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失業保険の計算方法を徹底解説|2026年最新の手取り別受給額シミュレーション

「退職後、どれくらいの金額が振り込まれるのか見当もつかない」「計算式を見るだけで頭が痛くなる」——失業保険の受給を考える多くの方が、同じような不安を抱えています。退職直後は収入がゼロになるだけに、いつ、いくらもらえるかを事前に把握しておくことは生活設計の要です。

失業保険の計算は、賃金日額・給付率・所定給付日数という3つの要素が絡み合う仕組みで、知らないまま進めると「思ったより少なかった」という結果になりがちです。また、2025年には給付制限の短縮(4月)と基本手当日額の引き上げ(8月)という2つの重要な法改正・改定が続けて実施されました。

この記事では、失業保険の計算方法を3つのステップに分けてわかりやすく解説するとともに、手取り月収15万円〜30万円以上のケースごとに具体的な受給額シミュレーションをお伝えします。振込スケジュールや受給期間、税金・社会保険の扱いまで、退職後に必要な知識をすべてまとめました。最後まで読めば、自分がいくらもらえるかを自信を持って計算できるようになります。

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目次

【2026年最新】失業保険(基本手当)の仕組みと受給条件

失業保険の計算に入る前に、制度の基本的な枠組みと2025年に行われた重要な変更点を押さえておきましょう。ここを理解しているかどうかで、受給金額を正確に把握できるかどうかが大きく変わります。

失業保険とは?「再就職を支援する」ための給付金

失業保険とは、雇用保険から支給される「基本手当」の通称です。正式な制度名は「雇用保険の基本手当」ですが、日常会話では失業保険や失業手当と呼ばれることがほとんどです。

支給の目的は「失業中の生活を安定させながら、再就職を後押しすること」にあります。単に退職した人に給付するのではなく、ハローワークで積極的に求職活動をしていることが受給の大前提です。受給中は原則として4週間に1度ハローワークへ出向き、求職活動の実績を報告することが求められます。

失業保険を受け取るには、大きく分けて以下の3つの条件を満たす必要があります。

・ 雇用保険に加入していたこと(被保険者期間の要件あり)
・ 労働の意思と能力があるにもかかわらず、就職できない状態にあること
・ ハローワークに求職の申し込みをしていること

「すぐに働けない体調不良の状態」や「働く気がない状態」では受給できないため、注意が必要です。

受給するために必要な「雇用保険」の加入期間(被保険者期間)

受給資格を得るには、離職する前の一定期間、雇用保険に加入していなければなりません。一般離職者(自己都合退職など)の場合、離職日以前の2年間に通算12ヶ月以上の被保険者期間が必要です。

ここでいう「1ヶ月」とは暦月で数えるのではなく、「賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月」を指します。たとえば途中でパートやアルバイトとして短い期間働いた月は、カウントされないことがあるため注意しましょう。

一方、会社都合退職・特定受給資格者・特定理由離職者に該当する場合は、離職日以前の1年間に通算6ヶ月以上の被保険者期間があれば受給資格が認められます。自己都合退職に比べて条件が緩和されているのが特徴です。

【重要】2025年4月・8月の法改正・改定内容のまとめ

2025年は失業保険に関わる重要な変更が相次ぎました。古い情報のまま手続きを進めると、実態と異なる見込みで生活設計を立ててしまう恐れがあります。以下の2点を必ず確認してください。

【2025年4月の法改正】給付制限期間が「原則1ヶ月」に短縮
自己都合退職の場合に課せられる給付制限期間が、これまでの「原則2ヶ月」から「原則1ヶ月」へ短縮されました。2025年4月1日以降に求職申し込みを行った方から適用されます。これにより、初回の振込までの期間が約1ヶ月早まります。

【2025年8月の改定】基本手当日額の上限・下限が引き上げ
令和6年度の平均給与額が前年度と比べ約2.7%上昇したことを受け、2025年8月1日から基本手当日額の上限額と下限額が引き上げられました。下限額は全年齢共通で2,295円から2,411円(+116円)となり、上限額は年齢区分ごとに200〜230円程度の増額となっています。2026年3月現在もこの金額が適用されています。

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失業保険の計算方法3ステップ|額面と手取りの違いを整理

失業保険の1日あたりの受給額(基本手当日額)を求めるには、賃金日額を計算してから給付率をかけるという2段階の手順を踏みます。難しそうに見えますが、順を追えば誰でも計算できます。

STEP1:退職前6ヶ月の総支給額から「賃金日額」を出す

賃金日額とは、離職直前6ヶ月間に毎月決まって支払われた賃金の1日あたりの平均額です。計算式は次のとおりです。

賃金日額 = 離職日直前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180

ここで使う「6ヶ月の賃金」は、給与明細に記載された総支給額(額面)を使います。手取り額ではありません。また、180で割るのは1ヶ月を30日と仮定した6ヶ月分の日数です。

計算例:月額総支給額が25万円の場合
25万円 × 6ヶ月 = 150万円
150万円 ÷ 180 = 8,333円(賃金日額)

計算に含まれる「残業代・手当」と含まれない「ボーナス」

賃金日額の計算に含まれるのは「毎月決まって支払われる賃金」です。具体的には基本給のほか、住宅手当・通勤手当・残業代・資格手当なども含まれます。

一方、賞与(ボーナス)・臨時の手当・退職金は計算から除外されます。残業代は月によって変動しますが、「毎月支払われる賃金」として取り扱われるため算入対象です。ただし特別に一度だけ支給された手当は除きます。迷ったときは直前6ヶ月の給与明細を用意して、ハローワークで確認するのが確実です。

STEP2:年齢と賃金で決まる「給付率(50〜80%)」の仕組み

賃金日額が算出できたら、次に「給付率」を確認します。給付率とは、賃金日額のうち何割を失業保険として受け取れるかを示す割合で、50%〜80%(60〜64歳は45〜80%)の範囲で設定されています。

給付率は賃金日額が低いほど高く、賃金日額が高いほど低くなる逆進的な仕組みです。これは低所得の離職者をより手厚く保護するという政策的な意図によるものです。

給付率の目安は以下のとおりです。

・ 賃金日額が低い帯(概ね5,000円以下):80%
・ 賃金日額が中程度の帯(概ね5,000〜12,000円):60〜79%
・ 賃金日額が高い帯(概ね12,000円超):50%前後

正確な給付率は厚生労働省が定める計算式によって算出され、1円未満は切り捨てられます。月収20〜30万円程度の一般的なサラリーマンの場合、おおよそ60〜65%の給付率となるケースが多いです。

STEP3:1日あたりの受給額「基本手当日額」を確定する

賃金日額と給付率が出揃えば、基本手当日額の計算は単純な掛け算です。

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率

ただし、計算結果が後述する「上限額」を超える場合は上限額が、「下限額」を下回る場合は下限額が適用されます。

月額に換算したい場合は、基本手当日額に28日をかけるのが一般的な目安です(30日換算とする場合もあります)。

【2025年8月改定】年齢別の受給上限額・下限額一覧表

2025年8月1日改定後の最新の上限額・下限額は以下のとおりです。2026年3月現在もこの金額が適用されています。

【基本手当日額の上限額(2025年8月1日以降)】

・ 29歳以下:7,255円(賃金日額の上限:14,510円)
・ 30〜44歳:8,055円(賃金日額の上限:16,110円)
・ 45〜59歳:8,870円(賃金日額の上限:17,740円)
・ 60〜64歳:7,623円(賃金日額の上限:16,940円)

【基本手当日額の下限額(2025年8月1日以降)】

・ 全年齢共通:2,411円(賃金日額の下限:3,014円)

高収入の方は上限額に達するため、「賃金の高い人ほど割合として見ると給付が少ない」という結果になります。月給が概ね43万円以上(29歳以下)〜53万円以上(45〜59歳)になると上限に到達する目安です。

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【手取り別】失業保険の受給額シミュレーション早見表

「結局、自分はいくらもらえるの?」という疑問を解消するために、手取り月収別に受給額の目安を計算しました。なお、以下の試算では額面(総支給額)を手取りの約1.2〜1.25倍で逆算しています。給付率は賃金帯ごとの標準的な値を使用しており、実際の支給額はハローワークでの計算と多少異なる場合があります。

月収(手取り)15万円の場合:受給額と生活費のバランス

手取り15万円の場合、額面は概ね18〜19万円程度です。

・ 6ヶ月の賃金合計:約108〜114万円
・ 賃金日額:約6,000〜6,333円
・ 給付率:約75〜80%
・ 基本手当日額:約4,600〜5,000円
・ 月額換算(28日):約12.9〜14.0万円

手取り月収の85〜93%程度に相当するため、生活費との差はそれほど大きくありません。ただし家賃・光熱費・食費などの固定費と照らし合わせて、受給期間中の収支を事前に試算しておくことをおすすめします。

この収入帯では給付率が高め(75〜80%)に設定されるため、生活費に占める失業保険の割合が比較的高い層といえます。

月収(手取り)20万円の場合:標準的な受給モデル

手取り20万円の場合、額面は概ね24〜25万円程度です。日本のサラリーマンの平均的な水準に近いモデルケースです。

・ 6ヶ月の賃金合計:約144〜150万円
・ 賃金日額:約8,000〜8,333円
・ 給付率:約65〜70%
・ 基本手当日額:約5,200〜5,800円
・ 月額換算(28日):約14.6〜16.2万円

手取りの約73〜81%程度が目安となります。月に14〜16万円の水準であれば、家賃が比較的低いエリアであれば生活を維持しながら求職活動を続けられるでしょう。

この収入帯では給付率が65〜70%程度になることが多く、受給中の生活費の不足分をある程度貯蓄で補いながら活動するプランを立てるのが現実的です。

月収(手取り)25万円の場合:上限額に注意が必要なケース

手取り25万円の場合、額面は概ね30〜31万円程度です。

・ 6ヶ月の賃金合計:約180〜186万円
・ 賃金日額:約10,000〜10,333円
・ 給付率:約55〜60%
・ 基本手当日額:約5,500〜6,200円
・ 月額換算(28日):約15.4〜17.4万円

手取りの約62〜70%が目安です。この水準になると給付率が下がるため、現役時代の収入と受給額の乖離を実感しやすくなります。

ただし、45〜59歳であれば上限額8,870円まで余裕がありますが、29歳以下の場合は賃金日額が14,510円を超えると上限(7,255円)が適用されます。30万円を超える額面の場合は次のケースをご確認ください。

月収(手取り)30万円以上の場合:高所得者の受給制限

手取り30万円以上の場合、額面は概ね36万円以上となります。

・ 賃金日額の目安:12,000円以上
・ 給付率:50%前後
・ 基本手当日額:約6,000円〜(上限額が適用されるケース多数)

年齢が29歳以下で月収が高い場合、上限額7,255円が早々に適用されます。一方、45〜59歳であれば上限8,870円まで適用されないため、同じ月収でも年齢によって受給額が異なります。

月収40万円以上の高所得者の場合、現役時代の月収に対する失業保険の割合は概ね40〜50%を下回ることも珍しくありません。退職を検討している方は、上限額の壁を意識した生活設計が重要です。

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いつからもらえる?「自己都合退職」の振込スケジュール

計算で金額がわかっても、「実際にいつ振り込まれるか」がわからなければ生活設計は立てられません。ここでは2025年4月の法改正で変わった給付制限の扱いを中心に、初回振込までの流れを解説します。

2025年4月から給付制限が「原則1ヶ月」に短縮

最も大きな変化は、自己都合退職に課せられる給付制限期間が「原則2ヶ月」から「原則1ヶ月」に短縮されたことです。2025年4月1日以降にハローワークで求職の申し込みを行った方が対象となります。

以前は待機期間7日間+給付制限2ヶ月が終わるまで約2ヶ月半〜3ヶ月待たなければなりませんでしたが、改正後は約1ヶ月半〜2ヶ月程度に短縮されました。1ヶ月分の現金が余分に手元に残りやすくなったと考えると、退職時の資金計画が立てやすくなります。

待機期間(7日間)と給付制限期間の正しい数え方

ハローワークで求職の申し込みをした日の翌日から7日間は「待機期間」です。この期間は離職理由にかかわらず全員に適用され、失業保険は一切支給されません。

待機期間が満了した翌日から、自己都合退職の場合は「給付制限期間(原則1ヶ月)」が始まります。この期間も支給がありません。給付制限期間が終わった後の最初の認定日に失業と求職活動の状況が確認され、その1週間後に初回の振り込みが行われます。

なお、給付制限期間中に自らリスキリング(教育訓練)を受け始めた場合は、給付制限が解除されて受給が早まる新制度も設けられています。詳しくは後述します。

【図解】申請から初回の振込までのカレンダー

自己都合退職で手続きを行った場合の典型的なスケジュールは以下のとおりです。

【1日目(月曜日と仮定)】ハローワークで離職票を提出・求職申し込み → 受給資格決定
【1〜7日目】待機期間(支給なし)
【8日目〜】給付制限期間(原則1ヶ月・支給なし)
【給付制限終了後の最初の認定日】初回の失業認定
【認定日から約1週間後】初回の振り込み

退職から離職票が届くまで2週間程度かかることも多いため、実際に手元に現金が入るのは退職から2〜2.5ヶ月後が目安となります。この期間をカバーできる貯蓄を確保してから退職するのが理想的です。

5年以内に3回以上の退職は「3ヶ月制限」になるので注意

給付制限が「1ヶ月」に短縮されたのは、あくまで「正当な理由のない自己都合退職」かつ「過去5年以内に自己都合退職で受給資格の決定を受けた回数が2回未満」の場合に限ります。

離職日からさかのぼって5年以内に、自己都合退職で受給資格の決定を2回以上受けている場合は、給付制限が3ヶ月となります。また、懲戒解雇の場合も同様です。短期間に退職と就職を繰り返している方は、この点に注意が必要です。

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もらえる期間(所定給付日数)はどう決まる?

失業保険は「何日分もらえるか」によって総受給額が大きく変わります。この給付日数(所定給付日数)は、離職理由・年齢・雇用保険の加入期間の3つで決まります。

「自己都合」と「会社都合」でこれだけ違う受給日数

自己都合退職と会社都合退職では、給付日数に大きな差があります。会社都合退職(特定受給資格者)は手厚い保護を受けられる点が特徴です。

【自己都合退職の所定給付日数(一般被保険者)】

・ 加入期間1年以上10年未満:90日
・ 加入期間10年以上20年未満:120日
・ 加入期間20年以上:150日

自己都合退職は離職時の年齢に関係なく、加入期間のみで決まります。最大150日という上限は、加入期間20年以上でなければ届きません。

雇用保険の加入期間(10年・20年)の壁を越えるメリット

自己都合退職の場合、加入期間が10年を超えると給付日数が90日から120日へと30日分増えます。月収25万円の方であれば、基本手当日額を約6,000円とすると、30日分で18万円の差が生まれます。

さらに20年を超えると150日となり、10年以上20年未満のケースと比べてさらに30日分(約18万円)の上乗せになります。転職を検討している方は、加入期間が10年・20年という節目を超えているかどうかを退職前に確認することをおすすめします。

【保存版】離職理由別・加入期間別の給付日数早見表

【自己都合退職(一般離職者)】

・ 加入1年以上10年未満:90日
・ 加入10年以上20年未満:120日
・ 加入20年以上:150日

【会社都合退職・特定受給資格者(45〜59歳の場合)】

・ 加入1年未満:90日
・ 加入1年以上5年未満:180日
・ 加入5年以上10年未満:240日
・ 加入10年以上20年未満:270日
・ 加入20年以上:330日

会社都合退職では加入期間・年齢によって最大360日(45〜59歳、加入20年以上)まで給付されるケースもあります。自己都合退職の最大150日と比べると、2倍以上の差が生まれることもあります。

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手取りを増やす!失業保険を最大化する「特定理由離職者」

「自己都合退職だから仕方ない」と諦めている方に知ってほしいのが、特定理由離職者という制度です。一定の条件を満たせば、自己都合退職でも給付制限なし・受給日数増というダブルの恩恵を得られます。

残業過多や体調不良…自己都合が「会社都合並み」になるケース

厚生労働省は、正当な理由がある自己都合退職を「特定理由離職者」として区分しています。特定理由離職者に認定されると、給付制限がなくなり、受給日数も会社都合退職に近い水準まで引き上げられます。

特定理由離職者に該当する主なケースは以下のとおりです。

・ 体力の不足・心身の障害・疾病・負傷による離職
・ 妊娠・出産・育児・介護による離職(ただし受給期間の延長手続きが必要)
・ 時間外労働が月45時間を超える状態が3ヶ月以上続いた
・ セクハラ・パワハラによる離職
・ 賃金未払いや大幅な賃金引き下げが行われた
・ 正当な理由なく採用条件と著しく異なる労働条件に変更された
・ 通勤が往復4時間以上となった

月45時間超の残業が続いていたケースや、職場でのハラスメントがあった場合は、特定理由離職者として認定される可能性が高いです。

特定理由離職者になるための証拠とハローワークでの伝え方

特定理由離職者の認定を受けるためには、離職の理由を証明する資料が必要です。ハローワークに申し出るだけでは認定されません。

証拠として有効なものの例を挙げます。

・ 残業過多の証明:タイムカードのコピー、勤怠システムの記録、賃金明細
・ 健康上の理由:医師の診断書
・ ハラスメント:メールや社内チャットの記録、日記や記録ノート
・ 賃金引き下げ:改定前後の賃金明細の比較

ハローワークでは「離職理由の確認」が行われます。会社側が提出した離職票の記載と、本人の申告が食い違う場合は調査が入ることもあります。事実に基づいた申告を行い、証拠資料をあらかじめ整理しておきましょう。

給付制限なし&受給日数増のダブルメリットを享受する方法

特定理由離職者のうち「特定受給資格者に準ずる理由」で離職した方は、給付制限が適用されず、待機期間7日が終了すると即座に受給が始まります。さらに所定給付日数も、自己都合退職よりも多い日数が適用されます。

たとえば35歳・加入期間5年で特定理由離職者と認定された場合、自己都合退職なら90日のところ、会社都合と同等の扱いで180日まで受給できるケースがあります。受給総額で比べると、基本手当日額が6,000円であれば90日分で54万円、180日分で108万円という差になります。

退職理由に心当たりがある方は、ハローワークの担当者に「特定理由離職者に該当しないか」を確認することから始めましょう。

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失業保険受給中の「税金・社会保険」と実質手残り額

受給額がわかったら、次に気になるのが税金や社会保険料がかかるかどうかです。ここを把握していないと、実際の手残り額を誤って見積もることになります。

失業保険は「非課税」!所得税・住民税がかからない利点

失業保険(基本手当)は、所得税・住民税が一切かかりません。給与とは異なり、非課税の給付金として扱われるためです。

つまり、基本手当日額5,000円が認定されれば、手元に届く金額は計算どおりの5,000円です。所得税が引かれて4,500円になる、ということはありません。この点は給与との大きな違いであり、失業保険が「手取りに近い金額がそのまま受け取れる」という特徴の一つです。

また、失業保険は税法上の「収入」にカウントされないため、配偶者の扶養に入る際の収入判定にも影響しません(健康保険の被扶養者認定については別途確認が必要です)。

要注意!受給中も発生する「健康保険」と「年金」の支払い

失業保険が非課税でも、社会保険料の支払い義務がなくなるわけではありません。退職後は勤務先の健康保険から外れるため、以下のいずれかを選択する必要があります。

【健康保険の選択肢】
・ 任意継続:退職前の保険に最大2年間継続加入。保険料は全額自己負担(退職前の2倍程度が目安)
・ 国民健康保険:前年の所得に応じた保険料。市区町村に申請する

【年金】
退職後は国民年金の第1号被保険者として月額16,980円(2025年度)の保険料を納めます。ただし、配偶者が会社員・公務員である場合は第3号被保険者として扶養に入れることがあります。

健康保険と国民年金を合わせると、月5〜6万円の社会保険料が発生するケースも珍しくありません。受給額から社会保険料を差し引いた「実質手残り額」を事前に試算することが大切です。

自治体への申請で「国民健康保険」を減額・免除する方法

会社都合退職(特定受給資格者・特定理由離職者)の場合、国民健康保険料の軽減制度が利用できます。前年度の給与所得を30/100とみなして計算する特例措置があり、保険料が大幅に下がるケースがあります。

自己都合退職の方でも、所得が低い場合は市区町村によって減額・免除の申請ができることがあります。退職後に市区町村の国民健康保険窓口に問い合わせて、利用できる制度を確認することを強くおすすめします。申請を忘れると損をする可能性がある制度です。

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受給中に知っておきたいプラスアルファの知識

失業保険の基本的な受給が始まった後も、知っておくとトクする制度がいくつかあります。早期に再就職した場合の手当、リスキリングの活用、アルバイト時の申告ルールを確認しておきましょう。

早く決まれば「再就職手当」!残日数の最大70%がもらえる

失業保険の受給中に就職が決まった場合、残った給付日数に応じて「再就職手当」を受け取ることができます。早期に再就職するほど金額が大きくなる仕組みです。

再就職手当の計算式は次のとおりです。

・ 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上のとき:基本手当日額 × 残日数 × 70%
・ 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上のとき:基本手当日額 × 残日数 × 60%

たとえば所定給付日数が90日で、30日分を受給した後に再就職した場合、残日数は60日です。基本手当日額が6,000円であれば、60日 × 6,000円 × 70% = 252,000円が一括で支給されます。

受給資格があるのに申請し忘れるケースが多いため、再就職が決まったらすぐにハローワークで再就職手当の申請手続きを行いましょう。

リスキリング(教育訓練)受講で給付制限を解除する新制度

2024年以降、自己都合退職で給付制限期間中であっても、ハローワークが指定する教育訓練(リスキリング)を受講することで給付制限が解除される新制度が導入されています。

対象となる教育訓練は、厚生労働大臣が指定する「教育訓練給付」の対象講座であることが条件です。ITスキル・資格取得・語学など幅広いジャンルが含まれます。

給付制限の解除によって受給開始が早まるだけでなく、教育訓練給付(受講費用の20〜70%が支給される制度)との併用も可能です。退職後にスキルアップを考えている方は、ハローワークでどの講座が対象となるか確認してみましょう。

アルバイト・副業をしながら受給する場合の申告ルール

失業保険の受給中に一切働いてはいけない、というのは誤解です。ただし、働いた事実は必ず申告しなければなりません。

認定日に提出する「失業認定申告書」に、前回の認定日以降に働いた日数と収入を正直に申告します。申告内容に応じて、その日分の基本手当が減額または不支給となります。

申告を怠ったり虚偽の申告をしたりすると「不正受給」と見なされ、支給額の3倍の返還命令という厳しいペナルティが課されます。数日間のアルバイトであっても必ず申告することが大切です。

また、1日の労働時間が4時間未満の場合は「内職・手伝い」として扱われ、4時間以上の場合は「就労」として扱われます。就労日は基本手当が支給されないかわりに、その日数分が受給期間の終わりに繰り越されます。

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失業保険の計算に関するよくある質問(Q&A)

実際に手続きを進める前に疑問が出やすいポイントをまとめました。当てはまる状況がある方は参考にしてください。

パート・アルバイトでも計算方法は同じですか?

基本的な計算方法は正社員もパート・アルバイトも同じです。賃金日額を算出し、給付率を掛けるという手順は変わりません。

ただし、パート・アルバイトの場合は「短時間労働被保険者」として扱われることがあり、所定給付日数が異なります。週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方は、一般被保険者とは別の給付日数の表が適用されます。また、受給資格を得るための被保険者期間も、一般離職者と同じく原則2年間に12ヶ月以上(または特定理由の場合は1年間に6ヶ月以上)が必要です。

退職代行を利用しても失業保険はもらえますか?

退職代行を利用した場合でも、失業保険の受給資格に影響はありません。失業保険は退職の方法ではなく、雇用保険の加入期間や離職理由によって判定されます。

ただし、退職代行を利用したとしても、自己都合退職であれば給付制限は通常どおり適用されます。退職代行が「会社都合退職に切り替えてくれる」わけではありません。もし会社都合・特定理由離職者への切り替えを希望する場合は、別途ハローワークで手続きを行う必要があります。

ハローワークの計算と自分の計算がズレる理由は?

自分で計算した金額とハローワークの計算が異なるケースは珍しくありません。主な原因は以下の3点です。

・ 賃金の算入・除外の判断が異なる:手当の種類によって含まれるかどうかが変わる
・ 給付率の計算式が複雑:賃金帯ごとに細かく定められており、端数処理も関わる
・ 賃金日額の上限・下限の適用:改定後の新しい数値を使っていない場合

ハローワークでは過去6ヶ月の賃金を給与明細や賃金台帳で確認しながら正確に計算します。自分で出した金額はあくまで目安として、詳細はハローワークでの計算結果を待つのが確実です。

65歳以上の退職(高年齢求職者給付金)はどう計算する?

65歳以上の方が離職した場合は、失業保険(基本手当)ではなく「高年齢求職者給付金」が支給されます。一時金として支給される点が基本手当との大きな違いです。

給付額は基本手当日額に基づいて計算され、被保険者期間が6ヶ月以上1年未満の場合は30日分、1年以上の場合は50日分が一括で支給されます。また、老齢年金との同時受給が可能な点も基本手当との違いです。

計算の基礎となる賃金日額・基本手当日額は65歳未満と同じ方法(6ヶ月の賃金合計÷180 × 給付率)で算出します。2025年8月1日以降は基本手当日額の上限・下限が引き上げられていますので、最新の数値で計算しましょう。

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まとめ:正確な計算で「損をしない」退職後の生活設計を

失業保険の計算は複雑に見えますが、賃金日額・給付率・所定給付日数の3つを理解すれば、おおよその金額を自分で把握できます。この記事でお伝えしたポイントを振り返りましょう。

・ 賃金日額は退職前6ヶ月の賃金合計(ボーナス除く)÷180で算出する
・ 基本手当日額は賃金日額に50〜80%の給付率を掛けて求める
・ 2025年8月改定後の上限額:29歳以下7,255円 / 30〜44歳8,055円 / 45〜59歳8,870円 / 60〜64歳7,623円
・ 下限額は全年齢共通で2,411円(2025年8月改定後)
・ 2025年4月から自己都合退職の給付制限が原則1ヶ月に短縮された
・ 特定理由離職者に該当するかどうかの確認が、受給総額を大きく左右する
・ 失業保険は非課税だが、健康保険・年金の支払いは継続する
・ 早期再就職で再就職手当(残日数の最大70%)を受け取れる

退職後の生活を安心して過ごすためには、ハローワークへの申請前に自分の受給額・受給期間の見込みを立てておくことが大切です。特に、特定理由離職者への該当可否は見逃しがちなポイントです。思い当たる退職理由がある方は、必ず申請時にハローワークの担当者へ相談してください。

受給中の生活費・社会保険料の支払いをシミュレーションし、貯蓄と組み合わせた無理のない求職計画を立てることで、退職後の不安を大きく減らすことができます。この記事が、あなたの退職後の生活設計に少しでも役立てば幸いです。

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