね5年、自己破産では5〜10年とされています。この期間中は、新たなローンやクレジットカードの審査が通りにくくなります。
ただし、信用情報の登録期間が過ぎれば、銀行口座の開設・賃貸契約・スマートフォンの割賦購入などは通常通りできます。生命保険や医療保険への加入も制限されません。「一生ローンが組めない」わけではなく、登録期間を過ぎれば少しずつ信用を回復していけます。
自己破産後は、一部の職業(弁護士・税理士・警備員など)に就くことが一定期間制限されます。ただし手続き終了後は制限が解除されるため、長期にわたって職業の選択肢が狭まるわけではありません。自己破産を検討している方は、自分の職業に制限が及ぶかどうかを相談の段階で確認しておきましょう。
「債務整理後に賃貸住宅を借りられるか」という疑問もよく聞かれます。公営住宅や保証会社を使わない物件であれば審査に影響しないケースが多く、民間の賃貸でも信用情報の登録期間が明ければ通常通り審査されます。手続き直後の数年間は選べる物件に制限が出る場合はありますが、ずっと住む場所がなくなるわけではありません。
債務整理を終えた人の多くが「早く相談すればよかった」と言います。借金を抱えたまま督促に怯える生活を続けることの精神的コストと、手続きをして信用情報に傷がつくことのコストを比べれば、多くの場合は早期に解決する方が合理的な選択です。
まとめ 自分の状況から事務所選びの軸を決める手順
ここまでの内容をもとに、事務所を選ぶまでの手順を3ステップで整理します。難しく考える必要はありません。「まず何をすればいいか」が分かれば、次の一歩を踏み出しやすくなります。
ステップ1:手続きの種類の見当をつける
借入総額・収入の有無・財産の状況・保証人の有無を確認します。任意整理で対応できそうなら、弁護士でも司法書士でも依頼できます。個人再生・自己破産が見込まれるなら、最初から弁護士を選ぶ方がスムーズです。手続きの判断が難しい場合は、複数の手続きを比較提案してくれる事務所を優先して探しましょう。自分一人で判断できなくても問題ありません。相談の場で専門家に確認するのが正しい手順です。
ステップ2:費用と支払い方法を確認する
無料相談の際に、手続き別の総費用・分割払いの可否・法テラスの利用可否を確認します。費用面で不安があれば「今すぐ払えない」と正直に伝えましょう。受任通知後の積み立て方式で費用を工面できる場合もあります。見積書を出してもらい、内訳を書面で確認することを忘れずに。
ステップ3:相談時の対応で事務所を見極める
費用を書面で提示してくれるか、デメリットも説明してくれるか、担当者が一貫しているかを確認します。「ここなら安心して話せる」と感じた事務所に依頼するのが、手続きをスムーズに進める上でも大切なことです。1社で決めず、2〜3社の無料相談を比較してから決断することをおすすめします。
債務整理はゴールではなく、生活を立て直すためのスタートラインです。適切な事務所を選び、手続きを終えた後に新しい一歩を踏み出している人は数多くいます。一人で抱え込まず、まずは無料相談を活用してください。
